抑えきれないの
それからあたしは準備をして組織に向かう
組織に着くと、もう柊先輩が来ていた
「柊先輩!おはようございます!」
「おお、白守か。おはよう」
「早いの珍しいですね」
「ああ、前の仕事で早く起きるの慣れちゃったからな」
そんな会話を交わす
さっきまで気分は下がってたのに、柊先輩に会うとそんなものも吹き飛ぶ
「今日は何人か様子を見にまわるか」
「はい!」
こうして柊先輩の車に乗って、組織で観察している能力者の様子を見にまわった
柊先輩の車に乗ってると、昔のことを思い出して懐かしくなる
あの時の気持ちも…
柊先輩もなんだか機嫌がよさそうだ
「先輩今日機嫌良さそうですね。なにか良いことでもあったんですか?」
そう聞いてしまってから失敗したと思った
昔、こんな感じで柊先輩の機嫌がいいときは彼女の話ばかりされたからだ
たぶん奥さんとなにか良いことあったんだろうな…
そう思うとあたしの上がってた気分が下がる
この感じも昔と同じで懐かしくもある
「んあ?やっぱりわかる?実はな、バカ息子が今日から学校行くんだよ」
良かった…
奥さんのことじゃない
って…え?
「え!?晴翔くんもう退院したんですか?」
「ホントはもう少し病院いなきゃいけなかったのによ、あのバカはどうしても早く退院したいってゴネやがって。よっぽど美琴さんに早く会いたいんだろうなぁ」
そっか…
晴翔くんも美琴のことで必死なんだね
ってか柊先輩は、美琴と晴翔くんが別れたの知らないのかな
なにわともあれ奥さんのことじゃなくてホッとした
そんな感じで普通の業務をこなし、夕方に組織に戻ってきた
「今日はこんなもんでいいか。白守、ちょっといいか?」
「はい。どうしたんですか?」
「これからのことで話がある。時間あるか?」
「大丈夫ですけど…」
これからのこと…
今日ずっと考えないようにしてたことだ
柊先輩は受付の人に
「どっか空いてる部屋貸してくれ。トップシークレットの話もあるから監視もナシだ」
と言った
そして受付の人に言われた部屋に入ると、柊先輩は深いため息を吐いた
「じゃあこれからのこと話すか…。俺のコレについてだ」
そう言って柊先輩はシャツを開け、チラッと左胸を見せてきた
そこには毎日夢に見る…あの日の刻印がついていた
やっぱり…その話か…
「俺はこの通り、呪いみたいなもんをかけられた。俺がスキャヴに手を出したら俺は死ぬ」
「………」
「でもクソジジイに言った通り、そのまま放置する気もねぇ。アイツらがなにか悪さをしでかしたら容赦なく捕まえる気だ」
「でもそれじゃあ…」
「あぁ…。もし俺がいなくなるようなことがあれば…晴翔のことも頼む…」
「イヤです!先輩がいなくなるなんて…。あたしが捕まえます!」
「白守。忘れたのか?俺の言葉。"冷静になれ、状況を判断しろ"だ」
「でも…あたし……。柊先輩がまたいなくなるなんて…」
あたしの目から涙が溢れてきた
それを見た柊先輩はあたしの頭にポンと手を置き優しく微笑んだ
ダメだ…もう限界…
昔の気持ちが溢れてきて抑えれそうにない…
ごめんね健一くん…
ごめん美琴…
でも…
「あたし…柊先輩のことが好き…」




