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寝取られて壊れた俺、義妹が可愛すぎるから養うことにした ♦︎♦︎♦︎義妹に癒されながらブラック不動産で働くことになった  作者: 白井 緒望


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第56話 追跡


 ドンドンッ。

 「亜梨沙。いるんだろ?」


 俺は亜梨沙の部屋のドアを叩いた。

 何度も叩いているうちに手が痛くなって、手を止めた。


 

 「出てきてくれないか。なっ?」  

 ドアに額を押し当てる。


 「……」


 「仕方ない」

 俺は、ドアポストに指を差し込もうとする。



 すると、ドアノブが動いた。


 亜梨沙だ。

 左手の袖が濡れた跡で変色していた。


 「新聞受けから覗くな。変態」


 亜梨沙は辺りを見渡した。


 「入って」


 

 入り口のゴミ袋を跨ぐ。

 部屋の中は前よりも片付いていた。


 カチャ。


 亜梨沙は玄関の鍵を閉めると、リビングのテーブルの前で膝を抱えた。


 「なんていうか……」

 言葉が出てこない。


 亜梨沙が髪を掻きむしる。

 下ろした指先には、金髪が絡み付いていた。


 「あたし、そりゃあ彼女扱いとは思ってなかったよ? でもさ、セフレ扱いなんてやっぱショックじゃん」


 ごもっともだ。


 三条君をフォローしたいが、言葉が見つけられない。


 すると、亜梨沙が続けた。


 「アタシ、処女だったんだよ。それなのにアイツ、それすら気づいてないってことじゃん」

 膝を抱える手に力が入った。


 亜梨沙は俺を睨んだ。

 立ち上がると、ゆらりと足をもつれさせて、胸元のボタンに指をかけた。


 「春馬っちが悪いんじゃん。あの時、ヤッてくれてたら、こんなに辛くなかったし」


 プツっと音がして、ボタンが外れていく。


 「どうしてそうなるんだよ」


 「だってそうじゃん。してたら、アタシ今頃、春馬っちに夢中だったし。そうならなくても、諦めついたと思うし。……ほら、やっぱり春馬っちが悪いんじゃん」


 亜梨沙が、両手を床ついて近づいてくる。

 鎖骨が汗に濡れている。香水と混ざった汗の匂い。


 「まじでやめろよ」


 「責任とってよ」

 亜梨沙が目を細める。


 「いや、違くて」

 ドンと棚に背中があたって、何かが落ちる。

 床にキーホルダーが転がった。


 「春馬っちは、アタシみたいな汚い女じゃ興奮できない?」


 「亜梨沙を汚いなんて思ったことない」


 「じゃあ……いいじゃん」

 亜梨沙が俺のベルトに手をかける。

 手首の返しで、カットソーの袖が捲れた。


 ギラッ。

 ドアポストの隙間から、西陽が差し込んだ。


 ダダッ。

 直後に誰かが階段を降りていく足音。



 視線を戻すと、亜梨沙の小麦色の手首に、きらりと白い線が光った。


 一文字の傷。

 一瞬なのに、ハッキリと見えた。



 俺は首を横に振った。

 「なっ。こういうのは、やめようぜ?」

 


 亜梨沙は立ち上がると、バツが悪そうに傷をかくした。袖が腕に纏わりついて、何度か袖口を掴む。


 亜梨沙の口の端が震える。


 「本気にした? 春馬っちウケる〜」

 亜梨沙は涙を拭った。


 「ウケないし。つか、なんか足音聞こえたんだけど、いいのか?」


 「いいのいいの。猫かなんかでしょ? じゃあさ。せめて、ご飯たべていってよ。この前、遠回りに断られちゃったし」


 「いや、別に」

 洗面台をみると、山積みの食器は消えていた。


 「断ったら本気で泣くから」


 「いえ、いただきます」

 

 亜梨沙はエプロンを巻くと、フライパンを掲げた。冷蔵庫から生卵を出して、ボウルに入れた。


 「あたし、実は料理得意なんだ」


 トントン。

 小気味のいい音。


 「亜梨沙って、ミス大福餅なんだろ?」


 「……なっ。なんで知ってるんだよ。くそ、あーちゃんか。そうだよ。準だけど」


 ジュー。

 油が焼ける音がして、ケチャップの匂い。

 カチャカチャと箸がボウルに当たる。


 あの傷が、頭の中から消えない。

 

 「なあ、亜梨沙って、どんな子供だったんだ?」

 


 亜梨沙はチラッと俺を見た。


 「んーっ。あたし、実は勉強も得意だったし、クラス委員してたんだ。ウケるよね」





 


 

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