第9話:ちょっとした振り返り
部屋に戻り一通りの荷ほどきをする。
聞いたところによると、この部屋は連続で数日とかいうレベルではなく、数か月レベルで取られている部屋らしい。
ギルドマスターたちからの好意に感謝しつつも、この世界に来てからのことを振り返る。
死ぬ気の自爆をしたら、この世界に来ていた。
フィリスに勇者と呼ばれ、旅に出た。
街に出て話を聞くと、魔王など存在しない。
ひとまずギルドの冒険者になったが、その日の内、というか今日の内にギルドマスターに呼び出されここパルデノシアへ。
ここ数日の出来事ではあるが、どれも強烈であったせいか、とモテ印象に残っている。
そしてギルドマスターのあの言葉。
―――神の消えた時代―――
これが一番気になる。
何やら、大きな陰謀に巻き込まれているのではないか?
色々と思考を巡らすが、いくら考えてもわからないことが多い。
ひとまず今日はもう寝よう。そう思い眠りについた。
朝になった。
朝食を済ませ、身支度をする。
ギルド本部に向かい、フィリスと別れる。
今日は、昨日ダルクが言っていたように、私達について各々色々と質問されるようだ。
面倒くさいと思いつつも、一応この世界で生活していくために、必要な行動だ。
そう言い聞かせ、ギルドマスターではなく、魔術の研究者のいる極秘の部屋に向かった。
数時間にも及ぶ長々しい質問の後、日が暮れてきた頃にやっと解放された。
フィリスは私よりも先に終わっていたようで、ホテルのロビーにちょこんと座っていた。
「あ。やっと終わったんですね!かれこれ2時間ぐらい待ちましたよ!」
私が魔術師の家系であったことで、魔術について余計に知っていたため、より時間が長くなってしまった。
だが、それは私のせいではない。とは思いつつも、少し申し訳なさそうにする。
「遅くなったな。これからどうするか?まだ日も暮れてないし、少し街を見て回るか?」
そう聞くと、フィリスは手に持っていた本を見せつけてきた。
「じゃーん!これ!パルデノシアの観光案内ですよ!暇だったんで、ホテル内にあるカウンターで色々聞いてきたんです!」
「その中で!特においしそうな料理を見つけたんですよ!」
「そこに行きませんか!?」
金銭的な面は心配がないだろうし、朝こちらの世界の服に着替えたため、見た目も問題はない。
どうせなら。と思い、そのお店に行くことにした。
そのお店は、いわゆる大衆向けの料理屋ではあるものの、その料理も一級品であり、どんな時間帯でも人が多いという。
長蛇の列を並びきり、店に入ると、中は非常ににぎやかだった。
冒険者や職人、正規の軍人らしき人々も見受けられる。
そして、私達が注文に迷っていると、ある男が話しかけてきた――。




