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ゴミ回収能力で最弱無双   作者: もみ
2章
11/14

10話

いっぱい書いたった(´◉◞౪◟◉)

 俺が目を覚ますとベットの上に横たわり点滴をうけていた。


「知らない天井だ」


 このセリフは一度言ってみたかったんだよな。


「言ってる場合ですか!心配したんですよ…!」

「おにいちゃん大丈夫?」

「すまない猫屋敷、まなちゃん」


 傍らにいたのは俺の手を握り、涙で目を腫らした猫屋敷とまなちゃんだった。


「それとトイフェルもいるんだろ?」

「えぇもちろん、ゴミ能力者君が倒れた時からずっとね。私がいなかったら君は出血多量で今頃天国にいただろうね、いや地獄かな?」

「俺を助けてくれたのか?」

「だってゴミ能力者君がいなくなちゃあつまらないじゃないか」

「ありがとうトイフェル」


 理由はどうあれ命を助けてくれたからにはお礼をしなければならない。

 それに俺は助けられてばかりだ、あの城がここに来た時もアビリティの使用範囲許可範囲外のヒノキを出してしまい、倒れたところをトイフェルとまなちゃんに助けてもらったのだった。


「なぁ、トイフェル、俺はなんで倒れたんだ?車に轢かれてかすり傷がついたのは覚えてるんだが、それ以降の記憶が曖昧なんだ」

「君は紅血の薔薇紅血の薔薇ブラッディ・フィリアを発動して倒れたんだよ、出血多量でね。私が止めてなかったらあのまま逝っちゃってたよ」


 紅血の薔薇?なんだそれは、俺そんなアビリティ持っていないはずだがどういうことだ?


「紅血の薔薇は魔法よ。きっとそこの猫屋敷ちゃんが、魔法は血と同じように体内に流れていてそれを放出するイメージ、と言ったのを聞いて極端に血をイメージしすぎたんだろうね」

「ご、ごめんなさぃ、あたしが余計なことを言ったから……」

「いや、猫屋敷ちゃんは悪くないよ。猫屋敷ちゃんのその認識はだいたいあってるからね。悪いのはこいつの頭。まあでも良かったじゃない紅血の薔薇は紅血シリーズでも最高位の魔法よ。それに威力、防御能力もあるわ。その代わりつかう血の量が多いんだけどね」


「おにいちゃんもうそのまほうつかっちゃ、め!いくらまながかいふくまほう使えても、もうおにいちゃんにたおれてほしくない」

「わかった、もう使わない。ごめんね心配かけちゃって」

「うん…うん!」


 まなちゃんは俺が起きてから今まで泣くのを我慢していたようだが、トイフェルの使う血が多いという言葉を聞いてからそのダムが決壊したように泣き出してしまった。それにつられて猫屋敷もちょっと涙ぐんでしまっている。二人の頭を撫でてやる。



「おいにいちゃん大丈夫なのか!!」


 このお葬式ムードを壊すように俺のいる病室に入ってきた達磨。その後ろには俺があつめたアビリティ保持者達が列をなしていた。みな一様に心配そうな顔をして俺の病室に押し寄せてくる。


「あらあら、もうすっかりみんなのリーダーって感じじゃない。まだまだ頼りないけど」


 と言い残しすっと消えるトイフェル。なぜか俺のとこには頻繁に現れるが他のアビリティ保持者の前にはなかなか姿を現さない。そんな頻繁に現れては女神感が薄れるからだろうか?



「すまないみんな、俺はもう大丈夫だ。達磨くらいなら3秒で決着がつくくらいには回復した」

「そんな軽口叩けるんなら問題ないな」


 この達磨、最初の出会いは最悪だったが実はいいやつなのだ。前回、魔物の討伐数の管理が不可能だと打ち明けた時も怒り出すこともなく俺を許容してくれた、俺をリーダーだと認め次の指揮を仰いでくれた。そのおかげで俺は今もたくさんの仲間に囲われている。


 「これもいい機会だ。俺がこうなってしまった理由を話そう」


 それから俺はこの世界に魔法が満ちていることをみんなに話した。驚くかとおもっていたがそんなことも無くアビリティがあるなら魔法もあるんじゃないかと思っていたらしく案外みんなすんなりと受け入れてくれた。

 猫屋敷が海岸で魔力を放った時、魔力を知らなくてもびりびりと肌に何かを感じていたというのも相まって特に困惑した様子もなくこれから自分はどんな魔法が使えるようになるのかとか、使えないアビリティを掴まされたものも魔法が使えるのならば自分もみんなのために戦えると意気込み、楽しそうに談笑していた。


 ここに瞬もいたら良かったのに。

 瞬…。そうだ、瞬はいまだ壁の外のシェルターにいるはずだ。こんなふかふかのベットで寝っ転がっている場合ではない。壁を作るだけなら頭の悪い俺でもできる。まずはこの地域をまとめる人に区役所の使用許可をもらわなければならない。そして一刻も早く他の地域にも壁を作らなければ。


「俺はもうすっかり回復した。今から区役所をギルドとして使えるか許可を取りに行く」

「なら俺もいく、あのじじいとは顔見知りだからな」


 顔の広い達磨は1つ持っておくべきものだ。





 達磨の案内で自宅まで連れてきてもらった。許可をもらいに行くとは言ったがどこに行けばいいのかわからなかったので達磨ナイスである。


「ここだ、名前は天羽理あもうおさむ。くれぐれも失礼の内容にな」

「わかっている」


 達磨がチャイムを押し、中から柔和な笑みを浮かべ白髪をオールバックにしたダンディなおじさんが出てくる。


「おお、城門きど君じゃないか、どうしたのかねわざわざ家まで来るなんて」

「よお天羽さん、いや実はこいつが天羽さんに話があるってんでな」

「わたしに話?そうか、とりあえず中に入りなさい」


 どうやら話を聞いてくれるようだ。門前払いされる可能性もあったがひとまずその心配は無いようだ。


「それで、話というのは?」

「単刀直入に言わせてもらいます。あの区役所を俺にください」

「区役所を?なぜ」

「既に知ってるとは思いますがこの街、いや日本全土に魔物が出現しています。ひとまず安全を確保するために俺が壁を作りましたが、すべての魔物の討伐はそう簡単にできません。簡単に言うと魔物を街に入れないよう討伐または絶滅を目的としています。そのためにギルドという組織が必要なのです。」


 しばらくの沈黙のあと天羽さんは口を開く。


「話は理解した。つまり壁を作ったんだから区役所をよこせということだな」

「そういうことです」

「なるほど、だがそれは無理だ少年。君が壁作ってくれたことによってこの街の住民が自分の家に帰れた事、安全が確保されたことには大いに感謝している。だが区役所を与えることはできない。区役所には総務部、市民部、地域整備部、福祉保健センターなどの街に必要な設備が多く存在している。未だ行政機関が活動している以上、納税部、課税部の活躍を止めることはできない」

「そうですよね…」


 この展開になるのは予想通りだ。あとは空いている小さい土地をくれと言えば、あーそれくらいはいいかー。となるわけだ!

 これをドア・イン・ザ・フェイス・テクニックという!


「まぁ最後まではなしはきくものだ。私は何も君になにも与えないなんて言ってないだろう?それにこの地域を治めるものとして、民間人の安全を確保してくれた君に何も褒美がないなんて格好がつかない」

「というと?」

「君には土地を買い与えよう。そこにギルドでも何でも建てるといい。本当はもっと力を貸したいところなんだけど、職権を乱用していては信用にかかわるからね。私個人から小さな英雄にささやかなプレゼントだよ」


 !?!?!?!?

 どういうことだ、俺が要求しようとしていたことを先に言われてしまった。しかも無駄にかっこいい。

 いやまずは落ち着こう、冷静を装うんだ。


「土地を?俺が嘘をついてるとはおもわないんですか?」

「城門君が連れてきたんだ。それだけで信用に足る人なのだよ」


 そしてこの過大評価である。中身までダンディ。

 ていうかこの達磨何者なんだ、ぱっと見ただのゴリラなんだけど。


「ありがとうございます。それとギルド職員として区役所の肩から何人か貸してほしいんですけど」

「あぁ。、それくらいなら構わないよ」

「ではまた、ギルドが完成したら是非ご招待させてください」

「楽しみにしているよ」


 俺は、天羽さんをギルドが完成した時に招待することを約束して家を後にする。

 あのドア・イン・ザ・フェイス・テクニックをずっと使ってみたくて使うならあそこしかないと思ったのに。

 区役所をギルドとして使うと宣言した時から秘かこのテクニックを使おうと皆にも言ってなかったのに。

 達磨からしたら区役所を勝手にギルド化して結局は許しを貰えなくて寛大な大人から土地をもらったまだまだ青いやつって見られてたのかな。やっぱり余計なことはするもんじゃない。



 それから数日が経って達磨から天羽さんが土地を買ってくれたとの報告を受けた。

 そこは北門から3キロほど離れたところにあるというので早速向かうことにする。


 達磨から指定された場所に行くと3ヘクタールほどの広大な土地が用意されていた。

 3ヘクタールは某ドームの半分より少し大きいくらいか。天羽さんはささやかなプレゼントとか言っていたがこれでささやかなら豪華なプレゼンとになったらいったいどれくらいの金額までだすんだろうか……。


 もちろんこの広さにも驚いたがもう1つ。この土地全体に雑草が生い茂っている。ここを全部自分で刈らなければいけないということは盲点だった。

 草刈り機があれいいんだがそんなもの買ってる余裕はない。よし、少しづつやろう。


 まずはムーブストーンで土地の中の石を避ける作業だ。避けるといっても数センチしか移動できないので何度も繰り返す。レベルアップのおかげでなんと移動距離が6センチまで伸びた。やったね。

 ここで新しい発見があったのだが、どうやらムーブストーンは移動距離が短い代わりに範囲選択ができるらしい。そして横への制限はあるが上への制限は無かった。上に移動したところでこの作業は終わらないので何も嬉しくなかった。範囲選択はうれしかったが。


 というかこういう事をちゃんと書いてほしい、他のアビリティも然り。

 今のムーブストーンの説明のままだとただ石を数センチしか動かせないゴミアビリティだ。上空への移動制限は無く範囲選択ができると知っていれば他に使いようがあるはずだ!ぱっとは思いつかないが……。

 い、今はあれだ、そのー、石を避ける作業中だから思いつかないだけだ、ちゃんと考えればなにか1つくらいはでてくるだろう…。


 アビリティについて考えるのもこのくらいにして3ヘクタール分の石の範囲を選択してムーブストーンを何度も発動する。

 1日目はこの石を避ける作業だけで終わってしまった。約2500回程発動したが半分くらいの石しか取り除けなっかた。あと半分は明日やろう。


 二日目も同じように石を取り除く作業だ。この日もすべて石を取り除く作業に費やし2日かけやっと石を取り除くことができた。


 3日目はいよいよ草刈り。ここでかっこよく一気にアビリティで刈り取れたらどれほど楽か。刃の衝撃波とか飛ばしたい。

 そんなアビリティはもちろん持っていないのでエルツファーレで大きめの刀を作りフェルムクレイで変形させ大きな鎌にする。丁度俺くらいの大きさだ。

 一振りで1メートルくらい刈り取れる。切れ味良好、だがかなり重い。遠心力使わないと振れないんですがそれは。


 大鎌を3回程振り回したあと3ヘクタールの広大さと今刈った範囲を比較してしまってうち拉がれる。

 明日はみんなも連れてこよう。この地獄はみんなと共有すべきものだ。

 とりあえず草刈り1日目は100回程大鎌を必死に振り回したくらいで筋肉が悲鳴をあげ泣き叫んでいたのでかえって休養をとることにした。


 草刈り2日目。今日はまなちゃんと達磨含む20人を連れギルドが建つ予定の空き地まできた。


「ここにギルドをつくる!見ての通り雑草だらけだ、もう察したと思うがみんなで草刈りだ。でっかい大鎌渡すから各自振り回していっぱい草を刈ってくれ。ちなみに報酬は出ない」


 俺の報酬はでない宣言をした途端今までもいやそうだったのに更に嫌そうな顔をしていた。それでも帰らないんだからこいつらは生粋のお人よしなんだろう。


 俺が昨日同様エルツファーレとフェルムクレイで大鎌を作り一人一人に渡していく。女性にはもちろん少し小さめの鎌を渡している。達磨は筋骨隆々なので一回り大きい鎌を渡したがなんら嫌そうな顔もせずそのまま作業に向かっていった。少しいじわるして反応を見て楽しもうとおもったのに人より大きな鎌を軽々と振り回してすごいスピードで草を刈っていた。有能すぎだろ。

 それと重要なことを言い忘れていた。


「お前ら、筋肉痛になったらまなちゃんに癒してもらえ。無限労働だ!今日は1ヘクタール終わるまで帰さねえからなぁ!」


 俺も昨日の草刈りで精神がやられたのか少しテンションが高めだ。

 みんなも「横暴だ!」「ブラックだ!」「ゴミがぁ!」「まなちゃんに癒してもらえるならずっとやってやる!」とか文句を垂れながら一生懸命に鎌を振り回している。


「まなちゃん、俺の筋肉痛を魔法で癒してくれないか?」

「きんにくつう?」

「うん、俺の筋肉が痛いよって泣いてるんだ。だから治してくれるかい?」

「そーなの?かわいそう!まなが今すぐ治してあげるから泣かないで?」


 うーん、いつ見ても天使。

 まなちゃんはヒーラーのジョブだからアビリティ保持者の様に1つしか技が使えないという訳ではない。様々な種類の回復魔法を覚えていく。魔物討伐で毎日のように怪我をして帰ってくるアビリティ保持者を治しているからか魔力量も多い。それにまだ若くて脳の海馬が新しいからか吸収がとても速い。ここを直してというとすぐさま「まなが治してあげる!」と言い、治してくれる。

 今の様に筋肉痛や他の単語が分からないときはちゃんとどこがどう痛いのかという説明の後に「泣いている」などの悲しんでいるという表現を使うと、まなちゃんもすごく悲しそうな顔をして一生懸命魔法をつかい治してくれる姿がとても愛らしくみんな虜になってしまっている。


 こんな感じで5時間ほどみんなで草刈りを行った。草刈りを終えたもの達がまなちゃんの前に列をなしている。筋肉痛を治してもらうようだ。かくいう俺もその列に混ざって回復待ちだ。


「まなちゃん、俺は治してもらうより超回復を促進させたい」

「ちょーかいふく?」


 達磨がまなちゃんに超回復について説明する。


「今俺たちの筋肉は今いっぱい使ったから壊れている。その壊れた筋肉を治そうとしてくれる妖精さんがいるんだ。でも小さくて力も弱いからその妖精さんを頑張れって応援する感じでまなちゃんの小さな魔力をここに置いてくれ」


 と、左右の広背筋と三角筋を指さす。筋トレに貪欲すぎだろ。


「どうしてすぐ治しちゃダメなの?」

「そうしたほうが強くなれるのさ人間は」

「そーなの!じゃあみんなもそうやって治してあげるね!そしたらみんな強くなってまものさんもすぐ倒せるね!」


 まなちゃんからしたら100%善意なんだろうけど今日この草刈りをしたもの達からすれば治ると思っていた筋肉痛が治らなくなったのだから悲惨だ。

 何人もの人がまなちゃんに「頼む全部なおしてくれよぉ」と頼んでいるがまなちゃんは「だめ!強くなれないよ?」ときっぱり断っている。


「まなちゃん、俺は全部治してくれるかい?ほら、もう強いし」

「おにいちゃんにはもう倒れてほしくないからもっと強くなってほしい!だからだめ!」

「さいですか…」


 2日目は結局1ヘクタールも終わらず、みんなの達磨を軽蔑したような目とともに終わりを告げた。


 3日目。今日も草刈りだ、昨日とはメンバーを少し入れ替えた。筋肉痛で何人かダウンしてしまったのだ。今日初めてここに来た人には大鎌を渡しとりあえず振り回せ。と限界がきてもまなちゃんに治してもらえ。ということだけを伝え、俺のぶんの大鎌を作り早速草刈りを始める。

 まなちゃんには昨日達磨の言ってたように回復するのは1日の最後だけにしてくれと頼んである。恒例の「どうしてー?」と返されたが「そのほうがみんなが喜んでくれるよ!」といったら素直に受け入れてくれた。


 みんな大鎌を振り回し筋肉が悲鳴を上げればまなちゃんに治してもらい今日も草刈りを終える。

 俺が終了の合図を出すと、早々に大鎌を投げ出しまなちゃんの元へと向かっていく。そして完全に治らない筋肉痛との勝負がここから始まる。


「情けねえなお前ら、ほら全員分のプロテインとささみだ。ほんとは間食にプロテインバーでもあればいいんだけどな」


 いやいや達磨さん筋肉つけることに本気すぎじゃないですかね。



 それから約1週間で3ヘクタールの雑草を取り除くことに成功した。超回復を繰り返し毎日筋肉を酷使し続け、毎日達磨が持ってくるささみやプロテインでたんぱく質を摂取していた俺らは雑草を狩り終えた時、みんなかなり筋肉質になっていた。今までがりがりだったやつも腕や胸板が一回りくらい厚くなり、筋肉をつける土台の整っていた少し脂肪のついていたもの達は達磨には劣るもののかなり筋肉が発達していた。

 それは女性も同じようで猫屋敷や他の皆も体が引き締まったと喜んでいた。女性は少し筋肉がついているほうが健康的にも良いし体のバランスもとれているので俺は好きだ。


 草を刈ったは良いものの建物の土台となる基礎とやらの作り方はわからない。困った。


「剣太、これからギルド作るための基礎工事するんだろ?知識はあるのか?それともあてがあるのか?」


 声をかけてきたのは茶色の髪を邪魔にならないように後ろで1つ、三つ編みに縛り、上着を腰に巻き、だぼだぼのズボンに薄汚れたタンクトップを着た、いかにも建設やったことあるよ、という風貌の女性、酒匂紫さかわ ゆかりさんだ。


「いやそれが、基礎工事のことをすっかり忘れていてこまっているんだ」

「ならあたしにまかせな、こう見えても建設会社で働いてたんだ!仲間を連れてきて基礎くらい作ってやるよ!ギルドの規模と形はもう決まってるのか?」


 こう見えても、というか見たまんまだ。なんとなく想像はできたが運よく建設業の人だった。


「まだなんにも決めてないんだ、草刈りに気をとられちゃって…」

「もー仕方ないなー剣太は、設計もあたしがやってやるよ!なんならうちで全部やっちまうか?」

「いやそれは申し訳ないから設計までお願いしてもいいか?あとはそれを見て俺がヒノキマスターでギルドを作る」

「そのヒノキマスターってのはそんな細かい作業までできるのか、羨ましいね。あたしのアビリティのレプティルなんてただ爬虫類になつかれやすくなるってだけだからね。あ、でも毎日鎌振ってたおかげで鎌鼬っていう魔法は覚えたけどね」

「え」


 何それ聞いてない。


「ん?今回この草刈りに参加してたやつは全員覚えてたよ?まさか剣太、覚えてなの?」

「そのまさかです…」


 嘘だろ、俺のほうが1日多く鎌を振っていたというのに俺だけ覚えてないとかあるの?理不尽だ、俺はもっとチート能力と強い魔法で無双することを夢見ていたのに。


「まあいいじゃないか、いろんなアビリティ持ってるんだしさ」

「ゴミですけどね。」

「でも最初に城門と戦った時消えたりすっごく早くなったりしてなかった?」

「あれは透明化できる代わりに解除後1分間の硬直とスピードが上がる代わりに止まったら死にます」

「あら。難儀なアビリティなのね」


 難儀なアビリティだと言いながらも楽しそうな表情で話す酒匂さん。この人はいつも楽しそうだ、草刈りの時も女性の中で唯一大鎌を使い笑顔で振り回していたし。この人はどんな時でも笑顔なのだろう。


「まあ設計は任せてよ、任せてって言ってもどうせ何も考えてないんだろうなと思ってだいぶ前から考えてたものがあるんだけどね。天羽さんはギルドでもなんでも建てると良いって言ってたんだよね?じゃああの人のことだし建築確認申請も出してるだろうから早速明日から着工するよ!10日くらいかかると思うからその間壁の外の魔物でも狩ってて頂戴?」

「わかった、ありがとう酒匂さん」




 土台は10日くらいでできるのか。ならその間は酒匂さんの言う通り魔物でも狩って第2の壁でも作ろう。ここまで来るのにずいぶんと時間をかけてしまった。瞬や他のひとの安全を一刻も早く確保しなくてはならないな。

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