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帝国の魔術兵は異世界で勇者となる。  作者: ボ・ボ=ボイラー


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第2話:魔術

 フィリスが先ほども言っていたが、この世界にも魔術というものはあるらしく、その魔術を使って全身傷だらけだった私を治療したらしい。

 そして、ここはフィリスの稽古場兼住居のような場所で、人の少ない山奥にあるという。


「それで、これからどうすればいいんだ?」


 旅をする。とは言ったものの、どこを目指すかという目的地を示したほうがやりやすいだろう。


「うーんと、そうですね。ここから南の方角に3日ほど歩くと、比較的大きな街があったような気がします。私も、少し見かけた程度なんですけどね。」


 街、となればフィリス以外の人にも会える。そうすれば、この世界の情勢に情勢について、知れる。


 驚くことに、フィリスはこれまで、村の人間以外と会ったことが無いらしく、街にも出たことがないという。

 それゆえ、この世界の情勢について全く知らず、「国?何それ?」といった感じだった。


「なら、最初の目的地はその街だな。」

「わかりました!」


 ひとまずの目的地は決まった。

 窓から見える太陽の高さ的に、日没までにはまだ時間がありそうだ。


「準備が出来次第、出発しよう。」








 フィリスの家を出て、大体1日ほど経った。1日のサイクルは元の世界とさほど変わらないらしい。

 周りは一見すると帝国にもよくあるような森だが、時折見慣れない植物や生き物を見かける。

 角を持った兎や、魔術を使う鹿、羽の生えた豚のような生き物もいた。

 

 幸い、フィリスが獣除けの魔術を使ってくれたおかげで、変に襲われることもない。

 うーん。快適。足場がいくらか悪いところもあったが、本当にひどい行軍や湿地帯での戦闘に比べれば1000倍マシだ。

 

 後ろで、魔術を使うための杖を支えにしながらフィリスが歩いている。

 

「ぜぇ……ぜぇ……ロレイアさま……なんでそんなに体力あるんですか……」

 

「まぁ、これでも軍隊でそれ相応の訓練を受けたし、実戦を死ぬほどこなしたからな。まぁ、最後は実質死んだがな。あと、様付けをやめてくれ。」

 

「笑えないジョークはやめてくださいよ……ぜぇ……それに、さま付けがダメならなんて呼べばいいんですか~。」


「なんとでも。そんなにかしこまらないで欲しいってだけだからな。」


 少し間をおいて、フィリスが言う。

 

「もうわかりました……!これからはロレイア()()()って呼びます!!!」

 

「!?!?!?!??!?!」


 会ったばっかりの年下にちゃん付けされた!?

 予想外の発言に驚く。

 

「ぷぷっw今の顔、すっごくおもしろかったです!!!」


 年相応にクソガキだな。こいつ。

 

「よーし怒った。もうしらない。今ここでこの銃で自決してもいいんだぞ。もう1回別の世界に飛ばされるだけかもしれないしな。」


「ごめんなさい……でも、なんだかさま付けよりはちゃん付けの方がしっくりきません?」


 確かに、これまでの人生で、ちゃん付けしてくれるような人間がいなかったことに気づく。

 一度死んだも同然ならば、新しい人生として、戦争に奪われた青春というやつを謳歌してもいいのではないか?

 仮にフィリスとの関係が短いものであったとしても、関係を作ることに意味があるのではないか?

 

 「むう。そう言われると、確かに。」

 

 「じゃぁ、これからはロレイアちゃんって呼びますね!」


 今の私を傍からみたら、まんざらでもなさそうな表情をしているんだろうな。と思いながら何気ない会話を続ける。




 さらに1日過ぎた。だんだんと暗くなってゆく空を横目に野営の準備をする。

 フィリスにばかり光源を確保させるのも少し悪い気がしてきたため、こちらの魔術を見せるついでで、私達を追尾してくれる光る玉を魔術で生成してみせる。

 フィリスはこれまでとは打って変わって真剣なまなざしでそれを見ていた。


「と、こんな感じで大気中の魔力をイージスを介していったん自身の魔力とし、その魔力を使ってイージスを介して魔術を使うって感じだな。」

「まぁその中で、特に基本的な技術として、魔術を体外に放出する技術が最も重要視されていた。」

「対外に放出した自分だけの魔力(マナ)に起点となる魔力を送り、魔術の方向性を決める。」

「炎だったり、風だったり、実戦的なのだと爆発や音、光とか。」

「自分だけの魔力に命令をするイメージが近いな。」


「なるほど……なるほど……」

 

 他人に魔術を教えるのは苦手だが、まぁ何とか伝わったようだ。


「今聞いた話だけでも、やっぱりこっちの魔術とは異なりますね……こっちの世界の魔術は、大気中の魔力?を使いませんし、私達は、というか私は魔力を炎とかに()()()()()()出します。」


 フィリスが魔術を使う時の魔力の流れを見て薄々感じてはいたが、やはりそうか。


「ということは、この世界の人々は自身の魔力だけで魔術を行使するというわけだな。」


 帝国の魔術師が聞いたら気絶しそうな話だ。この世界の人間の持つ魔力が圧倒的に多い。だからこそ、大気中の魔力を使う必要がないのだ。

 さらに、魔術の仕組み的にも銃で例えるならば、こちらがシングルアクションで、この世界の魔術師はダブルアクションらしい。

 元の世界と、この世界の魔術には大きな差があるようだ。


 こちらの世界においては、200年前にイージスの元となる魔術装具が開発されたことで、魔術が普及していった。

 しかし、この世界では元から人々の魔力が多かった影響で、太古の昔から魔術が使われているようだ。

 恐らく、私がフィリスのようなダブルアクションの魔術を使おうとすると、自身の魔力の全てに点火してしまうだろう。


 いまだこの世界の文明がどれほど進んでいるかはわからないが、魔術においては大いに先を越されていると考えたほうが良いだろう。

 つまり、私の魔術的な常識が通用しないということだ。


 考えをまとめながら、焚火の準備をしていると、草むらが動いた。


 少し警戒をしていると、フィリスがこっちの様子に気が付いた。


「どうせ兎とかですよ。」


 フィリスに同意する。しかし、食料を横取りされては迷惑だ。


 そう思い追い払おうと近づくと⋯⋯。

 

 いきなり草むらから影が飛び出してきた!!!


 それは、子供のような背丈で、薄緑色の体色と、歪んだ顔を持つ……。


 いわゆる……。

 

 何だこれ―――!??!?!?!

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