表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
12/31

停電で強制外出

顔を洗ってスキンケアをしていると、プツン、と突然電気が消えた。テレビもクーラーも消えている。

(今度はなに!?)

走ってブレーカーを見にいくと落ちていなかった。

玄関の外を伺ってみたところ、マンション内の他の住人も何人か顔を出していた。

「停電してますか?」

二部屋隣の中年女性がナナミに声を掛けた。

「はい。マンション全体ですかね?」

「なんか、そうみたいねぇ。」

ナナミは一旦部屋に戻って着替えをした。

もし停電が長時間続くなら、クーラーが使えないこの部屋にはいられない。昨日の今日のことなので、絶対にすぐには復旧しない。ナナミの不運レーダーがそう告げている。どこかコンビニや書店など、被害が少なく済みそうな場所に出掛けよう。

簡単に身支度を済ませて、持ち物を準備した。スマホとモバイルバッテリーの充電は満タン。充電ケーブルも忘れずに入れた。ハンカチとタオル、二枚持っていこう。ポケットティッシュと除菌シート、キンキンに冷えた水を入れたマイボトル。サンプルで貰ったスキンケアと最低限のメイク道具も入れておこう。鍵と財布も持った。玄関でハンディファンと日傘を持って準備万端。

不運、来るなら来い!と意を決してドアを開けた。

外に出ると、先ほど顔を出していた人たちはもうおらず、廊下は嫌に静かだった。みんな外出する準備をしているのだろうか。手すりに軽く触れながら、非常階段を気持ちゆっくり降りた。

エントランスには人だかりが出来ていた。

(こういうのには近づかないが吉……。)

通り過ぎようとすると、先ほどの女性がナナミに気づいて再び声を掛けてくれた。

「あ、この停電、裏の工事で電線が切れたせいらしいですよ!」

「えっ、そうなんですね。時間かかりそうなんですかね?」

「ん〜、急いで電力会社に連絡入れたみたいだけど、どのくらいかかるかは分からないそうですよ。」

やっぱり。これは長引く。

「私は暑いのでどこかお店で涼もうと思って。」

「あ〜、その方が良さそうですね。」

ナナミは女性と別れ、まずは軽食を調達するためにコンビニへ行くことにした。


最寄りのコンビニに向かって歩いていると、学生が三人、歩道いっぱいに広がってのんびり歩いているのが前方に見えた。ナナミは近づきすぎないように、歩く速度を落とした。

(暑いから早く行きたいのにな。)

学生たちは、後ろで悶々としているナナミの存在に気づくわけもなく、楽しそうにお喋りしながら歩いている。追い抜くには縁石を跨がないといけないので、そこまでするのは気まずい。

コンビニがあるのは向い側の道だが、横断歩道はまだ先にあり、車もぽつぽつ通るので渡ることは出来ない。結局、横断歩道までずっと学生の後ろをモジモジと歩く羽目になった。

そして、ようやく辿り着いたこの横断歩道には信号がない。渡ろうとしている歩行者がいれば、車は止まって道を譲るのがルールのはずである。しかし、行く車、行く車、全然止まってくれない。

(違反者たちめ……。)

ナナミは心の中で舌打ちしながら数台見送り、ようやく渡ることが出来た。


コンビニでお茶、チョコレート、のど飴、惣菜パンを買った。荷物は重くなったが、何があるか分からないので備えておいて損はないだろう。

その後は本屋と雑貨屋で時間を潰していた。しかし時間が早く過ぎてほしいときに限って、時の流れは一分さえ遅く感じる。

(まだ十二時か……。)

家を出てからまだ四十分しか経っていない。昨日、なかなか濃い一時間を過ごしたせいで余計に退屈だった。

(せっかくだからお参りに行こうかな。今日行っとけば次は来週の土日どっちかでいいもんね。)

さすがにフルタイムで仕事をしてから神社の前の坂を登るのは絶対に無理なので、家を出たついでにシロヤマ神社へ参拝することにした。週一のノルマは必ず守らなければいけない。幸い、朝が遅かったためまだお腹は空いてないし、たっぷり眠れたので元気もある。ナナミは、さらに日差しが強まる前に神社へと歩き始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ