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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第十五章 サクリファイス

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第590話 変わり果てた紅蓮の騎士

 グレンは、恐らく俺の作った島にいるはず。不在ならアーカム家へ帰っているかもしれないが。ともかく、いったん島へ戻ってみるか。


 丁度このカムランには、メサイアの設置した転移ゲートがある。


 ゼルフィナと別れ、俺たちはゲートへ向かった。今も機能しているようで、人の出入りも多いようだ。



「さすが、私ね!」

「ああ、メサイア。お前の功績だ」



 褒めつつも、ゲートを潜る。この先は島に繋がっているはず。



【ガルガンチュア島】



 そうそう、俺の島に名をつけた。その名も『ガルガンチュア』だ。……特に意味はないッ!



「久しぶりに島へ戻ってきましたね!」



 俺の右腕に頬をスリスリするフォルは、弾んだ声で喜ぶ。絶対、帰還の喜びではないな、これ。



「モンスターに襲われた様子もないわね。平和そのもの」



 漆黒(しっこく)の髪を風で揺らしながら、周囲を見渡すメサイアは上機嫌だ。たぶん、本音はカジノが無事で安堵(あんど)しているんだろうな。



「もう夜ですね、サトルさん」



 もう逢魔(おうま)が時。月がポツンと輝きはじめ、闇を知らせている。そろそろ帰宅としたいところだが、世界の破滅が迫っている。

 のびのびスローライフを満喫している場合ではないな。



「すまないが、みんな。飯は簡単なもので済ませるぞ」


「「「えぇ……」」」



 全員、嫌そうな顔ッ!


 そりゃ俺だって美味いもんを食っておきたいさ。世界の破滅も目前だしな。でも、悠長に食っている場合でもないだろ?



「その辺の屋台でタコス買って、食いながらいくぞ」



 どうやら、今日は『聖ロバート祭』らしく、屋台がズラリ。……なんの祭りだよ。



「ほお、聖ロバート祭ですか!」

「知っているのか、フォル」

「もちろんです。フリージアの聖女ですから!」


 えっへんと胸を張るフォル。詳細が気になるようで、リースが聞き返した。


「どういうお祭りなのですか?」

「良い質問ですね、リース。聖ロバートはレメディオス教会の聖人です。偉大な神父様だったのですよ」


「へえ~。その方を(たた)える為のお祭りなのですね」

「そういうことです」



 ほーん、俺は内容までは知らなかったな。

 おかげで屋台で食料を調達できるのでありがたいが。


 今回は緊急につき、俺のへそくりで支払うことに。

 俺はタコスを売っているおっちゃんに注文し、人数分を購入。みんなに手渡していく。


「ほら、これが夕食だ」

「へえ、珍しい食べ物ね。サンドイッチみたいな」



 大体間違っているけど、遠い親戚みたいなものだ。ちなみに、クレープの生地に肉や野菜がたっぷり盛り付けられている料理だ。


 贅沢なほどふんだんに肉と野菜が挟まっている。実に美味そうだ。


 真っ先にメサイアがタコスを口にした。



「う~ん! ちょっとピリ辛で美味しいわね!」

「ほら、ラムネの瓶」

「飲み物まで買ってくれるなんて、気が利くわね、サトル」

「腹が減ってはなんとやらさ」



 偶然、近くにラムネの瓶を販売している屋台があったんだけどね。

 そして、気づけば花火なんて上がっていた。


 たまやー…じゃなくて、これでは本当にお祭りだな。


 聖ロバート祭ってこんな賑やかなんだな。しかもなんで日本の祭りなんだよ。


 謎が深まるばかりだが、タコスは美味かった。

 フォルとリースも気に入ったのか、モグモグと小動物のように味わっている。


 すっかり夜になり、聖ロバート祭も盛り上がっている。こんなに大盛況だとはな。人混みも凄いことになっている。花の都ネオフリージアから多くの人が来ているんだろうな。


「浴衣の人が多いですね~」


 瞳を輝かせるリース。ああいう服を着てみたいのだろうか。


「世界の破滅を止めたら改めて祭りに参加しよう」

「そ、そうですよね。今は楽しんでいる場合ではありませんもんね」


 リースは妙に肩を落とす。本当は自由に楽しんでもらいたいところだが、タコスを食ったらグレンを探さねば。


 あの男を連れ出し、カムランにいるゼルフィナに引き渡す。でないと、スイカを探せない。


 そう改めて考えていると――人混みの中から慌ただしく動く女性がいた。ワインレッドの髪色をした妙に見覚えのある騎士。



「これも! これも! これもだ!」



 凄い量を屋台で買い込んでいるな。



「……あれ。あの赤髪の女性騎士さん、どこかで……」

「フォルも覚えがあるか?」


「ええ。でも、女性(・・)ではなかったような」



 そうなんだよな。あんな美少女なら忘れるはずが――って、こっちに来たぞ。



「やけ食いだあああああああああ!」


「!?」



 ぴょんと飛び跳ねて俺の前に着地する赤髪の騎士。ポニーテールを激しく揺らし、なぜか涙目。……可愛いな。


 いや、だけど俺の本能(・・)が悟った。

 この女性は……なにかおかしいと。


 な、なんだこの違和感。



「それ誰よ?」



 不思議そうに俺と赤髪の騎士を見つめるメサイア。そんな浮気の現場みたいな視線を向けないでくれ。



「知らん。でも、なんとなく覚えがある」

「は? 事と次第によっては……」

「馬鹿落ち着け! 死神オーラを出すな!」

「じゃあ、誰よ」



 そこが問題だ。俺は改めて赤髪の騎士に訊ねた。



「あなたはいったい?」

「……サトル! おれだ。おれなんだよ!!」


「新手のオレオレ詐欺か?」



「ちゃうわい! おれだよ。グレン(・・・)なんだよ!」


「へ……」



「「「えええッ!?!?!?」」」



 メサイアたちも一斉に驚く。それもそのはず。

 本来のグレンは“男”なんだからな。


 でも、今目の前にいるグレン・アーカムは“女”だった。しかも、すっげー美人。チャルチといい勝負だぞ。



「ど、どうしたのですか、その姿……!」

「よくぞ聞いてくれました、聖女フォルトゥナ様。実は――」



 グレンによればこうだ。


 ミクトランの命令で、かつてエルフの里カムランを支配していたポウラを拘束。

 大監獄ヘルヘイムへ護送した……のだが、ポウラが抵抗。性転換スキル『ペルソナ・ノン・グラータ』を食らってしまい、グレンは男から女になったという。


 そうか、ゼルフィナが言っていたっけな……!


 ポウラは大監獄へ収監されたって。

 その時の護衛がグレンだったというわけか。


 なんたる悲劇!



「お前、本当にあのグレンなんだな」

「そう言っているだろう! こんな凹凸の激しい体になってしまうとは……」



 悲しみに暮れるグレン。――いや、まて……すっげー美女なんだけど。普通に羨ましいレベルの容姿だぞ。もともとグレンは、イケメンだったからな。要素(それ)が反映されたってことか。



「そんな……ポウラのスキルを……」

「そうなんです。リースさん。おかげでヤケ食いしていたところです」



 それで屋台で食い物を爆買いしていたのかよ。せっかくスタイル抜群なんだから、もったいないと思うけどな。


 ともかく、これでグレンは発見できた。女になっちまったけどな。でも、グレンに変わりはない。カムランに連れていくか。

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