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寝取られて壊れた俺、義妹が可愛すぎるから養うことにした ♦︎♦︎♦︎義妹に癒されながらブラック不動産で働くことになった  作者: 白井 緒望


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第46話 歩み。

 「どうするよ」

 「でも、安い方がいいよ」

 「年金も少ないし」


 参加者達が呟く。



 「賛否同数で、本議案は否決」

 結局、管理費修繕積立金の値上げは否決された。


 他方、別議案の管理会社の継続についは、事情の変更があったため保留。後日、改めて臨時総会が開催されることになった。


 総会が終わり、パラパラと住人達が帰っていく。


 俺は進行役の女性に声をかけた。


 「修繕積立金はともかく、管理費についてはどうかご調整いただけませんか?」


 女性は怪訝そうな顔になった。

 「なぜです? もう御社の受注みたいなものですよ?」


 「同額なら、御社で管理継続した方が住人の方にはいいと思いますので。あ、私はぶっちゃけ管理費が上がらなければどうでもいいんです」


 「わたしとしては有難い話ですが、あなたの意図が分かりません」


 「あー、私、管理部じゃありませんし、違約金とか更新月とか手続き知らないし。ただの不動産屋ですので。部屋が売れれば良いんです」


 俺はピースサインを作った。


 「ふふっ。分かりました。優しいんですね」

 女性は笑った。


 黒髪を太い三つ編みで一つに纏めている。

 黒い瞳。真面目そう。


 ……唇が乾燥して切れている。


 この人、こんな顔してたんだ。



 ♦︎

 

 「ふぅ」

 俺は集会所から出た。


 「春馬っちー。部屋に戻るでしょ?」

 亜梨沙が話しかけてきた。


 ポンと背中を叩かれた。


 ふると、手に持っていた紙袋が落ちた。中の書類が散らばった。


 「やべっ」

 拾おうとすると、亜梨沙もしゃがみこんだ。


 「春馬っちって、実はひ弱?」


 「いや、なんか部屋から出たら力が抜けちゃってさ」


 「ふーん。はい。これで全部」

 亜梨沙は最後の一枚を渡してくれた。



 「ありがと。ってか、君さ。その〜っちって何? いきなり馴れ馴れしいんだけど」


 集会所を出て、外廊下を並んで歩く。


 亜梨沙は、桜藍より少しだけ背が高い。

 スタイルも悪くないし、一般的には顔も整っている部類だと思う。


 「春馬っちー。あたしのこと見過ぎ。きしょっ。あのさ。あとその『君』ってやめてくれない。なんかオッサンっぽくてキショい。ま、実際にオッサンだけど」


 見ず知らずのギャルにオッサンとか言われたくない。


 「じゃあ、なんて呼べば?」


 「名前か『お前』でいいよ」 

 


 「ぷぷっ」

 俺は笑ってしまった。


 「なんで笑うんだよ」

 亜梨沙は俺のふくらはぎを蹴った。


 「いや、自分で『お前呼び』希望するやつ初めて会ったから。つか、オッサンいうな。女子高生に言われるならまだしも、同じ二十代だろ?」


 「は? 二十代の底辺と上澄みじゃん」


 上下がよく分からん。

 でも、小馬鹿にされていることは分かる。



 会話が途切れて、無言で歩く。

 エレベーターのボタンを押すと、亜梨沙に聞かれた。


 「さっき、管理の議案、保留にしたのなんで? さっきのノリなら、継続NGにできそうだったのにー」


 「あぁ、あの場で失注したら、あの担当の子、1人の失態にされるだろ? 持ち帰りなら、競り負けた会社全体の責任じゃん」


 ぱんっ。

 思いっきり背中を叩かれた。


 「ふーん。春馬っち、やっさしぃーねー! あの子、目がハートになってたよ」


 「初対面だぞ。あるわけないだろ。おまえ……」


 『お前と違う』

 そう言おうと思ってやめた。


 「ふぅーん。ま、アタシなら普通に惚れると思うけど」


 この子と話してると、どうも俺も口が悪くなってしまう。


 あぁ、でも。

 これだけは言っとかないと。


 俺は頭を下げた。


 「さっきはまじでサンキュー。君……亜梨沙が助けてくれるとは思わなかったよ」


 「ん? まー、春馬っちが掃除してたの知ってたし。チャラ課長にも頼まれたからね」


 「見てたの? その割には、石投げるだけで手伝ってくれないのな?」


 「ほらー。アタシ、爪がこれじゃん? ホウキとか持てないっていうか」


 家の家事とかどうしてるんだよ。


 「ま、何はともあれ、サンキュ。何か礼がしたいんだけど」


 「じゃあ、店に来て100万くらいのボトル入れてくれる?」


 「店、どこ?」


 「歌舞伎」


 「1000回払いのローンとかできるなら」


 「うけるー。アタシ、払い終わる前に辞めてそうなんだけど。じゃ、アタシが困ったら、助けてよ」


 白紙委任?

 怖いんだけど。


 「まぁ、俺にできることなら」


 「アタシだってボランティアじゃないし〜。今度、チャラ課長が店で、ドンペリ入れてくれるんだって。ま、アタシは酒飲めないんだけど」


 「うっわー」


 「ぶっちゃけ、課長ってどれくらい稼いでるの?」

 亜梨沙し人差し指と親指で輪っかを作った。


 「よく知らんけど、1,500〜2,000万くらいかな」

 全く知らないので、俺は一般的な不動産トッププレイヤーの相場を伝えた。


  「……月で?」


 「あほか。年だよ、年」


 「ふぅーん。意外と少ない〜。春馬っちー。アタシの給料聞きたい?」


 なんかムカつく。

 

 「知りたくない。労働意欲が削がれそう」


 「それ、かしこいー」

 亜梨沙は笑った。


 悔しいけれど。

 この子は、笑顔が可愛い。

 

 「じゃあ、俺、部屋でやることあるし。ここで」


 俺は部屋の前で亜梨沙と別れた。


 ガチャリ。

 ドアを開けると、鮮烈な悪臭。


 ゲホゲホ。

 臭いって分かっててもむせてしまう。


 俺は全部の窓を閉めて、部屋から飛び出した。



 すると、亜梨沙がいた。

 「どしたの?」


 「待ってた。どうせ、窓を閉めるだけって分かってたし。ありがとね。約束まもってくれて」


 「だって、亜梨沙がキレたんじゃん。臭いから窓閉めろって」


 すると、亜梨沙は人差し指を俺の脇腹に当ててグリグリと回した。


 「アタシの周りってさ。嘘つきな男しかいないから。あのさ、さっきお願い聞いてくれるって言ったじゃん?」


 「あ、ああ」

 イヤな予感しかしない。


 「あのさ。アタシ、困ってることあって。助けてよ」


 ごくり。

 俺は唾を飲み込んだ。

 

 

 

 

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