〔 自宅 〕居間
【 地 上 界 】
≪ 自宅 ≫
居 間
嫉 妬
電 話
かなみ
「ただいま〜! お母さん、お風呂沸いてる〜?」
?
「お帰り、かなみん。母さんなら外出中だよ」
かなみ
「つぐみん?! お帰り〜、帰ってたんだね♪」
ソファーに凭れて私に声を掛けたのは、越前つぐみ。
私の双子の兄。
私よりも出来が良いらしい兄は、県内で唯一幼稚園から大学迄をエスカレーター式に上がれるマンモス校、櫻田藏私立高校に編入して通っている。
寮生活をしているから、連休にならないと帰って来ない。
二連休だから帰って来たんだろうな。
お母さんが外出中って事は、夕飯はつぐみが作るの〜??
つぐみ
「かなみん、『夕飯は僕が作るのかな〜?』とか思ってるだろー?」
かなみ
「おおっ、双子特有のミラクルテレパシー!」
つぐみ
「オツムの悪さは相変わらずみたいだね。期待を裏切らない奴だな〜、かなみんは」
かなみ
「私が馬鹿みたいに言わないでよ!」
つぐみ
「馬鹿だろ。自覚してよ、かなみん」
かなみ
「ムカつく〜」
つぐみ
「お風呂入りたいんだろ? 沸かしといてやったから有難く入りなよ」
かなみ
「えっ、本当? 有難う、つぐみん♪♪ 大好きぃ〜(ハァト)」
つぐみ
「うむ、素直で宜しい! それより遅かったな。何時もならTVにかじりついて独占してる時間なんだろ?」
かなみ
「TVにかじりついたりしないよ! 歯が使い物にならなくなっちゃうじゃない!」
つぐみ
「……やっぱ馬鹿だ。さっさと入って来いよ。僕が夕飯作ってやるから」
かなみ
「やっぱり、つぐみんが作るの?! ……えと、つぐみんって、料理とか出来るの?」
つぐみ
「随分な言い様だな。実家でグータラ生活を満喫してるダメダメな妹と違って、僕は寮暮らしだからね。料理くらい出来るよ」
かなみ
「私、グータラ生活なんてしてないけど!」
つぐみ
「だったら、風呂くらい自分で掃除して沸かして入りなよ。僕が入れたお湯は全部抜くからさ」
かなみ
「ごめんなさい〜、お兄ちゃん! グータラ生活、満喫してますぅ〜。認めるから入らせてぇ〜!!」
つぐみ
「……本っ当、調子いいよな。僕と同じ顔してるのにさ」
かなみ
「顔は関係ないよ。じゃあ、入って来るね〜」
つぐみ
「ゆっくり入ってていいから。夕飯はお楽しみに☆」
かなみ
「楽しみ〜♪
(胃薬は要らないよね??)」