第3話:モンスター
「わぁ!!!ゴブリンですか!?ここら辺にもまだいたんですね!!!」
フィリスが駆け寄ってくる。
「ゴブ……リン……?」
なんだそれは。本当になんだ?
「ほら!説明したじゃないですか!亜人の一種で、知能が低く、対話の不可能な固体が多いため、モンスター扱いさてるやつですよ!!!」
確かに、出発前にこの世界にいるモンスターについて説明された。
が、まさか本当にこんな感じだとは思わなかった。
フィリスが杖を構えるが、ここはひとつ、確かめたいことがあるため、静止する。
グラアアァァ!!!
ゴブリンが叫び声を挙げ飛びかかってくる。
その不格好さからは想像もつかないほど跳躍力。
間一髪で避け、木の幹に立てかけてあった銃の元に駆け寄る。
魔術で直接攻撃してもいいが、この世界でも銃が使えるのかを確かめたい。
こちらにやってくる前に撃ち尽くしてしまったため、弾はない。
しかし、魔力を弾にすることはできる。
実際の弾に比べ、殺傷力は落ちるものの、魔術兵にとっては大気中の魔力をほぼ無限の残弾として使えるため、この銃は実弾が無くても武器としても使えるようになっている。
銃を手に取り銃口をゴブリンへ向け、イージスを介し薬室の中に魔力を装填する。
ゴブリンは威嚇しようとしているのか、大きな声を出している。
今がチャンスだ。
フィリスが後方にいることを確認し、トリガーを引いた瞬間。
ドゴオオオオオオ!!!!!!
銃口からまるで光線のように魔力が放出され、激しく爆風が吹き荒れる。
一瞬でも力を抜くと、銃が飛んでいってしまいそうだ。
光線が収まる。
前方を確認すると、ゴブリンの姿形など跡形もなく、射撃方向には焼き払われた森があるのみだった。
完全に忘れていた。
この世界は魔力が非常に濃い。
故に、いつもの感覚で魔術を使ってしまうと、このような大惨事になってしまうのだ。
もしこれからモンスターと戦うようなら、魔術は極力使わないようにしよう。と心に決め、後ろを向くと、驚いているフィリスと目が合った。
「すまない……本当はもっと威力が弱いはずなんだが……」
変に驚かせてしまったことを説明しようとする。
「いえ!!!!こんなに素晴らしい魔術を見れるなんて!逆に感謝してます!!!」
「こう見えても、私、いろんな魔術を集めるのが好きなんですよ!」
フィリスは目を輝かせて語る。
「今みたいな威力、私の知ってる魔術では出せません!!!ホントに凄いです!!!街について、時間があったらでいいんで、そのイージス?、つけてみてもいいですか?」
まぁ、つけるぐらいなら。と思い了承する。
ゴブリンを仕留めたはいいものの、せっかく準備していた焚火や食料が先ほどの戦闘であたり一面に散らかってしまっている。
散らばったものを集めながら、野営の準備をする。
焚火を囲い、フィリスの家から持ってきた硬いパンや干し肉を食べる。
フィリスの話が正しければ、明日には街に着く。
ここからが大変だ。
もし、現代に近い形態の国家があったとしたら、不法入国やその他諸々、面倒なことが多い。
変に疑われないように、服装が軍服から着替えたほうがいいか……?
色々と考えるが、あまりにもわからないことが多すぎる。
フィリスは焚火の横でうとうとしていたが、今は、焚火の炎に照らされて、心地よさそうに寝ている。
考えても仕方がない。そう割り切り、眠りについた。




