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お嬢様たちの恋のバトルが過熱して、結果として色気が出てしまう  作者: 藤守 友


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四話・12

「……なんか……ここに来てから……説教と誤解のオンパレードな気が……」


 とぼとぼと歩きながら呟いてみても虚しさが増すばかりで、反応してくれる誰かなんていやしない。


 日はとっくに昇って、もう朝の七時になる。


 こんな時間に起きて外に出ているのは倉木の奴を含める一部の早起きと、搬入業者の人達だけのはずだ。


 例外として、春輝は朝帰り中。


 結局、あれから五時間以上も説教を食らっていたことになるらしい……そりゃあ疲れるし眠いわけだよなぁ。


 途中で意識が飛ぶ度に、容赦なく低周波が襲いかかってくる拷問仕様の説教だった。


 寝かせてくれないならいっそぶん殴って気絶させて欲しいと思うくらい、地獄は長く続いた。


 延々と深閑に執事とは何か、このラベールブロンシュに於いて男子の存在が何たるかを語られたような気かするけど……正直、殆ど覚えてない。


 正座だったから足が痺れているけど、記憶に残っているのはそれを含めて体中がビリビリしたことくらいかもしれない。


 なーんか報われないなあ……


「うー……眠い……でも寝たらもう無理だ……」


 一度ベッドに入ったら、少なくとも十時間は起きない自信がある。


 それくらい疲れ切っているけど、授業をサボったらまずい。


 ということは、風呂入って少しでも疲労を抜いて、あとは授業中に寝るしかないか。


 ラベールブロンシュって授業自体は温いけど授業態度にはちょっとうるさいから、保健室で寝かせてもらう方がいいかもしれないな。


 欠席よりは幾分かマシだろ。


「そうと決めても……とにかく、眠い……」


 眠気に思考が埋め尽くされるっていうのはこんな具合なんだろうかというくらいに眠い中、春輝は従育科の寮を目指してのろのろと歩き続け……


「あっ、春輝!

 良いところに来たわね!」


「……んな?」


 半分目を閉じて歩いていたところを呼びかけられて、っと周囲を見回して、相手はすぐに見つかった。


 腹黒じゃない、朱音が制服姿で、こっちに手を振っていた。


 春輝はそれをぼんやりと見て……小さく頷いて、決めた。


 よし。


 あれは見なかったことにしよう。


 捕まったらどうせ何か面倒なことに巻き込まれるんだ。


 もうそんなのお腹一杯の満員御礼だから、突き返すしか。


 今は安らかに眠りたい……それだけなんだから、さっさと寮に戻って風呂に入って、早めに登校して教室で寝ないと。


 そう、思っていたのに。


「……なんで?」


 気がつけば、春輝は朱音と一緒に上育科女子寮の側まで来て、『地を舞う翼』と題された大型モニュメントの陰に隠れていた。


 完璧に記憶が飛んでるし。


 どうしてこんな所にいるのか、さっぱり分からない。


 そういえば、ぼーっとしていたら何かに引っ張られるような感覚があったような気がしないでもない、けど楽だから引かれるがままにしていた気も、しないでもないような……というか、実際そうなんだろうな。


 この状況から察するに。


「……何なんだよ、一体……」


 精一杯の反抗で朱音を睨むが、全く相手にされない。


 強引な手腕の持ち主は、どこからどう見ても浮かれている笑顔を女子寮の方へと向けていて、しかもこっちの手を掴んで離さない。


 つまり、逃げられない。


「それにしてもラッキーだったなぁ。

 深夜の事は、もう耳に入っていたのよ。

 だから春輝が深閑先生に説教されていることも知ってたんだけど、こんな時間までやってたのね。

 お疲れさま。

 と言いたいところだけど、もうちょっとだけ頑張って、わたしに協力してね」


「……何を?」


「決まってるでしょ」


 何が、と再び訊く前に。


 ミス腹黒は、その名称に相もしい陰謀めいた笑みを浮かべて、




「盗撮犯を捕まえるの」


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