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寝取られて壊れた俺に、あの子がいびつにハマってくる♦︎♦︎♦︎義妹を養うために、ブラック業界(不動産)で頑張ります!  作者: 白井 緒望


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第8話 成績

 「先ほどの面接の件なんですが、二次面接を実施させていただくことになりました。つきましては、山路さんのご意向の確認と日程についてなのですが……」


 「是非、お願いします」


 隣で聞いていた桜藍は小さくガッツポーズをして、俺の二の腕を何度も叩いた。


 俺も笑みが漏れた。


 「では、そういうことでお願いします」


 電話が切れてからは、しばらく放心状態だった。


 「春馬さん。すごい!」


 「——あぁ。まだ最終面接があるから、どうなるか分からないけどね」


 桜藍に不安のない生活がさせられる。

 そう思うと、指先の震えが収まった。


 「嬉しいよぉ」

 桜藍もすごく嬉しそうにしている。


 「そんなに喜ばなくても」


 「だって、ダメだったらおじさんとお話しするバイトしないと、って思ってたし」


 俺は桜藍に、軽くデコピンした。


 「だから、それはダメだって。あ、桜藍。俺からお願いがあるんだけど」


 すると、桜藍はうつむいた。

 「う、うん。どんなお願いでも……覚悟はできてますので」

 手を膝の上で揃えている。


 ……なにか勘違いされているような。


 「俺、女の子が必要なものとか分からないのよ。服とか化粧品とか……色々あるだろ? 一緒に買いに行く訳にいかないから、遠慮せずに、ちゃんと必要な金額を言うこと。いいね?」


 すると、桜藍は頬を膨らませた。


 「ありがとうございます。嬉しいけれど、ちょっと不満です」


 「え? どういうこと?」


 「もっとすごいお願いされると思ってたのに」


 「物足りないのか? この欲張りさんめ。そんなに無理なお願いをされたいなら……、成績表みせて」


 「春馬さんのイジワル! ぷんっだ。でも、そうだよね。家族なんだもんね……」


 「うん」


 「ちょっと待っててください」


 桜藍はそう言って、自分の部屋に戻った。

 しばらくすると、戻ってきて、そーっと紙を差し出した。


 「ありがとう。なんていうか……桜藍が頑張った結果を知っておきたいし。勉強って今しかできないことだからさ」


 「……うん。春馬さん。パパと同じこと言ってる」


 成績表は真ん中で二つ折りになっていた。

 開いて中身を見る。


 一覧には、一年生のときの科目ごとの成績(10段階)と、テストの点数。それと教科担任のコメントが書いてある。


 「へぇ」


 「どうですか? へぇだけじゃなくて、ちゃんと感想教えてください」


 「いや、思ったよりずっと良かった」

 実際、成績表には10や9が並んでいた。


 これなら、何の心配もなさそうだ。

 

 「じゃあ、そういうことで」

 桜藍が成績表を回収しようとする。



 ん?

 いや、ちょっと待て。


 俺は違和感をおぼえた。

 10や9の数字の中に異物が混ざっている。


 「英語が1なんだけど……。点数は4点って書いてある。念の為に聞くけど、これって10点満点か?」


 桜藍は照れくさそうに、頬に手をあてた。


 「100点満点です」


 「気を悪くしないで欲しいんだけど、桜藍ってハーフみたいに見えるから。英語できないと、悪目立ちしないか?」


 「そうなんです。お友達には、いつもからかわれてます。それに、駅にいると、すぐに外国人に道を聞かれるし」


 「そうだろうなぁ。英語、勉強しないとね。この点数だと、夏休みは英語予備校に軟禁だな」


 「ええっ。わたし夏休みはちゃんと遊びたいです! これから頑張りますし!」



 「あのさ。一つ聞いていいか? 嫌なら答えなくていいから」

  

 「なんですか?」


 「桜藍って、ハーフとかクォーターなのかな?」


 桜藍は俯いた。

 銀色の髪が肩から滑り落ちる。


 桜藍は、どこかの施設にいて。

 うちの両親に引き取られた。


 「ごめん。無神経だった。やっぱ、答えなくていいから」


 桜藍は首を横に振った。


 「ううん。春馬さんに話すべきことだもん。あのね」


 「うん」


 「わたしは、小学生の低学年でパパとママに引き取られたのだけれど、その前の記憶がほとんどないんです」


 「……えっ?」 



 ——『Mom, Dad, where are you?』

 あの時の桜藍の寝言は英語だった。


 


 


 

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