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寝取られて壊れた俺、義妹が可愛すぎるから養うことにした ♦︎♦︎♦︎義妹に癒されながらブラック不動産で働くことになった  作者: 白井 緒望


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第17話 初同行

 次の日、三条君も出社してきた。


 「いやぁ、昨日、ハエトリちゃんが死んじゃったっすよ。あ、俺は三条天音さんじょうあまね。『あーちゃん』って呼んでくれっす!」


 三条君は、身長はそこそこ高くて茶髪。そして、イケメン。正直、アイドルレベルに顔が整っている。


 そして、なんていうかチャラい。

 

 (それにしても、昨日、あれだけ怒鳴られたのに、すごいメンタルだよ。この人)


 課長は、ため息をつくと俺たちを集めた。


 「えー、彼は山路君。司法試験に挑んでたエリートだ。今日から高橋さんについて学ぶように。あぁ、三条。君もまたOJTからやり直しだから」


 「ええーっ。それはないっす!」

 三条君は不満を言ったが、却下された。




 午前中は社内システムの説明で、午後から現場で流れを追うことになった。


 課長が説明してくれる。


 「まず、仕事の流れだが、①競売不動産に入札して落札、②入居者の立ち退き、③物件化、④再販 だ。この中の①から②までがうちの部署の仕事。どうだ? 簡単そうだろ?」


 「は、はぁ」


 「当面は、三条君とやってもらうから心配するな」


 (いやいや、その三条君が一番心配なんですけれど)


 「他のことは、まぁ、君は法律に詳しいから大丈夫だろ? 即戦力予定の中途採用だしな」


 そういうと、課長は俺の背中をバンッと叩いた。


 中途だと大半の説明を端折られる。

 前の職場と同じだ。


 午前中はコピーなどの雑用をしているうちに終わった。午後になって、高橋さんが早退になってしまって、課長と現場に行くことになった。


 社用車で落札物件に向かう。

 沈黙が気まずい。


 俺が運転していると課長が声を荒げた。


 「山路くん、人が乗ってるって分かってる? ブレーキとハンドルも急すぎ!」


 「す、すいません」

 手足が強張る。


 昨日の怒声を聞いたからだろうか。

 理屈よりも怒鳴るタイプ。


 (俺、この人、苦手だ)


 「これから行くのは、物件調査だから。楽なもんだよ」

 そう言ったきり、課長はまた無言になった。


 現場はマンションだった。

 

 「ライフラインを確認して、次はポスト、新聞受け」


 課長の指示で、郵便受けの中、新聞受けの中を覗く。すると、債権者からのビラしか残ってなかった。


 「荷物の不在通知は?」

 課長は腕を組んでそう言った。


 「いや、ないっすね」


 新聞受けを覗くと、子供の靴が見えた。


 「オートロックを通ったり室内を覗いたりとか、違法じゃないですか」

 

 すると、突然、課長が怒鳴った。

 外廊下に甲高い声がこだまする。


 「馬鹿やろう! 借金取りから逃げてる奴がインターフォン押して出てくるわけねーだろ。そんな良い子ちゃんしてて良い物件が落とせるわけねーだろうがよ! 現地にきたなら手ぶらで帰るな!」


 俺は肩がすくんだ。

 (何、この人。ヤクザかよ)


 課長は鍵穴とドアの覗き穴を調べて、メモ帳に何か書いた。そして、非常口から眺望を確認する。


 何をしているんだろう。

 分からないことは聞かない訳にはいかない。


 「あの、何をなさってるんです?」


 すると課長は手を止めて教えてくれた。

 普通の口調に戻っていた。


 「ドアロックのタイプと、覗き穴から解錠が可能か確認すること。眺望は抜けてるか。どうして確認すると思う?」


 「売れる値段を確認するとかですか?」


 「そうだな。鍵の交換費用と周辺に何があるか。墓地は嫌われるし、駐車場なら建物が建つ可能性がある。うちの部署で物件化したマンションは、最後は再販に出る」


 「でも、もう社内的には入札額とか決まってるじゃないですか」


 すると課長はギロリと俺を睨んだ。


 「本当にそうなのか? 上振れ要素を見つけておけば、この物件に使える金が変わるんじゃねぇのか?」



 つっけんどんな口調だが、聞いたことには答えてくれる。


 俺はメモを取った。


 課長は電気メーターを見た。

 ゆっくりと回っている。


 「あれは、居ないってことですよね?」


 課長は首を横に振った。


 「あれは、エアコンを動かしてるな。冷蔵庫だけならもっとゆっくりだ。この家はガキがいるからな。つかわねー訳にはいかないんだろ。靴はガキのだけだったか?」


 「いや、安全靴みたいかのがあったかも」


 「テレビの音は?」


 「してました」


 「アニメだったか?」


 「いや、バラエティみたいなの」


 課長は顎に触れた。

 つまむ力で、顎の肉が歪む。


 課長が歩き出した。


 一通りの事を終えた。

 そろそろ帰るのかな。


 すると、課長はいきなりインターフォンを押した。


 ピンポーン。

 ピンポーン。


 出てこない。

  

 ドンドンッ。

 課長がドアを叩く。


 「いるのは分かってるんですよ。出てきてください」


 「ギャー」と子供が泣き叫ぶ声。

 鳴き声が何度も響いて、周りの家の人が出てきた。


 「おい、出てこいって言ってるんだよ。子供が泣いてるでしょ」

 課長がドア越しに叫んだ。




 おいおい。泣かせたのはアンタだろ。


 うちはまだ権利者じゃない。

 こっちが不法侵入だ。



 「止めるか?」

 胃がギューっと縮むのが分かる。


 この会社、しんどすぎる。


 

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