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寝取られて壊れた俺に、あの子がいびつにハマってくる♦︎♦︎♦︎義妹を養うために、ブラック業界(不動産)で頑張ります!  作者: 白井 緒望


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第13話 真緒。

 

 「あれっ。真緒だ」


 「えっ?」


 「春馬さん。この子、前に話した高校の友達の」

 桜藍は店員の子の肩に触れた。


 真緒は唇に指を当てた。

 桜藍と俺を交互に見る。


 「ええーっと、あぁ。なるほど。そういうこね。って、わたしヤバいじゃん」


 「どうしたの? あの、さっき彼女がどうとかって」

 桜藍が首を傾げた。


 「いやっ。わたし勘違いしちゃって。初めてのお客さんなのに、女連れの常連さんと間違えちゃったっていうか。ねっ、大将もそうだよね?」


 おいっ。

 反省した直後なのに、地雷を撒き散らさないでくれ。


 すると、大将も頬をかいた。

 「あ、あぁ。そうだ。初めてのお客さんだ!」


 大将、ごめん。

 演技力が足りてないです。


 ガタッ。

 大将が桜藍の前に皿を置いた。


 「お嬢さん、これさっきのメニューのお詫び。サービスだから」


 しゃこ貝の器に、穴子やベビーホタテ、タコや玉子焼きが山盛りのったサラダだ。メニューにのせたら、2〜3,000円しそう。


 「わぁ。すごく美味しそう。おじさん、ありがとうございます」

 

 桜藍がお辞儀をすると、大将の目元が垂れ下がった。


 「いやぁ、おじさんの娘も同い年だからね。君たちがあまりに親密そうだから、心配しちゃったよ。不適切な関係なんじゃないかって。なぁ、真緒」


 って、大将も暴発するところだったのか。


 すると、大将が俺にウィンクした。

 それにこの豪華サラダのチョイス。


 この人、意味深すぎる。


 えっ、真緒? 

 呼び捨て?


 まさか。


 真緒が手を横に振った。

 「ちょっと父さん、お店では他人のフリしてって言ってるじゃん」


 どうやら、この2人は親子らしい。

 この無骨な大将から、ずいぶんと可愛い子が産まれたものだ。


 ということは、隣の板さんがお兄さんか。


 「はぁ」

 なんだか、どっと疲れた。


 真緒が桜藍に耳打ちした。

 「それで、どうなの?」


 普通に声が聞こえている。

 

 「えっ、その、違うし」

 桜藍が髪を揺らす。


 「だって、可愛くて意識しちゃうとか言ってたじゃん」

 

 ……意識しちゃう?


 桜藍がこっちを向いた。

 顔が真っ赤だ。


 って、まさか、桜藍。

 俺のことを……?


 桜藍がフルフルと首を横に振る。


 「違うんです。春馬さんがたまにタオル一枚で歩き回ってるから、目のやり場に困ってしまって」


 あぁ、そういうことか。


 家の中だからって、これからは気をつけないとな。でも、桜藍がいない時だけのはずなんだけれど。


 「ごめん、それは俺が悪い。今後は注意するよ」

 

 すると、真緒が後ろで手を組んだ。

 「そっか。じゃあ、そういうことにしておいてあげる」


 「そういうことなのっ!」


 すると、周りのお客さんも笑い出して、店の中が和やかになった。


 真緒は値踏みでもするかのように、俺の周りを回った。

 「ふーん。あなたが例の春馬くんね。ちょっと前は尻に敷かれ過ぎだったところはあるけれど、よく見たら顔も整ってるし。いいんじゃない? 桜藍は面食いじゃないから、心配してたの」


 前は?

 ……柚子とのことか。

 この子、見事に地雷を踏んでくれる。


 俺は桜藍を横目で見る。


 桜藍の顔が真っ赤になった。

 「春馬さんとは、そういうのじゃないですし。わたしを大切にしてくれる恩人というか。大切な存在っていうか」


 「ふーん。まぁ、最愛のお兄様だもんねぇ。このブラコン妹めぇぇ! あ、大将。この2人、いかがわしくない兄妹だから。安心して」

 真緒は桜藍に抱きついた。


 すると、隣で握っていた板さんが、ぼそっと呟いた。


 「こんな可愛い妹がいるとか、羨ましすぎますよ。うちのなんて粗暴すぎ」


 「はぁ? 兄貴っ。こんな可愛い妹がいて何てこと言うのさ。うちの高校の男子に人気があるランキング、桜藍がダントツだけど、わたしだって5位なんですけど?」

 

 真緒が声を荒げると、板さんも返す刀で言い返す。

 「は? どうせ女子が5人しかいないんだろ?」


 板さんがこっちに向いた。


 「あの、俺はたくみって言います。一応、こいつの遺伝上の兄でして。お互いに苦労しますね。妹がいる同士、宜しくお願いします」


 「わ、わたしは苦労させてないですよね?!」

 必死な桜藍。


 また店の中が、笑いに包まれた。


 ——兄妹、妹か。


 分かっていたことだけれど。

 そのラベリングは、少しだけ寂しい。


 俺、いつのまにか欲張りになってるみたいだ。

 

 


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