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寝取られて壊れた俺に、あの子がいびつにハマってくる♦︎♦︎♦︎義妹を養うために、ブラック業界(不動産)で頑張ります!  作者: 白井 緒望


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第40話 穴。

 「は? コア抜き? ダメに決まってるでしょ?」


 管理人は、菓子折りが入った紙袋の口を一瞥すると、目を細めた。


 「ですよね。でも、きちんと検査をしてからやりますんで」


 「あのねぇ。鉄筋一本切れただけでも躯体はダメになっちゃうの。アンタのところは良くても、他の部屋にヒビが入ったり。これだから不動産屋はイヤなんだ」


 このクソジジイと思ったが、完全に相手が正しい。


 悪臭のことでも一通り怒られ、30分ほどして、俺はようやく解放された。


 「参ったな。課長に叱られる」


 部屋に戻って報告すると、意外にも叱られなかった。


 「良かったんですか? エアコンの穴1つになっちゃいますが」


 「あー、1つの穴に2台通せばいいだけだし」


 は?

 穴が1つで足りるなら、最初からそう言えよ。


 課長は手を払うようにした。

 「ただ、見栄えがね。配管が剥き出しだと、客の感度が落ちるのよ。とはいえ、壁をふかすと金がかかる」


 「なるほど。価格はどれくらい下がるんですか?」


 「価格ってよりも、売れるのに時間がかかるのよ。その分の維持費がかさむ。それって、指し値(さしね)と同じだから」


 「なるほど」


 指し値か。値引きかなんかのことか?

 どうでもいいことで聞きまくってると、肝心な時に聞きづらくなるからな。


 帰ったら調べよう。



 ガラッ。

 課長はそう言うと窓を開けた。


 「今日は直帰で。山路くんも帰っていいから。あっ、山路くん。帰りにゴミ捨て場の清掃しといて」


 この人、俺に面倒事を押し付けすぎ。


 俺はゴミ捨て場の掃除をして、マンションを後にした。



 駅からの帰り道。

 俺は三条君に電話した。


 「あっ。山路さん。調子はどうっすか?」


 「どうっすかじゃないよ。三条君のワンニャンハウスのおかげで、最悪なんだけど」


 電話の向こうから、パンッと手を叩く音がした。


 「えっ。あの部屋の担当、山路さんになっちゃったの? それはゴメンっす」


 「なんであんな部屋に入札したの?」


 「課長の分も数字が必要だったのと、ぶっちゃけ1、2匹だけだと思ったっす!」


 「いやいや、資料に『多数(詳細不明)』って書いてあったでしょ?」


 「裁判所が盛ってるだけかと……」


 「もらねーよ!」

 思わず、素でつっこんでしまった。


 「でも、山路さんも、俺に感謝してほしいっす」


 「は?」


 「ペットが死なないように、時々、新聞受けからドッグフードを流し込んでいたっす。あれがなかったら、今頃、山路さんは死体とご対面だったっすよ」


 今でも十分臭いのだ。

 それは想像もしたくない。


 「それはそうだけどさ。三条君、実は動物好きなの?」


 「普通っす。いたら可愛いけど、情熱とか特にないっすね」


 「だって、ぶっちゃけ、立地的にもそんなに良い物件じゃないだろ? それなのに前のめりっていうか」


 すると、三条君は小声になった。


 「ここだけの話。あの部屋の隣に彼女が住んでるっすよ。『取り残された動物が可哀想』って言われて、カッコいいところみせたったっす!」


 ……隣の家に彼女?

 

 「ちなみに、彼女さんの名前は?」


 「亜梨沙っすよ。新垣亜梨沙あらがきありさ。なんでそんなこと聞くっすか?」


 ちょっと待て。

 山村の爺さんの件で三条君の家に行った時。


 三条君の家から半裸で出てきた女の子は、別人だったぞ?


 つまり、俺は。

 三条君の、浮気相手への好感度アップのために、こんなめにあっているらしい。


 ガチャン。

 三条君が何か言っていたが、俺はそのまま電話を切った。


 


 

 

 

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