表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第十五章 サクリファイス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

596/611

第587話 『聖女』か『愛』か……

 もちろん、フォルを生贄なんてしない。

 それはメサイアやリース、ベルも同じ気持ちだ。


「フォルちゃん、生贄にならないで!」

「冗談ですよ、リース。ごめんなさい」


 リースから泣かれて困惑するフォルは、謝罪した。そうだぞ、仲間が泣くぞ。俺だってそんなの許さない。


「それよりどうするのよ、サトル」



 ジトッとした目を向けるメサイア。確かに、これでは振り出しというか、なにも進展しない。誰かを生贄に捧げる? ノーだ。


 だけど、このままでは世界が破滅してしまう。


 どうすりゃいい。



「やれやれ。やはり、このベイリンが生贄になるしかなかろう」

「婆さん! でも……」

「老い先短い老婆が生贄になれば万事解決。多くの命が救われる。そして、私は聖女としての本懐を遂げるというわけじゃな」



 そりゃ、聖女は神に祈りだけでなく、その身を捧げていくものだろうけど……生贄は違うだろう。

 ベイリンが消えてしまって悲しむ人だっているはずだ。


「だが……」

「バテンカイトス様の元にいけると思えば安いものだ」


 ダメだ。それは俺が許さん。

 アルクトゥルスとしてではなく――“彼岸花 理”として、それはダメだ。

 過去にも生贄はあったし、それで大変な目にも遭ってきた。

 誰かが犠牲になって創り上げられる世界なんて、もうゴメンだ。


 そうだ。


 そもそも、この異世界はかつて住んでいた何億もの人々の犠牲によって生まれた。これ以上、生贄を増やしてなるものか。



「んー…」

「どうした、ベル。珍しく考え事しているな」

「理くん、ヒドイなぁ。わたしだって考え事くらいするよ~」

「す、すまん」


「あのさ」

「うん?」


「破滅の回避方法だけど『儀式を止めたい場合、三日以内に――愛する者を生贄に捧げよ。魂と引き換えに、この儀式は無効化され、世界の破滅が回避される』だよね」


「そうだな」



 すると、ベルは脳内で言葉を咀嚼(そしゃく)しているのか、深く考えてなにか“答え”を導き出したようだ。



「これ、いけるかもね」

「なに!?」


 俺が驚くと、メサイアたちも驚く。



「ちょっと、ベル。どういうこと?」

「落ち着いて、シア。まだ五分五分なんだけどね」



 と、ベルは可能性を導き出していた。



「えっ、ベルさん。それって本当ですか?」


 今度はリースがベルに問いかける。


「うん。ちょっと思い当たる節があってさ」

「それって犠牲者を出すことなくってことです?」

「むー。それはどうかな。でも、たぶん大丈夫」



 おいおい、そりゃ凄すぎないか。

 本当なら革命的だぞ。


 フォルは祈りながらも「ベルさんの案なら信じられます」と同調した。……確かに、選択肢がない状況だからな。


 今はベルの案に乗るしかなさそうだ。

 そんなベルの前にベイリンが立つ。真剣な表情で。


「ほう。そこの女戦士、なにか妙案があると?」

「まあね。お婆ちゃんもフォルちゃんも、そして愛する人も失う必要はない」


「して、その方法とは……?」


 と、ベイリンの婆さんが効くと、ベルは静かにその名を口にした。



「ソウルフォースだよ」



 ソウルフォース?

 俺らは全員、首を傾げた。


 だが、俺はどこかで聞き覚えがあった。……何度か耳にしたワードだ。あれは確か、オプファだったか。それと勇者ユメの相方がそんなスキルを使っていたと思う。



「ベル、それってスキルよね?」

「正解だよ、シア。そう、ソウルフォースはスキル。偉大な魔法使い、特殊な力を持つ者にしか扱えない奇跡の魔法」


「それとなにか関係があるの?」


「うん。昔、ミクトランが言っていたんだけどね。ソウルフォースは万物の力。極めれば“物”に魂を宿すことも可能だって」



 む、物に魂を?

 それって、家の机や椅子でもいいってことか。石ころでもよさそうだな。……って、まさか。


「ベル、それってソウルフォースを使って“物”に魂を宿わせて生贄にするってか?」

「その通りだよ、理くん。その辺の石でいいと思う」


「なるほどな。それはイケるかもしれないな」


 例えば、石ころに魂を付与して――それを生贄に。……って、それはそれでちょっと心苦しさも芽生えそうだが、石ころには変わりない。

 意思を持つわけではないし、言葉を発するわけではないはずだ。石だけに。


「この場合は、お墓だとか仏壇にお供えをするようなイメージだから、大丈夫じゃないかな」


 ベル言う通りだ。あくまで物は物。さすがに世界の命運が掛かっているんだ。石に同情なんてしている場合ではない。



「なるほど。ソウルフォースで物に魂を……考えたこともなかったです」

「聖女であるフォルとしては、どうなんだ?」


 俺が聞くと、フォルは笑顔で答えた。



「アルクトゥルスはお許しになるでしょう。というか、兄様が神様なので問題ありませんっ!」


 ぴょんと俺に飛びついてくるフォル。……それでいいのかよ!


 ええい、仕方ない。


 そのソウルフォースで物に魂を付与するプランでいこう。

 って、まてよ。


「ベル、その物に付与しても……聖女か愛する者でなければいけないんだよな?」

「だから愛すればいいんだよ」


「なに!?」


「物でも愛すれば、それは愛だよ!」



 珍しく言葉に力を込めるベル。そりゃ、物に愛情を抱く人もいるけどさ!

 でもそれは物によるけどな。



「石は愛せないぞ」

「努力するしかない」 

「んな無茶な」



 とにかく、そのソウルフォースの使い手を探す必要がありそうだな。どうしたものかね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ