〔 ドライブ 〕透明人間
後ろから複数の笑い声と話し声が聞こえる。
何だか耳障りな声。
段々と此方に近付いて来るみたい。
大学生かな?
大学生♀
「チッ、邪魔っ!」
えぇっ?!
私、今、舌打ちされた?!
舌打ちした大学生が身体を強くぶつけて来た事で、私はバランスを崩してしまった。
片足を挫いてしまった私は、もう片方の足を滑らせてしまい──、「あっ」と小さな悲鳴を上げた時には落ちてしまった。
線路に落ちてしまった私の視野に入るのは、コンクリート。
電車が来る気配は未だ無い。
電車がホームに入って来る前に、身体を起こして、上に戻らなきゃいけない。
でも、どうやって??
先ずは立たないといけないけど、挫いてしまった足を動かして立つのは困難で、上手く立てない。
どうしよう。
どうしたらいいんだろう。
声を上げて、つぐみや八逗君の名前を呼ぶけど、気付いてもらえないんですけど……。
どうして誰も気付いてくれないの??
普通(?)はさ、誰かが線路に落ちたりしたら、誰かが叫んだりして気付くよね?
どうして、つぐみも八逗君も、他の人達も誰一人として私に気付いてくれないんだろう??
私が見えないのかな??
……まるで私が此処に居ないみたいに??
あ…………音が鳴る。
電車がホームに入って来る。
……やっぱりだ。
駅員さんさえも私に気付いてくれない。
かなみ
「……どうして皆、私に気付いてくれないのぉ?? 私……電車に轢かれちゃうよぉ……」
誰にも気付かれなくても、何とか頑張って線路とコンクリートの隙間に入らなくちゃ──!!
入れたら助かるかも知れないし。
荷物は諦めた。
線路から出る為に、挫いた片足を引き摺って移動する。
なんだけど、どうしても早く動けない。
なんで??
どうして??
これが私の運命なの??
線路に落ちて、電車に轢かれて、死んでしまうのが、私の人生なの?
こんな最後を迎える為に、私は今まで生きて来たの??
私……未だ、死にたくないのに……。
どうして、死にたい人じゃなくて、死にたくない私が死なないといけないの??
未だ、一五だよ!
私の寿命は一五歳で終わりなの??
電車が迫って来る。
電車の運転手さんも私には気付いてくれないんだ。
私は、此処で、電車に跳ねられて、轢かれて、死──。
ライトが眩しくて、目を開けていられなくて、私は瞼を閉じた。
身体がピクリとも動かないから、私は、もう────。




