第591話 光あれ!オートスキル炸裂!
「グレン、頼みがある。黙って一緒にエルフの里カムランに来てくれないか」
面倒なので、理由を省いてお願いしてみた。シベリウスの元へ向かうと言えば、きっと全力で拒否るだろうからなぁ。事は慎重に。
「エルフの里だと? 嫌な予感がするな……」
鋭い。というか、エルフの里というワードの時点で察するか。いかんな。
「世界の為よ。力を貸して」
珍しいことに、メサイアが真剣な眼差しをグレンに向けていた。本当に珍しいのだが、ここで逃せば世界が終わる。
「……すまない。おれの勘が“行くな”と告げているんだ……」
青ざめながら腕を抱えるグレン。仕草がいちいち可愛いな。
おっと、いかん……グレンは男だ。見惚れたらヤバイ人になっちまう。気を付けないと。
しかし、このままだと進まないな。ロープとかで捕縛し、強引にでも連れていくか?
「兄様、兄様」
フォルが耳打ちしてくる。顔が近い。
「な、なんだ……?」
「彼女を……いえ、彼をブン殴って運んだ方が早いのでは?」
「考えることは一緒だな。だが、今のグレンは女だからな……一応、手荒な真似は避けたい」
「ですね。となると、物理的に捕まえるか……拘束魔法とか使うしかないですね」
やっぱり、その手に落ち着くわけか。
どのみち事情を話してもグレンは同行を拒否するだろう。なので捕まえる方向でいくか。
「メサイア」
「なによ、サトル」
「建築スキルで『ロープ』を生成してくれ。グレンを拘束する」
「……そーゆーこと。それしかなさそうね!」
材料の“布”を消費し、メサイアはロープを一瞬で作った。材料の在庫があってよかった。
ロープを手にし、俺はグレンに迫る。
傍から見たら美少女を拉致しようとしているヤバい集団に映っているかもな。だが、それも問題ない。
リースが気を利かせて、火属性魔法の『プロミネンス(花火Ver.)』を夜空に放ち、周囲の気を引いてくれていた。通常の花火よりもド派手な花火が広がり、観客が盛り上がっていた。……ナイス!
「……な、なにを!?」
ロープを向けられ、グレンは身を退き――顔を顰める。今にも逃げ出しそうな気配だが、フォルが華麗にジャンプしてグレンの背後を確保。
「逃がしませんよ」
「フォルトゥナ様……ご慈悲を!」
「アルクトゥルスのご意思であり、フォーチュンの導きですので……無理です」
「そんな!!」
ちょっと可哀想ではあるが、確保だ!
飛び掛かろうとするが、グレンは剣を抜き――激しく抵抗した。コイツ、魔法スキルを!
「おまっ!」
「ファイアーボール!!」
これは以前、アグニも使った火属性魔法だ。
その名の通り、サッカーボールほどの“炎”を放つ魔法スキル。
球体が俺目掛けて飛んできた。
驚いたが、もちろん【オートスキル】が発動して迎撃。通常の『煉獄』が防御し、炎と炎がぶつかり合った。というか、相殺だな。
「……っぶねぇ!」
「サトルさん!」
「大丈夫だ、リース。それより、観光客の目をそらしておいてくれ」
「わ、わかりました」
リースの役目はそれだ。
俺とメサイア、フォルでグレンを確保する。
「そうだ、サトル。名案があるわ!」
悪そうな顔をして、今度はメサイアが耳打ちしてきた。今日は俺の耳、幸せすぎるぜ。
「ほお?」
「ゴニョゴニョゴニョ……」
「マジかよ!」
その手があったか!
そうだな、ロープなんて必要なかった。メサイアには万能スキルがあるじゃないか!
「覚悟しろ、グレン」
「な、なにをする気だ……サトル! 言っておくが、おれはどこにも行かないぞ!」
「安心しろ。安全に運んでやるさ!」
俺はみんなに目を瞑るように指示。そして“任意”でオートスキルの『ライトオブジャッジメント』を発動。
【ライトオブジャッジメント】
【詳細】
閃光スキル。
かなりまぶしい。
しばらく周囲の視界を奪う。
「うぎゃあああ……目が、目がああああああああっ!」
青白い閃光が激しく点滅を繰り返し、グレンの視界を奪った。久しぶりに使ったが、便利だな、これ。
のた打ち回っているグレンを、メサイアは女神専用スキル『ホワイト』を発動して確保。別の亜空間へ転移させた。
そう、ホワイトで捕まえたわけだ。
「よし! これでグレンは“花の邸宅”から出られないわ!」
メサイアのホワイトの中には、俺たちの家がある。グレンは今頃、庭で転がっているだろう。
あの場所は、逃げようにも白い空間が続くだけ。メサイアの意思決定がなければ脱出不可能なのだ。
よし、これでグレンの確保は完了した。
再びエルフの里カムランへ戻り、ゼルフィナに引き渡すとするか。
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