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寝取られて壊れた俺、義妹が可愛すぎるから養うことにした ♦︎♦︎♦︎義妹に癒されながらブラック不動産で働くことになった  作者: 白井 緒望


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第27話 ヒゲ

 門扉の前で時計をみると、23時を過ぎていた。


 「ただいま」

 玄関ドアを開けた。


 すると、タタッと足音がした。


 「まだ起きていたの?」

 そう言い切る前に、桜藍は俺に抱きついた。


 「どうした?」

 桜藍は家の中を指差した。


 「で、出たんですっ!」


 泥棒か?

 俺は桜藍の肩を抱き寄せた。


 「何が出たの?」


 「く、くもぉ!」


 「……蜘蛛?」

 桜藍は何度も頷いた。


 すごい脱力感。

 なんだよ、蜘蛛かよ。


 「どんな蜘蛛?」


 桜藍は人差し指と親指で、サイズ感を表現した。


 そのサイズ、およそ4ミリ。


 「小さっ!」

 俺は思わず笑ってしまった。


 すると、桜藍は頬を膨らませて俺のことをポカポカと叩いた。


 「馬鹿にしないでください。あんなに小さかったら、すぐに行方不明になっちゃうじゃないですか。余計に怖いです!」


 「分かった。退治してやるから、どこにいたの?」

 

 4ミリか。ハエトリグモかな。

 三条君に退治したって言ったら、ドン引きされそうだ。


 「こっち」

 連れて行かれたのは、桜藍の部屋だった。


 ふわりとシャンプーの良い匂い。

 物は多くないが、ピンクと白で統一感のある部屋だった。


 机の上には写真立て。


 「きゃあ!」

 桜藍は何故か、写真立てを倒した。


 顔が真っ赤だ。


 誰の写真だろう。

 想像するだけで、少し嫌だった。


 って、あまりジロジロみてたら引かれそうだ。早く蜘蛛をみつけないと。


 「んで、どこ?」

 桜藍はカーテンのあたりを指差す。


 案の定、蜘蛛は既に消えていた。


 桜藍が俺の袖をグイグイと掴む。

 「ど、ど、どうしよう。居なくなった……」


 「ずっと同じ場所に居たら逆に怖いよ」


 「夜にまた出るかも知れないじゃないですか。目を開けた時に顔の上にいたら……ひいいっ」


 「分かった。とりあえず、風呂に入らせてくれよ」


 すると、桜藍が俺に鼻を近づけようとした。


 「ちょ、嗅ぐなよ。汗臭いから」

 俺は桜藍の肩を押し戻した。



 ♦︎



 カポン。

 「はぁー」

 

 俺は浴槽に身体を沈めた。

 ザザンとお湯が溢れる。


 狭い風呂場だ。お湯が洗い場にどんどん溜まって、脱衣所の段差の半分ほどの高さになった。


 「前は父さんと2人で入っても、こんなにいかなかったのに」



 折れ戸のすりガラス越しには、人影。

 「それで、いつまでそこにいるのー?」


 「蜘蛛が見つかるまでですっ」

 脱衣所で膝を抱えながら、桜藍が答えた。


 参ったな。


 その辺で適当に小さい蜘蛛を捕まえて、桜藍の部屋で見つけたって言おうかな。


 「そこ、床が硬くない?」

 ガラス越しの人影の髪が揺れた。


 「お仕事、どうでした?」


 「立ち退きの支度金のことで部長と揉めちゃって。明日から会社に行くのが怖いよ」


 「ふぅん。でも、お仕事はじめてからの春馬さん、前より優しくなりましたよ。あ、もとから優しいけど。頼もしくなったというか……」


 褒められた。

 照れ臭くて、のぼせそうだ。


 「あのー、そろそろ出たいんですけれど。そこに居られると困るんですけど」


 「目を閉じてるから、サッと着替えてください」

 

 マジかよ。


 俺は諦めて脱衣所で服を着ることにした。

 桜藍は目を閉じている。


 「あのさ、前から言おうと思ってたんだけど」


 「なんです?」

 桜藍は顔を上げかけて、また下を向いた。


 「俺の下着とか洗うのイヤじゃない?」


 「そんなことないです」


 「でも、アラサーで、男だし」


 「わたし、頑張ってくれたお洋服を洗うの好きですよ。2人暮らしで枚数もないし、まだ全然、負担じゃないですし」


 「まだって、どういう意味?」


 すると、桜藍は目を見開いて口に手を当てた。

 耳まで真っ赤だ。


 「な、なっ、なんでもないです」


 意味が分からない。

 これがジェネレーションギャップというやつだろうか。


 桜藍は急に立ち上がった。

 「わたし、お夜食の準備してきますっ!」


 そう言い残して、脱衣所から出て行った。


 俺は歯を磨いて、髭を剃った。

 そして、鏡を見る。


 「よしっ、剃り残しなし」


 俺はおかしくなってしまった。

 前は、仕事後の無精髭なんて気にもならなかったのに。


 今は、すごく気になるのだ。



 

 


 


 

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