〔 デート 〕善師駅
かなみ
「うわ〜! 来ました〜、隣町っ!!」
電車を降りるや否や、かなみは両手を広げて大声で叫ぶ。
つぐみ
「もう〜、かなみんったら〜恥ずかしいでしょう? 女子は嬉しくてもそんな事しないの〜」
無駄にはしゃぐ双子の妹の行動をクスクスと笑う。
直智
「つぐみんはしないのか?」
つぐみ
「どうして?」
直智
「双子なんだろ?」
つぐみ
「双子だからって同じ行動をすると思ったら大間違いよ? ヒッチーったら失礼さんね」
直智
「……あ、ごめん」
つぐみ
「ふふっ、許してあげる。かなみんに初めて出来た男友達だもんね」
直智
「初めて? イッチーは友達じゃないのか?」
つぐみ
「イッチー? ……ああ、愛の事ね? 愛は幼馴染みだから友達とは違うの。姉兄妹って感じかな。私達の家はね、お向かいさん同士だから、生まれた時から仲がいいの」
直智
「へえ、そうなんだ?
(かなみんとイッチーってお向かい同士だったのか。──!! そっか、それで毎朝、二人一緒に登校してたのか!)
えーと、つぐみんはかなみんと高校違うのか?」
つぐみ
「ヒッチーたら、私が気になっちゃう?」
直智
「えっ?! いや、そう言う訳じゃ……」
つぐみ
「冗談よ? 私はかなみんと違ってデキがいいから名門高に通ってるの。連休だから帰って来てるけど、普段は高校寮で生活してるの」
直智
「寮で?! じゃあ、──そっか、悪い事しちゃったな。俺、何も知らなくて……。かなみん、連れ出してごめんな?」
つぐみ
「気にしないで。
{私こそ、デートに付いて来ちゃってごめんね}」
直智
「んなっ?!!」
つぐみ
「あら、違っちゃった?
{本当は、かなみんと二人きりで遊びたかったんでしょ?}」
直智
「あ……いや、その……まあ、ハハハ……」
つぐみ
「隠さなくていいよ。かなみんってば見た目以上にフワフワしてるから、ちゃ〜んと掴まえとかないと〜〜〜」
直智
「……掴まえとかないと??」
直智はゴクリと唾を飲み込み、意味あり気なつぐみを見詰める。
つぐみ
「直ぐ迷子になっちゃうの! ね、もう居ないでしょ? ジッとしていられない子なの。落ち着きが無くて困っちゃうわよね〜?」
直智
「かなみん?! 迷子って──、未だ駅の中だぞ!」
つぐみ
「手の掛かる妹だわ〜。改札口を出てなければいいんだけど……。本当にフリーダムな子なんだから〜。
(よし! かなみんの方向音痴のお陰でヒッチーと二人きりになれたぞ!)」




