赤竜
【あれから更に2週間、神殿ではムラオサウォッチャーの二人が雁首揃えてる】
「さてどうなったかなムラオサ」
「楽しそうですねアルテ様良い事でもあったんですか?」
「魔王の危機は去ったからな、これを見てみるんじゃ」
(実は一時間ぐらい前に気が付いたのは内緒じゃ)
「ここの下界ですか?魔物も瘴気もありませんね、平和そのものです」
「そうであろう?ムラオサが変えたんじゃよ下界の運命を」
「ああ、なるほど10年前に転生したムラマサが魔王討伐に成功したから
現在が書き換えられたんですね?」
「まあそういう事じゃな、多分」
「どれどれポチッとな」
「相変わらず原始人のような生活してますねムラオサ」
「うむ、槍持って出かけるところの様じゃな」
「ちょっと待ってください!入れ違いでゴブリンキングと子分来てませんか?」
「そうか?どれどれ」
【視点を回転させると確かにゴブリンキングが二匹子分を連れてムラオサの家に向かってくる】
「出かけたムラオサを見るかゴブリンを見るかの二択じゃな」
「ゴブリン気になりませんか、何しに来たんでしょう?」
「そうじゃなワラワもゴブリンが気になる」
「子分は籠を持っておるな、中身は何じゃろう?」
「まだ分かりませんね、仕返しに毒蛇でも捕まえてきたのかもしれません」
「ムラオサを探してるみたいだな」
「もう出かけてるので居ませんよー!」
「あれは果物だな、籠から出して山にしておる」
「貢物のつもりなんでしょうか?」
「!!!!」
【ムラオサの竪穴式住居を覗いたゴブリンキングは一目散に逃げだした、事態の分からない他のゴブリンも続いて逃げ出す】
「家に何か居るのか?あの驚き方は普通じゃないぞ!」
「中見てみますね、怖いですけど」
【視点移動を使って竪穴式住居に近づく、息を吞む女神と見習い】
「真っ暗で何も見えないな、調整するぞ」
「居ますね、ワイバーン?いや赤いですね」
「レッドドラゴンじゃな、下の方に有るのは卵の殻ではないか?」
「ムラオサがレッドドラゴンの卵を拾ってきたって事ですか?」
「逆再生じゃ、倍速で」
「はいアルテ様」
【前のめりに映像を凝視する女神アルテと女神見習いセリーヌ、ムラオサが卵を持って帰るところまでは倍速でも長い時間が掛かる】
「持ち帰るところが見れる前に前に見たの始まっちゃいましたね」
「そうじゃな、でもそろそろじゃないか?」
「とうとう持って帰ってきましたね卵」
【逆再生だから後ろ向きに歩いてるような映像が続く、標高が高くなってるのが分かるくらい岩肌が目立ってきた、やがて草木は無くなり雲よりも上の山に来ている】
「この洞窟から持って帰った様だなムラオサは」
「親ドラゴンは居ないみたいですね」
「肉体が朽ちても魂だけで卵に変化して復活できるからなドラゴンは」
「流石ですアルテ様なんでもご存じで、ドラゴンが最強と言われるのは
そういうところからですか?」
「まあな、それにしても変だな、ムラオサが食われてない、幾ら強くても
普通は食われる」
「ステータスウインドウもう一回見てみますね、うーんこれじゃないですか?ムラオサが食べられてない原因」
「どれどれ? 従魔 レッドドラゴン ああなるほど いやいや!ちょっと
待てーい!!
レッドドラゴンが人間に従うなんてありえない話じゃ!何があったのじゃ?」
「ここから通常再生にしますね」
【家の前で卵を割ろうとするムラオサ、ビクともしない、ドラゴンの卵は
規格外の強さなのだ】
「あまりの硬さにムラオサも諦めたようですね」
「こうしてスクリーンを観ているのも目が疲れたな、ムラオサの出身地の
食べ物でも食べ手目を癒すとするか」
【テーブルに現れたのは味噌ラーメン、味噌ラーメンが疲れ目に効くなんて
話は当然だが古今東西どこにもない】
「アルテ様これは何という料理ですか?」
「味噌ラーメンだな、熱いうちに食べなさい」
「はい、いただきまーす」
「これはまた美味しいですね、何か太りそうな気もしますけど」
「これじゃ、このコクじゃ、ムラオサの国は美味しい物ばかりだな、
3千年後の話じゃが」
「割るのは諦めて枕にしてますね」
「かえって寝れないだろあれじゃ!相変わらず不可解な男じゃな」
【不可解なのは転生者をエンタメにしている女神アルテと女神見習いの
セリーヌの方だが自覚はないようだ】
「あれは何をしているんですか?アルテ様」
「あれは犬に狩りを教える第一歩、投げた棒を取って来させる訓練のような
遊びのようなものだな」
「そうですか、レッドドラゴンはもう飛んでますね」
【ムラオサが空高く投げた棒をレッドドラゴンが飛んで捕って来る、そんな遊びをしていたムラオサとレッドドラゴンは出掛けるのであった】
「ドラゴン連れて出掛けるようですね、小さくなって肩に乗ってますが大きさは自由に変えれるんですね」
「ドラゴンじゃからな、この世界の理は通用せんよ」
「こりゃまた高地に来たもんだな、切り立った岩壁眺めてるが
何してるじゃろ?」
「岩壁に寄って見ますね、鳥の巣ですか?晩御飯は鳥肉で決まりですね」
「よく見てみろ、あれは鳥じゃない、グリフォンじゃ」
「あっそうだ!念話で会話してないか?ムラオサとレッドドラゴン、ムラオサに寄ってみるのじゃ、念話に慣れてない者は口も動く」
「寄って見ますね、確かに喋ってますね、会話してる気がしますよアルテ様」
「うむ、やはりな、グリフォンは危険な魔物じゃ近寄るなとでも
教えているのだろう」
【アルテが言い終わると同時にムラオサは槍を投げた、レッドドラゴンは肩から飛び立ち巨大化して槍を追いかける、いくらグリフォンとはいえレッドドラゴンじゃ相手じゃ格が違い過ぎる】
【ムラオサの槍で絶命したグリフォンを除き一斉に逃げ出す、ムラオサが手をかざして見ているとドラゴンは槍の刺さったグリフォンを掴み帰って来た】
「あんな距離を槍で?つくづく規格外な男じゃなムラオサは」
続く
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