〔 デート 〕迷子?
かなみ
「──あれ? つぐみんと八ちゃんは?? ……もうっ、二人共、何処に行っちゃったの? 二人して迷子なんて恥ずかしいんだから〜! うん、駅員さんにお願いして放送で呼び出して貰っちゃお〜と♪」
?
「それだけは止めてやれ」
かなみ
「うな? ──あっ!!」
?
「朝っぱらから騒がしいな、越前は……」
かなみ
「芦屋先生!! なんでこんな所に先生が? ──ハッ! もしや、私の──」
芦屋先生
「断じてストーカーではないからな!! 此処は最寄り駅だ!」
かなみ
「そうなんだ? 良かった〜! 担任の先生が犯罪者だったらどうしようかと……ホッ!」
芦屋先生
「全く、失礼極まりない生徒だな、越前は……。ところで、八逗が来てるのか?」
かなみ
「はあ、確かに八ちゃんと来てますけど……ってぇ、どうして先生がその事を?! ──ハッ! まさか、私を盗聴──」
芦屋先生
「誰が好き好んで盗聴等するか! ホームでそれらしい男子を見掛けただけだ。仲良さそうに話して居たと思ったら、もう迷子か?」
かなみ
「ムッ。迷子じゃないですぅ〜! 迷子なのは、つぐみと八ちゃんですぅ〜!」
芦屋先生
「つぐみ?? 八逗と話していたのは越前じゃないのか?」
かなみ
「それは私の兄です!」
芦屋先生
「兄だと?? 長髪でスカートを履いてる兄が居るか!!」
かなみ
「ううっ、……本当は兄なんですけど、今日だけ姉なんですぅ……」
芦屋先生
「訳が解らん。越前の兄は女装が趣味なのか?」
かなみ
「違いますっ! つぐみんに女装趣味は無いです! ……と信じたいです」
芦屋先生
「其処は身内として信じてやれ。まあ、普段から女装趣味皆無な男が女装をするには、それなりの理由━━、女装をしなければならない様な余程の事情があるのかも知れんな。温かい目で見守ってやれ、妹としてな」
かなみ
「事情なら知ってます。私に初めて出来た男友達を見極める為だとか言ってました」
芦屋先生
「……は? ──越前、お前は高校生にもなって男友達が今の今迄、居なかったのか? 一人もか?!」
かなみ
「はい、居ませんでしたけど?」
芦屋先生
「…………。そうか、まあ、そうだな。お前は他の女子生徒からも浮いてる存在みたいだしな……。そうか、良かったな、越前」
かなみ
「はい♪ でも〜意外過ぎますよね〜」
芦屋先生
「何がだ?」
かなみ
「先生に優しい言葉を言われたり、頭を撫でても貰えるなんて〜。教室では虐待教師なのに〜」
芦屋先生
「──ばっっ!!
{こんな人の多いホームで、とんでもない発言を軽々しくするなっ!!}」
かなみ
「{先生、これってセクハラ? それとも拉致??}」
芦屋先生
「越前、お前なぁ〜。──っとに、無知も大概にしとけよ? 俺が心の寛大な担任で良かったな」
かなみ
「へえ? 先生って寛大なんだ? 『寛大』とは無縁な先生かと思ってました。バケツ持たせて案山子立ちさせられたし」
芦屋先生
「懲りたなら、授業中に居眠りするなよ」
かなみ
「は〜い。努力してみま〜す。
{多分ね}」
芦屋先生
「こらっ、小声で『多分』言うな! ちゃんと聞こえてるんだぞ」
かなみ
「うっわぁ! 先生ってば本当に地獄耳なんだ〜」
芦屋先生
「お前の小声が小声になってないんだ。全く……」
かなみ
「先生はどうして最寄り駅に居るんですか?」
芦屋先生
「うん? ああ、両親を見送りにな」
かなみ
「えっ?! 先生にも親が居たんですか??」
芦屋先生
「居るぞ、当然だ。何だ、越前は俺を何だと思ってるんだ? 木の股から生まれたとか言う気じゃ無いだろうな?」
かなみ
「鸛さんが落としたキャベツから生まれたかと……」
芦屋先生
「本気か? 本気で言ってる訳じゃないな? 冗談で言ってるんだろう?」
かなみ
「…………」
芦屋先生
「こらっ無言で返すな!! はぁ……疲れる」
かなみ
「先生、年だもんね?」
芦屋先生
「なろっ! 俺は未だ二五だ!! 未だお兄さんだぞ!」
かなみ
「四捨五入すると〜、お・じ・さ・ん、ですよ〜?」
芦屋先生
「四捨五入すなっ!」




