表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
寝取られて壊れた俺、義妹が可愛すぎるから養うことにした ♦︎♦︎♦︎義妹に癒されながらブラック不動産で働くことになった  作者: 白井 緒望


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/97

第77話 住人

 クレーム住人は、管理人と相談があるらしい。

 俺は、葛城を部屋から連れ出した。


 見上げると表札には『谷川』の文字。


 

 「そのサンダル、これに履き替えて」

 俺は地面に予備の室内履きを置いた。

 

 葛城はシューズを持ち上げて、凝視した。

 「先輩、水虫とかじゃないですよね?」


 「なっ……! 新品だよ」


 「ならいいですけど。でも、わたし素足なんだけど。いいのかな。あっ」


 「なに?」


 「もしかして先輩。わたしの使用済みを狙ってるんですか?」

 葛城はニヤけた。


 「……。イヤなら裸足で歩いてもらうけど」


 「冗談ですよぉ。それよりも、なんで? サンダルなんてどうでもよくないですか?」

 葛城は、片足立ちでピョンピョンしながら言った。


 「人間ってな、責任を抽象化する生き物なんだよ」


 「どういうことですか?」


 「もし、うちに非がないってなったらどうなる? あの爺さんが素直に謝ると思うか?」


 葛城は首を横に振った。


 「だろ? すると、次は身だしなみや態度にイチャモンつけ出すんだよ。今回だったら、狙われるのは、葛城のサンダルだな」


 「そんなもんですかね。でも、先輩、わたしあのお爺さん、怖いです。きっとカタギじゃないですよ」


 「は?」

 すごい発想だ。


 「先輩。ここは持ち帰った方が……」

 葛城が俺の袖を引っ張った。


 「いや、ダメだ。時間を与えて、住人側(組合)と管理会社にグルになられてみろ? うちは一方的な悪者にされるぞ? ある程度の言質は欲しい」


 「せ、せんぱいって、実は出来る男ですか?」


 葛城は目をウルウルさせた。


 「ないない。全部、上司からの受け売り」


 「ふぅーん」


 「それよりも、初物件でこんなトラブルなんだよ? 俺には葛城のタフさの方が怖いよ。俺だったらストレスで毛が抜けそう」


 「わたしだって怖いんですけど」

 葛城は、俺の袖をギュッと掴んだ。


 その指先を見ると、桜藍みたいで懐かしい気持ちになる。


 俺は葛城の頭をポンポンとした。

 「まぁ、俺がなんとかするから安心して。って

触れて、ごめん」


 葛城は目を細めた。


 「別に……いいですけど」




 管理人が出てきた。


 「やっぱり、そちらの占有部からの漏水の可能性が高いです」


 「は? だからまだ工事スタートすらしてないんですって!」


 するとさっきの住人……谷川の爺さんも出てきた。


 「オタクの部屋、どうせ、配管を掘り返して交換するんだよね? だったら、そちらが新規交換した後にまた確認すればいいでしょ。それでも漏れたら、改めて調査したらいい」


 俺は階段を見渡した。

 吹きつけ壁は薄汚れていて、手すりのペンキも剥がれている。


 管理費は月額4,500円。

 それなのに、修繕費はない。


 ——安すぎる。

 反対が多くて管理費を値上できないのだろう。


 組合には、金がないはずだ。


 つまり、修繕工事どころか調査すらしたくない。そんなところだろう。


 「葛城。1月4,500円で20部屋なら年間いくら集まる?」


 葛城はあたふたした。

 「ええと、108万円です」


 工事費はざっと2,000万。

 全く足りていない。

 


 「お伺いしたいんですけれど、縦管の交換って、いつしましたか?」


 鉄管なら40年もてばいい方だ。


 共用の縦管から漏れていたなら、うちの部屋の配管を交換したって解決しない。



 俺は言葉を続けた。

 「まさか、耐用年数超過の配管を放置しているくせに、うちの責任とか言うんじゃないですよね?」

 

 「いや、だから、まずはそちらで確認してもらって」

 管理人が言葉を濁した。


 思った通りだ。

 こいつら、うちになすりつけて終わりにするつもりだ。


 ギリッ。

 歯軋りした。


 「こっちだって商売でやってるんだ! 室内配管工事させられた上に、金がないから縦管は直せないじゃ困るんですよ。うちに工事をさせるなら、御社が責任持って縦管工事するくらいの約束はしてください」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ