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寝取られて壊れた俺、義妹が可愛すぎるから養うことにした ♦︎♦︎♦︎ブラック不動産で働くことになったけど頑張りたい  作者: 白井 緒望


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第57話 乱暴

 「まぁ、普通に賢いだろ。亜梨沙」


 「ありがとー。春馬っちだけだよ。あたしを見てくれようとするの」


 玉ねぎの甘い匂い。

 木ベラの柄が円を描く。


 「小6の時に、両親が離婚してさ。あたしママと居たんだけど、中3の時、ママがいなくなった。はい。あたしの歴史は終わり〜」


 亜梨沙はお皿をテーブルに置いた。

 ひとつは亜梨沙ので、ひとつは俺の。


 オムライス。

 俺の方にはハートが描いてある。


 「ねっ。早く食べて感想聞かせてよ」


 俺はハートの真ん中にスプーンを立てて、トントンと整えると、真ん中のライスをすくった。


 甘いトマトの味と、コゲの匂い。


 「うまいよ」


 亜梨沙は頷いてから、自分も食べ始めた。


 「ねっ、あたしお酒飲んでいい? 春馬っちも飲む」


 「あぁ。あっ、でも俺はやめとく。会社に戻らないとだし」


 「えーっ。ノリわるいぃ」



 プシュ。

 亜梨沙がプルタブを開ける。


 「ぷはぁー!」

 缶をテーブルに置くと、亜梨沙はのけぞった。


 「そういえば、亜梨沙って何歳なの?」


 「21歳〜。女子高生に見えた?」

 そう言うと亜梨沙はニヤニヤした。


 「みえねーよ。俺と同じ20代じゃん」


 亜梨沙は俺に箸の先を向けた。


 「お前な。それ、指し箸っていってだな。ダメなんだぞ?」


 「オッサンくさいー。あ、春馬っち、もうすぐ30歳だもんね? でもさ、知らなくたって仕方ないじゃん。あたしに教えてくれる人いなかったし」


 俺はオムライスを口に入れた。

 

 「あーあ。あたしが子供の頃に春馬っちがいたらなぁ。あのさ。聞いて欲しいことあるんだけど」


 「ん、俺でいいなら」


 「ママが出て行った時。あたしの横に、ママの男がいてさ。そしたら、ママが仕事終えて帰ってきて」


 「それって」


 「ママ、ひどいんだよ? 帰ってきて、あたし引っ叩かれて「お前が誘ったんだろ」だって」


 亜梨沙は缶チューハイを飲み干した。


 「あたし、あの目が忘れられなくてさ。今でも夢でみるし、ほんとウケるよね。でもさ、普通、娘の心配するでしょ? 娘が無理矢理やられたのに」


 「……えっ?」

 

 「要はママにとって、あの瞬間、あたしは娘じゃなくて、男を寝取った女になったんだろーね」

 亜梨沙の諦めたような笑顔。


 あぁ。

 そういうことか。


 いくら三条君でも、処女に気づかない訳はないと思ったんだ。


 ——亜梨沙、頑張ったんだ。


 ごくっ。

 俺は胸が震えたけれど、それを丸ごと飲み込んだ。


 「春馬っち、なんか言ってよ。ドン引きされた?」

 亜梨沙は空っぽの缶を逆さまにした。


 「ひかないし。なんて言っていいか分からないけど、絶対に引いてない」


 「そっかぁ。さすがオッサン。 ……まあ、そんなわけ。退院したら、叔父さんが心配して。この家を貸してくれたんだ」


 「なぁ、亜梨沙」


 「なに?」


 「俺の娘になる?」


 「はぁ? ならないし」

 亜梨沙が俺に缶を投げつけた。


 本当は色々してあげたいけれど。

 俺には、それくらいしか思いつかなかった。

 

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