五話・15
その二週間後。
おかげさまでというか当然の結果というか、試験での評価は上々だったらしい。
それがどのくらい将来に繋がるのかは全然分からないけど、とりあえず成績が良いっていうのは悪くない気分になる。
それはまあ、それとしておいて。
間題は、試験を通じて意外な形で出てきた。
「これは……凄いわねー」
昼休みの食堂で、ギリギリ聞こえる程度に抑えられた朱音の声が、なんかもう耳に痛い。
向かい合わせの形で座るテーブルに広げられた、本日発売となる一冊の雑誌。
とある月刊の美術誌で、『七瀬ななみ特集』が組まれているというから朱音が取り寄せたものだが……
その中にあるQ&Aの、ある項目の答えが、本当に凄いことになっていた。
『七瀬さんの好きな場所はどこですか?』
『隣に頼りになる男の子がいるなら、どこでも』
子供の無垢さが招いた結果というか、なんというか……
ちなみに、春輝が頭を抱えたくなる原因は、もう一つ。
二週間前からとあるドリル頭の令嬢が流している、
『あの七瀬ななみさんが従育科の編入生に図書館に連れ込まれた挙げ句、忽然とどこかへ消えた』
という、ラベールブロンシュ七不思議になりそうな噂だった。
いつも以上に視線の槍は雨あられで、ひそひそと噂される声も若干大きめで。
しかも視界の奥からは、背高中華の楊を連れた金髪ドリルが、なんかもう鬼もびびって逃げそうな怒りオーラを振りまいて接近中だ。
何で怒っているのかは分からないけど、たぶん壮大に誤解されているに違いない。
これからの展開を想像すると本気で頭痛がしてきて、春輝は盛大にため息を吐いて……
「……まあ、その……頑張ってね?」
「お前少しは責任取れよっ!?」
同情混じりに突き放してくれやがる朱音に思わず叫び、がっくりと項垂れた。




