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寝取られて壊れた俺、義妹が可愛すぎるから養うことにした ♦︎♦︎♦︎義妹に癒されながらブラック不動産で働くことになった  作者: 白井 緒望


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第4話 先生

 

 「んじゃあ、また明日」

 俺が部屋に戻ろうとすると、桜藍が服の丈を摘んだ。


 「春馬さんのお部屋。まだ汚いよ? 1人になるとすごく怖いの……だから今夜は一緒にいて」


 その気持ちは分かる。

 だが、それはまずい。


 こんなに可愛い子がそばにいて、俺は自分を抑える自信がない。


 とはいえ、妹を1人にできないか。

 まいったな。


 「じゃあ、俺はリビングのソファで寝るからさ、通話を開いたままにしないか?」


 「うん」


 「そのかわり約束して。明日、朝はちゃんと起きること。眠いから休むとかナシな。いいね?」


 「わ、わかった……。じゃあ、わたしからもお願いがあるんですけど」


 「なに?」


 「わたし、たまに寝言をいうみたくて。そしたら、すぐに切って欲しいです」

  

 「そんなにすごいの?」


 「寝ている時のことだから分からないです」

 真剣な顔をしている。


 「それはそうか。分かった。約束する」


 俺はソファに横になってスマホの画面を開いた。そして気づいた。


 「桜藍の電話番号しらないんだけど」


 聞きに行こうかな。

 でも、こんなアラサーに電話番号を聞かれたら、気持ち悪がられるかも。


 それに、もし断られたら……?

 柚子に言われた言葉が蘇って、俺は心臓の奥がキュッと痛くなった。



 タタタっと階段を降りてくる音。

 桜藍だった。


 「春馬さんっ、電話番号教えてください」

 

 「えっ、でも。桜藍、イヤじゃないの?」


 「ばかなこと言わないでください。電話番号知らなかったら、春馬さんがお腹痛くなったら、どうやってお迎えに行くんですか?」


 「ははっ。桜藍は俺のママかよ」


 「ママじゃなくて妹ですっ。それに、逆もあるかも知れません。わたしが困っても、連絡できないんですよ?」


 「……それは困る」


 「じゃあ、ほら。大人しくQRコードを出して」


 「えっ、どうやるの?」


 (電話番号の交換ってQRコードとか必要なのか?)


 「あははっ。パパでもわかったのに、春馬さん面白い」


 「いや、ごめん。俺、友達少ないから。やり方を教えてください」


 桜藍は俺の横に座った。

 ピンクのパジャマがよく似合っている。


 俺のスマホをいじりながら、桜藍が言った。


 「あれっ。春馬さんのスマホ、古すぎて使い方が分からないです」


 「まじっすか。たしかに10年近く使ってるやつだけど」


 「少し時間かかっちゃいそうです」


 「分かった。待つよ」



 カチカチ。


 時計の音だけが響く。

 少し気まずい。



 すると、桜藍が言った。


 「無言って、気まずいです。何か話してください」


 「そんなこと言われても……。歳が離れすぎてて桜藍との共通点といえば、同じ言語を使っていることくらいだし」


 アイドルとか今の流行りとか。

 桜藍の世代のことは、何も分からない。


 「じゃあ、わたしからひとつ。春馬さんに恋育してもらうだけは不公平だと思うんです。だから、たまにわたしも春馬さんにレクチャーさせてください」


 「えっ」


 「だって、わたしが恋育卒業したら、春馬さん寂しくて泣いちゃうかもしれないし。ちゃんと春馬さんの自立も支援したいんです」


 励まされているのかな。

 俺の弱さを見透かされているみたいだ。


 「なまいきだなぁ。うん、でも、分かった。よろしく頼むよ」


 すると、桜藍はちらっと俺の方を見た。


 「こほん。じゃあ、さっそくひとつだけ。こういう時は、女の子は1人でいたくないんです。ギュッと抱きしめてあげてください」


 「えっ? いきなりとかキモくない?」


 「そんなことないです。兄妹なら普通にすることです。それに、わたしは……安心したいんです


 俺は指を広げた。

 あと数センチ手をのばせば、桜藍の腰だ。


 指先が震える。

 温もりが恋しい。


 すると、桜藍は両手を広げた。


 俺は唾を飲み込んだ。



 「……安心させて」

 桜藍の呟き。

 白い指先が震えている。


 桜藍が目を細めて。

 視線が交差する。



 ……いや、ダメだ。

 この子は妹。


 抱きしめたら、きっと意識してしまう。



 俺は視線を逸らした。



 「こほん。桜藍さんは、減点1です」


 「ええっ、なんでぇ?」

 桜藍の声が裏返った。


 「普通の兄妹は、抱き合ったりしません!」


 「ぶぅ。わたしは今は何点なんですか?」


 「さっきも減点したから8点かな」


 「0点になったら、どうなるの?」


 「強制退学。俺は家を出ます」


 「それは困る……。わかりましたぁ。先生っ」



 桜藍は俺の方をみて口を尖らせた。

 「でもね、先生。先生は加点1ですよ」


 「えっ。加点?」


 「だって、もうわたしを追い出すとか言わないから。いつのまにか先生、自分が家出することになってますよ?」


 確かに。


 「ははっ。ちなみに加点されていくと、どうなるの?」


 「ご褒美に、毎日、優しくしてあげます」

 桜藍は両手をひろげた。


 そんなに甘やかされて、万が一、俺が桜藍を好きになったらどうするんだよ。


 「それって、オッサンにとっては罰ゲームだぜ? 俺を社会的に殺さないで」


 桜藍は頰を膨らませた。


 「やっぱり、デリカシーがないから減点2点です」


 「ちなみに、0点になるとどうなるの?」

  

 「わたしが家出します」


 「家出して、行くあてあるの?」


 「ないですっ!!」


 「はぁ? それはマジで困るんですけれど。ちなみに、今の俺の持ち点は何点なの?」


 桜藍は指を顎に当てて悩み始めた。


 「うーん。3点です。あっ、今ので2点になった」


 「おいおい、落第寸前じゃねーか」


 桜藍は、ふふんと鼻を鳴らした。


 「そうですよ? 春馬さんは、ちゃんと桜藍先生の言うことを聞かないと、すぐに退学なんですから」


 「わかった。俺っ、更生するよ!」


 「わかったのなら、ささっ。ギューっと抱きしめて」


 「いや、それはねーわ。あはは」


 「じゃあ、頭を撫でてください」


 「それくらいならなんとか」

 頭を撫でると、桜藍は目尻を下げた。


 その後は、桜藍を部屋に戻して通話で話した。

 すると、桜藍は本当に寝言を言った。


 「Mom, Dad, where are you?」 

 心細そうな声。


 きっとそれは、聞かれたくない寝言だから。

 俺はそっと通話を閉じた。


 

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