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寝取られて壊れた俺、義妹が可愛すぎるから養うことにした ♦︎♦︎♦︎義妹に癒されながらブラック不動産で働くことになった  作者: 白井 緒望


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第66話 霹靂

 

 「もう春馬さんといられないんです」


 桜藍は俯いた。肩が震えている。

 そして、それきり何も話さなくなった。



 バタンッ。

 車に戻って手伝おうとすると、桜藍は自分ですぐに車のドアを閉めた。



 帰り道の高速道路。


 「あの、さっきのことだけど」

 俺は続きを聞こうとした。


 でも、桜藍は首を横に振るだけだった。


 サイドミラーに映る空が赤黒い。

 来た時と同じ道なのに、別の道みたいだ。


 「さっきの……」


 3度目に聞いた時、桜藍が泣いてしまった。

 それきり、俺は何も聞けなかった。


 桜藍は窓の外を見ている。

 その横顔を見ていると、すごく落ち着かない気分になった。



 ——頂点から底辺に突き落とされるような感覚。俺はハンドルを握りしめた。


 

 帰って、お風呂に入って。

 お互い、すぐに自分の部屋に帰った。


 「なにか怒らせるようなことしたのかな?」

 何度考えても理由が分からない。



 トントン。

 諦めて寝ようとした頃、ドアがノックされた。


 「わたしです。少しお話したいです」


 桜藍はTシャツに短パン姿で、イルカの抱き枕を抱えていた。サラサラの髪は、あげずに下ろしている。こぶりな唇が光っている。


 こんな時に不謹慎だけれど、こう思った。


 綺麗だ。


 

 「あっ、う、うん」


 とにかく、話を聞かないとはじまらない。

 俺は桜藍を部屋に招き入れた。


 すると、桜藍はイルカを床に置いた。


 小さく息を吸い込む。両手でシャツの丈を掴むと、ゆっくりとTシャツを捲り上げた。


 「ちょっと、何を……」


 真っ白な肌が顕になる。

 肋骨の少し上でTシャツが止まった。


 ……え?


 ピンクの傷跡。

 少しだけ盛り上がっている。


 「それは?」


 「わたし、保護された時に怪我をしていたみたいで。先生が親切な方で、跡が残らないように丁寧に縫合してくれたんですけれど……」


 切創部からすると、ちょっとの怪我ではないと思った。


 「痛くないの? 大丈夫? 傷のこと全然知らなかった。ごめん」


 桜藍は微笑んだ。


 「春馬さんに知られるのが嫌で見せないようにしてたから。わたしだって女の子だし。こんな傷がある女の子は嫌ですか?」


 「ううん、すごく綺麗な肌で。むしろ見とれちゃったよ」


 桜藍は俯いた。

 表情は見えないが、髪が肩から滑り落ちた。


 「そうですか。よかった」


 「うん」


 桜藍が顔を上げた。

 真っ直ぐに俺の目を見ている。


 「あの、春馬さんのお布団に入ってもいいですか?」


 俺が答えられないでいると、桜藍のイルカが歪んだ。


 「……ダメですか? 今日だけですから」


 ここで断ったら、どうなるのかな。


 本当は分かっている。

 きっと桜藍は消えてしまう。



 だから俺は、毛布をめくった。


 すると、桜藍はベッドサイドに座ってから、コロンと横になった。


 毛布をかけるべきか迷っていると、桜藍が微笑んだ。


 さっきまであんなに空気が重かったのに。

 こんなことになるとは。


 指先が震える。

 俺は毛布をギュッと握った。



 「あっ」

 ゴム。どうしよう。

 桜藍に取り上げられたままだ。

 

 「どうしました?」

 桜藍が顔を上げた。

 

 「いや、なんでもない」

 俺の照れ笑いに、桜藍も笑った。



 


 



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