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寝取られて壊れた俺に、あの子がいびつにハマってくる♦︎♦︎♦︎義妹を養うために、ブラック業界(不動産)で頑張ります!  作者: 白井 緒望


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第10話 買い物

 週末、俺は桜藍と買い物に来ていた。

 近隣のショッピングモールだ。


 わりとメジャーな施設で、ファストファッションのショップも多い。


 柚子とも来たことがある場所だ。

 勝手も分かっている。


 必要なものは自分で買ってきて欲しいのだが、お金を渡しても、桜藍は食材を買ってしまう。


 なかなか自分のことにお金を使ってくれない。


 「やっぱり、女性の相談相手が欲しいなぁ」

 俺がボヤくと桜藍が俺の手を引っ張った。


 「わたしはもう高校生ですよ? 自分のことくらいできますし、そんな相手いらないので!」


 「でもなぁ。ほら、女の子には必要なものが色々あるだろ?」


 数秒後、桜藍は真っ赤になった。


 「春馬さんが変態さんになったぁ。もうっ。そんなに聞きたいなら、AIさんに聞けば良いじゃないですか?」


 「AIって……?」


 「わたし知ってるんですよ。春馬さんが、AIさんに『深月みつき』って名前つけてデレデレしてるの」


 なぜバレてるっ。


 「仕方ないだろ。桜藍に会う前は、AIしか話し相手がいなかったんだから。いわば、俺の心のオアシスなんだよ」


 「そんな寂しいこといっちゃダメですっ」


 「そこまで言うなら、まぁ、深月に聞いてみる」


 俺はスマホをいじった。


 「どうでした?」

 桜藍が画面を覗き込んでくる。

 

 「ちょっと、見るなよ。えっと『性的ガイドラインに抵触する恐れのある質問には答えられません』だって」


 すると、桜藍がむくれた。


 「春馬さんは、何を質問してたんですか。春馬さんはAI禁止です。その分、わたしとお話してください!」


 桜藍は身体を横に振った。

 そしてなぜか、乱れた髪を直す。

 

 「分かったよ。AIとはバイバイする。孤独な俺を支えてくれてありがとう。さよなら深月。また会う日まで」


 そんな話をしているうちに、ショッピングモールのお目当てのエリアに着いた。


 「で、何を買いに行くの?」


 「えっと、今日のお夕飯の準備とか。あと、下着……とか?」


 「それだけ? 普段着も買いなさい」


 「えっ、ジャージがありますよ? 拒否権は?」


 「認めません。桜藍があまりに可哀想な感じだと、俺が社会的に非難されるんだよ? だから、3、4着は買うこと」


 「分かりました。ありがとうです。じゃあ、1着は一緒に選んでもらえませんか?」


 「いいけど、こんなオッサンの好みでいいの?」


 「客観的な意見も必要なんです」

 そう言って、桜藍は俺のすぐ横に来た。



 大まかに回って、店舗の入り口で待つ。

 真剣に選んでいる桜藍を見ていて気づいた。


 「桜藍、値札ばっかり見てる……」


 少し悲しい。


 すれ違う男共が、みんな桜藍を二度見する。中には40代を超えているようなオッサンも多い。


 「子供相手に色目つかいやがって」

 鼻が高いはずなのに、何故か面白くない。


 俺は桜藍の横で待つことにした。



 「ここのお店のは、一緒に選んでください」

 桜藍に引っ張られて店内に入る。


 店の中には所狭しとワゴンが並んでいて、女子高生が好みそうな服が沢山あった。


 「何着か探してきます」

 桜藍は店の奥に行ってしまい、俺はポツンと1人ぼっち。


 すれ違う女の子が、俺を振り返る。

 無論、モテている訳ではない。悪い意味で注目されているのだ。


 「アラサー男にこの店はキツすぎる。桜藍、早く戻ってきてくれよぉ」

 

 5分ほどすると桜藍が戻ってきた。


 「お待たせしました」

 桜藍は両手に服をもっている。


 大人っぽいスカートから肩が出たカジュアルなものまで、色々だ。


 「1人でマジでしんどかったんですけれど」


 桜藍はのんきに笑った。

 「ふふっ。大丈夫ですよ。きっとみんな、兄妹と思いますって」


 俺は典型的な日本人。

 桜藍は銀髪銀眼の異国風美少女。


 ——どう考えても兄妹には見えない。

 


 桜藍は試着室に入ると、順番に着替えてくれた。ロングスカートもミニスカートも。大人っぽいニットも、フェミニンなブラウスも。


 全部が似合いすぎている。


 「どれがいいと思います? ちょっと自分の服に着替え直すので、春馬さんは待っていてください」


 桜藍が試着室に入ったのを見計らって、俺は店員を呼んだ。


 「お客様。いかがいたしましたか?」


 「あの子が試着した服。全部ください」

 店員さんは驚きながらも、服をレジに持って行った。


 桜藍が出てきた。

 「あれっ、今試着していた服は?」


 「全部買った」

 

 「……え?」


 「だって、どれも似合いすぎてて選べないし」


 「返品しちゃダメ?」


 「ダメです」

 俺は手をクロスさせた。


 桜藍くらいの歳の子なら、服が多くてダメということは無いだろう。しばらくの押し問答の後、桜藍は観念して受けとってくれた。


 柚子と買い物をして選ぶのに付き合うことはあったけれど、こうして色々あげたいとは思わなかった。


 なんでだろう。


 「あぁ、分かった。これほど有意義な投資先に出会ったことがなかったってことか」

 俺が独り言を言っていると、桜藍が覗き込んできた。

 

 「変な春馬さん。少し1人で買い物をしてきても良いですか?」


 「そういえば、何か買い物があるって言ってたもんな」


 「ふふっ、内緒です」


 桜藍が用事があるというので、30分後に待ち合わせした。その間、ゲーセンや雑貨屋をウロウロしていると、案外、時間はすぐに過ぎた。


 「そろそろ、桜藍のところにいくか」


 すると。


 ボトッ。


 俺は手に持っていたペットボトルを落とした。すぐに拾おうとすると、また手から滑り落ちる。


 視線の先には柚子がいた。

 隣にいるのは、この前のコンサル男とは別の男。

 

 「……柚子。なんでここに」


 柚子は笑顔で雑貨を手に取っている。



 「……ゆず」

 咄嗟に柱の陰に身を隠した。



 「はぁはぁ」

 呼吸が浅い。


 膝がガクガクして力が抜けていく。


 「くそっ」

 こんなにも動揺している自分に、苛々する。



 まぁ、なんでもいい。

 気づかれる前に立ち去ろう。


 俺が柚子に背中を向けると、背後から声をかけられた。


 「春馬さんっ。探しちゃったじゃないですか。もうっ。ちゃんと待ち合わせ場所に来たくださいよ!」

 桜藍の声が響き渡る。


 柚子が振り返った。

 


 

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