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寝取られて壊れた俺に、あの子がいびつにハマってくる♦︎♦︎♦︎義妹を養うために、ブラック業界(不動産)で頑張ります!  作者: 白井 緒望


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第23話 交渉

 ある昼休み。


 「あれっ、山路さんの弁当。冷凍の惣菜とかないっすね。全部、手作りじゃないっすか!」

 三条君が俺の弁当を覗いてニヤけた。


 「いや、最近、弁当頑張ってくれててさ。持つべきものは、できた妹だね」

 映画を観に行ってから、心なしか弁当が豪華になった。


 「うちなんて冷凍食品の連続コンボっす。しかも今日は、そもそも弁当なしという」

 三条君はどこかで買ってきた弁当を袋から出した。


 「でもそれ、駅前の中華屋の弁当だろ? あそこ安いし美味いよな」


 「そうなんすよ。あそこのおねーさん化粧してないのに可愛いし。っていうか、山路さんのお弁当、例のいきなりできた妹さんのでしょ? マジで羨ましいわ〜。ねぇ、ぶっちゃけ」


 「んっ?」


 「その妹さんとヤリたいとか思ったことないんすか?」


 「はぁ? あるわけねーだろ。相手は未成年だよ」


 「ふーん。じゃあ、その桜藍ちゃんでしたっけ? 可愛さパラメータをカードランクにしたら?」


 「いや、間違いなく『SSR』でしょ」


 「スーパースペシャルレアとかあり得ないっすぅ! 会わせてもらえませんか?」


 「無理」

 こんなチャラいイケメンを会わせても、心配事が増えるだけだ。


 「つれないっすね。あ、そういえば、山路さんの今の案件、大丈夫っすか?」


 「あぁ。もう落札されてるし。今は課長が居ないし、自力でなんとかするしかないよ」


 「まぁ、代理の高橋さんじゃ、アテにならないっすしね。あの人、オッパイに脳の養分吸いとられてるんじゃないっすか?」


 「ちょっと。そういうのはやめようよ」



 俺は弁当箱に蓋をした。

 実は今、俺は少し困ったことになっている。



 先々月、課長が入院してしまって、主任だった高橋さんが課長代理をすることになった。


 高橋さんの空回りもあるが、部長から「とにかく落札しろ」という圧がすごいのだ。それで、事前資料だけで入札したところ、まぐれで億の利益がでる物件を落札してしまった。


 それからは、机上調査の常態化。

 問題が起こるのは、時間の問題だった。



 「これがソロの初物件とか、マジできついわ」


 俺は現況調査報告書を鞄に突っ込んだ。

 

 現況調査報告書は裁判所の執行官が作る書類だ。入札者はこれで物件の詳細を確認することになる。


 今回の物件には『占有者あり、権限不明』との記載があり当初から怪しかった。


 だが、入札会議で部長が専務に「同様案件の処理実績があるから問題ない」と言ってしまった。


 近隣エリア再開発の情報をうちの会社だけが掴んでいた。それで部長も欲が出たのだろう。


 雑な入札で落札。


 後から分かったのだが、ウチがぶっちきりの高値で落札していた。

 

 



 「さぁ、いくか」

 俺は、物件に向かうことにした。


 駅からバスに乗り換えて10分。

 今回の物件が見えてきた。


 平成築、グリーン×ホワイトのマンション。



 「はぁ」

 玄関ドアの前で特大のため息をついた。


 ……この家には、謎の占有者がいる。


 こういう場合、普通なら所有者と立ち退き交渉をするのだが、この物件の所有者は、どこにいるかすら分からない。


 つまり、住人と直接交渉をするしかない。



 ピンポーン。

 インターフォンを鳴らすが、誰も出てこない。


 「いないんですかぁ?」

 玄関先で叫ぶが、返事がない。


 昨日はこのまま帰ったが、今日はそういう訳には行かない。物件化が遅れると、管理費などのコストが雪だるま式に増えるからだ。


 郵便ポストをみると空だった。

 ベランダを覗くと、使い古された衣服が山積みになっていた。雑に干された子供服。


 「子供もいるのかよ」


 俺は鞄の中のオモチャを確認した。


 (できれば子供には現場を見せたくない)


 これからの展開を想像すると、胃がギューっと締め上げられた。


 


 もう一度、インターフォン。


 「いないなら、開けますよ」


 ガチャガチャ。

 管理人から受けとったキーで鍵を開ける。



 ギィ……。

 玄関ドアをあけると、乱雑に脱ぎ捨てられた靴。子供の靴やビーチサンダル、ハイヒールもある。男ものの靴はない。


 だが、間取りの割に靴が多すぎる。

 「ったく、何人住んでるんだよ」


 ダダダと足音がして小さな子供が出てきた。


 「アンタ、ダレ?」

 アジア系と思われるその子供は、片言の日本語だった。


 中を覗くと、キッチンのテーブルには漢字やアラビア語の調味料が散乱していた。


 すると、中国語で何かを叫びながら、中から30代くらいの女性が出てきた。色白で華奢なアジア系の女性。


 彼女も片言の日本語だった。

 「アンタ、ダレデスカ?」


 「私は、この物件を落札した会社の者です。貴女達に、速やかな退去をお願いしに来ました」


 女性は首を傾げなら答えた。


 「ワタシ、ニホンゴ、ワカリマセン」



 


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