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寝取られて壊れた俺に、あの子がいびつにハマってくる♦︎♦︎♦︎義妹を養うために、ブラック業界(不動産)で頑張ります!  作者: 白井 緒望


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第24話 決意

 「これであっちで遊んでおいで」

 俺は子供にオモチャを渡した。


 「はぁーい」

 子供達はオモチャを奪い合うように抱えて部屋に戻って行った。


 子供は2人で、おそらく中国系だ。


 子供がいなくなったところで、俺は鞄から交渉用の書類を取り出した。


 「今日は、立ち退きしてくれた場合に、いくらお渡しできるか話しに来たんですけれど。言葉、分かりませんか?」


 すると、女性は書類を覗き込んだ。


 「ワタシ、日本語少しだけ分かるよ。アナタ、お金くれるの?」


 女性に事情を聞くと、この家は、SNSで知り合った人から借りているとのことだった。その人に家賃も払っているらしい。


 「その人の名前は? 契約書はありますか?」


 「シラナイ。紙もナイヨ。イクラくれるの?」


 「10万円ご用意できます」


 すると、女性は眉を吊り上げた。


 「10万!? そんなの足りるわけないよ! アナタ、アタマおかしいんじゃないノ?」


 「ご理解いただいてないようですが、あなたは不法にこの物件に居座っている状態です」

 

 「ダカラ、カリテルノ!」


 「それでは、貸主の連絡先を教えてください。こちらで確認しますので」


 「警察ヨブヨ!」


 「どうぞご自由に。こちらとしても、出入国……」

 そこまで言いかけて、桜藍の笑顔が脳裏をよぎった。


 『出入国管理局』

 それは不法滞在者対応の切り札だ。でも、強すぎる。やりすぎはダメだ。


 「とにかく、これ以上居座ると、賃料相当額を遡って請求させていただきますので」

 

 「アナタ、人間じゃない。子供がカワイソウ!」

 甲高い掠れ声が家中に響く。


 「来週にでも強制執行の手続きに入ります。そうしたら、アナタは1円も受け取れない。今なら10万円手に入る」

 俺は声に抑揚が出ないように、心の中で何度も深呼吸をした。


 「執行? イマ、仕事サガシテル。ダカラ、来月になったら出ていけるから」

 女性は縋るような声を出した。


 「仕事? 身分の証明はできるんですか? アナタに物件を貸す人がいると思えませんが」


 「ヤッテミナイトわからないヨ」


 「分かります。では、家と仕事のアテがあれば出ていけるんですよね?」


 「それはそうだけど」


 俺は鞄から紙とペンを出した。

 「では、その旨、一筆、書いてください。月内に退去していただければ、10万円をお支払いしますので」


 俺は女性に、退去の旨の一筆を書かせた。


 「コレデキガスンダ?!」


 「いえ、まだです。この家、何人も住んでますよね?」


 「オカネナイカラ。ミンナデスンデル」


 (やはり同居人がいるのか)


 「では、その人達の人数や生活リズムについて教えてもらえませんか? 情報料として5万円お渡ししますので」

 

 「アナタ、サイテイダヨ」

 女性は苛々した声で話し始めた。



 俺は靴を履いて、玄関ドアに手をかけた。


 「また来ますんで」


 「△□◾️◉……!」

 外国語で何か叫ばれながら、物件を後にした。

 意味は分からないが、罵られているのだろう。


 ドアが閉まると、母親を心配する子供の声が聞こえた。


 訛りのない綺麗な日本語だった。



 階段を下りながらスマホを開く。

 「今日は少し遅くなるから。ちゃんと戸締りするようにね」

 俺は桜藍にメールしてから、会社に電話した。


 「山路ですけれど、まだ部長いますか? あっ、帰りそう? 案件の件で話があるんで、少し待ってもらってください」


 歩きながら三条君にも連絡した。

 「悪いんだけど、再販部に行って空いてる仮住まい物件がないか聞いてくれないかな。狭くてもいいから安いやつ。えっ? もう帰る? そこをなんとか。今度、桜藍に会わせてあげるから。なっ?」


 「桜藍ちゃんに会えるならいいっすけど。んで、立ち退きは、どうなったっすか?」


 「あぁ。15万で出ていかせる方向性だけはつけた」


 すると、三条君の声が裏返った。


 「ええっ。どうするんすか!? 山路さんこの前、退去費用のことで部長に『意味の分からない外人に払える金なんてない』ってブチギレられたばっかりじゃないっすか」


 「ああ。でも、玄関の靴がボロボロで、住んでた母親も子供もガリガリでさ。丸裸で追い出したりできないでしょ」


 「どうなってもしらないっすよ!」

 三条君はそう言うと電話を切った。


 「はぁー」

 電話を切ると同時にため息が出た。


 たしかに部長の許可は出ていない。

 これからの事を考えると、頭が痛い。

 


 山村の爺さんの件で、もっと出来たことがあるんじゃないかって思った。ここで手放したら、あの時と同じだ。


 「だから、俺がやるしかないだろ」

 

 パァン!

 俺は頬を叩いた。


 


 

 

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