第11話:昔話
ホテルに着いて、シャワーを浴びる。
そして、二人とも寝間着に着替える中、フィリスが話しだした。
「私の村について語るって言っても、語ることはそこまで多くはないんですけどね。」
「前も言った通り、私の村では、勇者の伝説が残っていて、私の一族はその伝説を信じて、何代にもわたって準備してきた。って。」
初めてフィリスと会った時のことを思い出す。
「ああ。言ってたな。」
「その準備は、村全体でやっていたわけではないんです。とはいっても、その伝説が本当だって皆思ってる感じはありました。」
「私も、小さい頃はその伝説が本当だと信じてました。ですけど、訓練してくうちに、その伝説に疑問を持ち始めたんです。」
「それはどうしてだ?」
まぁ、荒唐無稽な伝説を信じている方がおかしいと言えば、おかしいが。
「恥ずかしながら、私は周りの兄弟とかに比べてあまり優秀じゃなくて、いつも結構厳しめの指導をされることが多かったんですよ。」
「あるとき、いつもみたいに蹴ったり殴られたりしてる中で、周りの子供たちが普通に遊んでるのをみて、ふと、私の一族が少しおかしいって思ったんです。」
「直接そのことをお父様やお赤様に言えば、何をされるかわからなかったので、修行の一環として、村から遠くの一族が持っていた家で、修行することにしたんです。」
「私も家から離れたかったですし、一族的にも出来の悪い娘がいなくなるってことで、割と円滑に進みました。」
「村から離れて暮らす中でも、街には行けませんでした。」
「なんだか、私が村の人以外と関われる自信が無くて……。」
「今はちゃんとコミュニケーションもとれてるじゃないか。」
「それは……。ロレイアちゃんに会ったからですよ!」
「勇者が伝説に書かれていた勇者さまとそっくりなロレイアちゃんが来るまで、私はこのまま一人で孤独に野垂れ死ぬんだと思ってました。」
「でも、あの伝説は本当だったんです。とはいっても、もう村には戻る気はないんですけどね。」
「正直、最初傷だらけ……、というか、全身真っ黒に焦げてたロレイアちゃんを見て、驚きました。」
「けど、話をしてみて、この勇者さまとなら、旅をしてみていいかなって思ったんです。」
「だから、言い伝えを理由に、旅をしようってことにしたんです。」
だからあの時、伝説について、そこまでこだわらなかったのか。
「なるほど。色々と辛いことを思い出させてしまったな。」
「いいんです!あの村にももう戻るつもりはありませんし!」
そういえば。
「店であったアルベルトは、村の人間なのか?」
「叔父さまは、閉塞的な村と因習の残る一族に嫌気がさして、10年ぐらい前に村を飛び出していった方です。そのちょっと後に、ギルドの魔術研究者をやっているとかお母さまたちが話しているのを聞きました。」
「さっきの証言とも一致しているな。」
「まぁ、今日はもう遅いし、明日ゆっくりと訪問するか。」
「わかりました!じゃあロレイアちゃん!おやすみなさい!」
「おやすみ。フィリス。」
そう言って私達はふかふかのベッドで横になった。




