第6話:伝言
先ほどの受付でもらった説明書によると、クエストは左手にある冒険者カウンターで受けられるそうだ。
「どんなクエストがあるんですかね?」
フィリスとそのような話をしながら、カウンターに行き、話を聞こうとした時だった。
扉が開き、装備を固めた兵士が数人入ってきた。
ギルド内にいる人々も驚いている。
どうやらただならぬ事態のようだ。
彼らは受付など目もくれず、私達に向かってきた。
「あなた様が、ギルド冒険者No.722415:ロレイア・バーベンシュタイン様とギルド冒険者No.722414:フィリス・エリデアム様でお間違いないですね?」
その兵士達の中でも位の高そうな壮年の男が話しかけてきた。
「あ……ああ。間違いない。」
「は……はい。」
突然話かけられたことに驚きながらも返事をする。
周りから何かしでかしたのか……?という視線を感じる。
特に思い当たることはない……と言いたいところだが、ゴブリンに襲われた際の攻撃で森を焼いてしまったから。というのもありうる。
「お二人にはギルドマスターより伝言を預かっておりますので、お伝えします。」
「ギルドマスターからだと!?」
ギルドマスターと言うのは、そんなにギルドに入ったばっかりの新米に声をかけるほど優しい人間なのか?いや、周りの人々が驚いていることからもわかるが、これは異常事態だ。
こほん。と男が咳払いをして読み始める。
『今すぐギルド本部に来い。飛竜を使いに出してやる。』
「とのことです。」
まさか、冒険者となって一度のクエストもこなすことなくギルドマスターに会うこととなるとは。
私が口を出そうとする前に、フィリスが前のめりに口を開く。
「ギルド本部って、パルデノシアにあるギルド本部ですか?」
「?そこについて、何か知っていることがあるのか?」
フィリスは基本的には村のことしか知らないはずでは?
「いえ、村を抜け出した叔父がギルドって組織の本部があるサリアムで働いてるって話を聞いたことがあったので、少しだけ知っているんです。」
まぁ、勇者の伝説を代々本気にして受け継いでる村から抜け出したくなる気持ちもわかる。と思いつつ、男の方に目線を戻す。
「ええ。そのギルド本部で間違いありません。」
「そして、これはギルドマスターの命令でございます故、お二人に拒否する術はございません。」
まさか、命令を拒否するための権利を得ようと動き始める前にこうなるとは。
想像よりも展開が早く、困惑しながらも、しょうがない。と割り切りフィリスと共にギルドの建物の外に出ると、大通りには恐らく飛竜と呼ばれていた全長が10mを超えるであろう大きなモンスターがいた。
兵士の指示に従い、飛竜の背に乗る。
先ほどの考えでは、ゴブリンとの戦闘で大きく森を焼いてしまったことが原因で、治安維持部隊やらに問いただされるのかと思ったが、ギルドマスターとなると思い当たる節はない。
そんな森林破壊程度では、よほど環境保護に熱心でもない限り、ギルドマスターというギルドの頂点が入ったばかりの冒険者に『今すぐこい。』なんて言わないだろう。
私自身、何かギルドにとって大事な存在というわけでもあるま……。
ある事実が頭に浮かぶ。
もしや。
私が異世界から来たのがバレたか………………?
不安を胸に抱えるロレイアを背に飛竜はパルデノシアへと飛び立った。




