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寝取られて壊れた俺、義妹が可愛すぎるから養うことにした ♦︎♦︎♦︎義妹に癒されながらブラック不動産で働くことになった  作者: 白井 緒望


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第25話 2回戦目

 「15万? 無理って言ってるでしょ! 赤字出したら君が補填してくれるの?」


 部長は弾いた電卓の数字を俺の方に向けて、机をバンバン叩いた。


 俺は歯を食いしばった。

 (ギリギリなのは、アンタが高買いしたからじゃないか)


 「確かに収支はカツカツです。でも、ここであの人達に出ていってもらわないと、本気で強制執行しかなくなると思うんです」


 部長は俺に電卓を投げつけた。

 壁に当たった電卓が地面に落ちて、弾けたボタンがコロコロと床に散らばる。

 

 「強制執行? お前、いくらかかるか知ってるのか? 専務の決裁が必要なのよ? 無理無理ぃ」


 「蓋を開けたら何人住んでいるか分からないような物件です。部長だって資料で知っていたはずじゃないですか」


 部長はコーヒーをゴクゴクと飲み干した。

 「そこを何とかするのが、山路君の仕事でしょ」



 「だからですよ。今なら、あの家族しかいない。今退去させないと、関係者が増えて収拾がつかなくなります」


 部長はまた机を叩いた。


 「なんでそんな訳のわかんない物件落としたの!!」


 いやいや、『やっちゃえイイエス(飯島エステートの略)』とか言ってノリノリだったのは部長なんだが。


 (こいつじゃダメだ)


 「もういいです。専務に直接かけあいますんで」


 すると、部長の顔色が変わった。

 「はぁ? お前、上長を飛ばすとか、どれだけ世間知らずなんだよ」


 『お前じゃラチが開かねーからだよ』

 その言葉が出かかったが、俺はギリギリで飲み込んだ。



 住人女性に聞いたところでは、あの部屋に住んでいる子供はあの2人だけらしい。


 俺はただの会社員だ。

 不法滞在者みんなをどうにかするなんて無理だし、すべきでもない。

 

 ただ手の届く範囲で、あの家族に立ち退き金を渡すくらいしかできない。


 だが、部長が『入管』とか言い出したら、それすらできなくなる。


 だから、今が正念場だ。


 「物件内には、誰のか分からない残置物が大量に残っているんです。もたもたしていると、他の住人がもどってきて、強制執行しかなくなります」


 「そうなったら、いくらかかるの?」

 部長の口の端が白く泡立っている。


 「私の試算では予納費用60、補助業者40、残置物保管費用15、物件維持費80で……最悪、200万円以上かかるかも知れません」


 「え……。それ、どうするんだよ」

 部長は俺の方を見た。


 「だからですよ。今なら15万ぽっきりで話が前に進むんだ」


 「それで、そいつ追い出して、そのあとどうなるの? 鍵壊したら、占有なんたらの妨害で訴えられるぞ」


 「うまくやってみせます。あの家は普段から鍵を掛けていない。出かける時は、鍵は鉢植えの下らしいです。それを所有者のうちの会社が回収する。ごく自然なことです。これなら鍵も交換していないし、締め出してもいない」


 「残置物は?」


 「女性に自分のものだと認めさせて、うちに譲渡させます。代金は1円でも。これなら、うちのコストは最低限で抑えられます」


 「鍵はどうすんの?」


 「だれも謎の外国人と同じ鍵で住みたくないでしょう? 再販する時に、買主の希望で交換すればいいかと」


 「ち、ち、ちょっと待って」

 部長は頭を抱えて、もごもごと何かを呟いた。

 その声は震えている。


 あと一息。


 「もたついたら、行き着く先は裁判です。部長、専務に裁判の決裁とるつもりですか?」


 「だって、そいつらそもそも不法滞在でしょ?」


 押し込め!

 俺は声を張り上げた。


 「何人だろうが住人が『死ぬ』って言ってるんだ。死なれたら瑕疵物件ですよ。アンタ、責任とれるのか!?」


 (あぁ。俺、絶対に嫌われたわ)




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