大昔
【ここは天界、アルテの神殿、女神アルテと見習いセリーヌは悩んでいた】
「どういう事なんでしょうね、さっぱりわかりません、ゴブリンを知らないなんて」
「紅茶でも飲もうか、ついでにお菓子も」 「はい、今入れます」
「あの者が来た時身に着けてた毛皮はまだあったかな?動物の」
「表のごみ箱にまだあるかもしれませんね」
「ちょっと見てくる」「はい」
「おおまだあるな、鑑定!」
〈地球、日本、北海道、エゾシカ、オス、2987年前に誕生、
2992年前に没〉
「やっちゃったみたいじゃな、とりあえずお茶を飲んで落ち着こう」
「アルテ様、毛皮ありました?」
「あの者、ムラオサがゴブリンを知らない理由が分かった」
「そうなんですか?毛皮で」
「あの者は3千年前から召喚してしまったらしい」
「ああなるほど、それでゴブリンを知らなかったんですね、他に何か問題はありそうですか?」
「ステータスウインドウを見て凄いと言ったのは、空中に浮いてるステータスウインドウ自体を見て凄いと言ってたみたいなのじゃ」
「はあ、それはなぜですか?」
「ムラオサの生きていた時代に文字はない、Lv10の魔法を凄いと言ったわけ
ではないのじゃ、困ったな」
「でもまだ10年ありますから大丈夫じゃないですか?ゴブリン集落でも無傷なんだし期待していいと思いますよ」
「それもそうじゃな、もう少し様子を見る事にしよう」
「さっきの続きから見ましょうね」 「うむ」
【ゴブリン集落を後にしたムラオサは更に山の奥へと入る、途中、蔓系植物を集め、枯れ枝を拾い小さな石も数個拾った、突然立ち止まり耳を地面に着ける】
「あれは何をしてるんだろうな」
「具合でも悪いんでしょうか?」
【足音を立てない様に歩くムラオサ、何かの気配を察知した様だ、ゴブリンキングに貰った槍を肩の上に構え中腰で移動する、足を止めた、草がカサカサ揺れている方に槍を投げる】
「狩りをしてるのか?何も居ないように見えるが」
「あれはホーンラビットですね、今日の晩御飯でしょうか?」
「この世界のウサギは角生えてんだな、さてどこで食って寝ようか?」
【かすかに川の音が聞こえたムラオサは川に向かった、火を起こし、ホーンラビットは蔓で縛って川に入れている、長めの枝と草を集めシェルターも完成した、焚火の周りに置いた石の上に切った肉を並べて焼いてる】
「マオウは何処に居るんだろうな、一人で夜を明かすなんて随分昔のことの様だ」
【そりゃそうだ、3千年ぶりぐらいだから、ずいぶん昔の事で間違いない】
「どうやらあそこで野宿する気でいるみたいじゃな」
「ゴブリンを従わせても強い魔物は他にも居ますよね?」
「そのゴブリンが腑に落ちんのじゃ、カリスマ性が効いてるのかな?」
「ステータスどうなってましたっけ?」
「ほれ、見てみればいい、肉も美味そうに食ってるなあ」
「この山の神の加護と狩りの神の加護、称号ヒグマ殺しってなんですか?」
「そんなのつけた覚えはないよ、どれどれ?前世の物がそのまま残ってる
だと?」
【ムラオサはホーンラビットの心臓とレバーを神への供物として岩の上に置いた、猟の感謝と命を奪った事に対するケジメである】
「ムラオサは何をしているのだ?いやな予感がするんじゃが」
「多分当たってると思いますよ、祈ってますもん」
【二人の目の前のテーブルにホーンラビットの心臓とレバーが届いた】
「あっちの山の神と猟の神だっけ?送り届ける様に、分かった?」
「えええ!地球の神は知りませんよ、アルテ様お願いします」
「しょうがないなあ、ハイ消えた」
【瞬間移動で綺麗に心臓とレバーは消えた、捨てたわけじゃない、と思う】
「夜になっちゃったね、早送り」「ハイ」
「ここって最初に見たゴブリンの家みたいなのがあった場所ではないか?」
「山の中は何処も一緒に見えますが、どうなんでしょう?」
「穴を掘っておるな、柱を立てて枝を縛ってる、草を被せ始めたな
早送りで見ると働き者じゃなムラオサは、ハハハ」
「アルテ様、夜が明けたところで早送りは止めてますよ!」
「嘘を言うでないセリーヌよ、あんな速い動きで作業出来るわけなかろう」
「いえ、嘘でも冗談でもありません」
「これは驚いた、超加速は直線的な移動にしか効かないのではないのか?」
(ここに暮らしだしたら10年ぐらいすぐ経ってしまうかもしれん、セリーヌを地上に降ろすしかなくなるかもな)
「ん?アルテ様、どうかされました?」
「いやなんでも無いよ、そなたの横顔が美しいから見とれておったのじゃ!」
「それなら納得です!」
【女神アルテと見習いセリーヌは早送りを駆使してムラオサの2週間を見終わった、更に2週間が経過して又覗いて見る事にした、女神は多忙なのである】
「あれから2週間、ムラオサは何をしておるかな?」
「なにやら土色の陶器のようなものがいっぱいありますねアルテ様」
「あれはな、土器と言うんじゃぞ、工程は粘土焼いて作るレンガと大して
変わりない」
「そうなんですね、魔法に目覚めた形跡は無いようですが、彼は何してるのでしょう?」
「そうじゃな、良く見えないな、もっと手元に寄れないか?」
「こうですか?細い棒に何かくっ付けてますね」
「あれは魔石ではないか?よく見ると10本以上作っておるな」
「アルテ様、矢じゃないですか?」
「なにが嫌なのじゃ?」
「違います、弓矢の矢の方です」
「なんじゃそっちか、たしかにそうじゃな」
【ぽんこつ女神と女神見習いのムラオサウォッチングは続くのであった】
「ムラオサは魔石をどこで手に入れたのじゃろう?」
「2週間全部見るのも大変なんで逆再生しますか?」
「おう、セリーヌ、いい考えじゃ、褒美をやろう」
【テーブルには異世界地球のピザとコーラが現れた、これは褒美じゃない
アルテが食べたくなったから用意しただけなのである】
「アルテ様、いい匂いがしますが何ですかこれ!」
「これはムラオサの世界のピザという食べものとコーラと言う飲み物じゃ
遠慮しないで食べるがいい」
「はい、いただきます、美味しいですねこれ、私も見習い期間が終われば
取り寄せれるようになるのでしょうか?」
「もちろんじゃ、励むがよい!」
「オークじゃな、あれ?心臓とレバー置いて祈っておるぞ、届いて無くて
安心したわ」
「家から離れたところでやってますからね、外にあったりして」
「ムムム、なんじゃと?方角は」
「南南西の方向ですね」
「ちょっと見てくるぞ」
「ああ待ってくださいよう、私も行きますから」
【アルテも大概だがセリーヌも片手にピザ、片手にコーラを持って追いかけている、天界の残念コンビと言っても過言ではない】
「あるではないかー!」
「今頃来ても、もう消したぞ」
「止めさせる方法はありませんか?」
「供物は断れないんじゃ、信仰は邪魔できない決まり事なのじゃ」
【神殿に戻ると続きを見始める、ムラオサは素手でオークを倒していた】
「これが称号ヒグマ殺しの力か?凄いね、歴代勇者も剣が無いなら勝てないだろうこれ」
「はい、呆れるぐらい強いです、また二週間後ですね?」
【呆れるぐらいポンコツな二人はある重大な出来事を見ないで閉じた】
続く
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