あたしは足手まといなの
「はあ?なに言ってんだ?」
柊先輩が氷室を睨みつける
氷室は構わず言い始めた
「この熊谷の能力で縛りたかったのは最初からお前なんだよ柊陽介。わざわざお前ら二人を呼ぶ必要はなかったんだ。でもあえてお前ら二人をここに呼んだ。なぜだかわかるか?」
「…………」
「お前一人ならこの約束すらしてくれなかっただろうな。だからあえて女も呼んだ。そして"どちらか一人"が約束しろと言うと、お前は女に危険なことをさせないために自ら約束してくれると思ったんだ」
「よく考えてみろよ。そもそもその女にはこういった類の能力は効かねえだろ?」
確かに…そういうことなのね…
ハナから柊先輩狙いだったってことか
あたしは眼中にもないのね
「そしたらまんまと熊谷と約束をしてくれてよぉ!ククク、笑いが止まんねぇぜ」
「笑ってくれて光栄だけど、そろそろ黙れよ」
柊先輩はさらに氷室を睨みつけた
「まぁまぁ、こっからが面白いのよ。もうちょっと話させろよ」
そう言ってまた氷室は続けた
「コイツ…、熊谷の能力は相手にちゃんと説明して同意をもらわないと発動はしない。これは本当だ。これが結構ネックでねぇ、すげぇ能力なんだけど」
「…………」
「だからちゃんと説明したよな?"熊谷と約束しろ"って」
「ああ、半日だけお前らに手を出すなってことだろ?」
「半日だけって言ったのは俺だよ!熊谷じゃねぇよバカ!つまりはどういうことかわかるだろ!?」
そんな…
最初からそれが狙いだったの?
「なるほど…。俺はお前らスキャヴに一生手は出せないってことか…」
「そういうことだよバーカ!冷静でいられなかっのか柊陽介?息子が死にかけてたんだもんな!」
柊先輩は拳を握りしめた
「柊先輩!ダメ!」
あたしは思わず叫んだ
そして
「だったら残りのスキャヴを解放しないわ。あんたらに好き勝手はさせない!」
とあたしが言うと、氷室の表情が変わった
「ちょっと待てよ…約束だろ?残りの仲間を解放しろよ」
「約束は柊先輩が手を出さないってことだけでしょ!?」
「そんな……」
氷室は落胆の表情を見せた
「ちょっと待て!!」
突然柊先輩が大きな声を出した
「白守、残りのスキャヴを解放しろ」
「え?だ、だって先輩…」
「ちゃんと聞いてなかったのか?熊谷ってヤツが俺に同意を求めたときのこと」
たしか…
"柊陽介…。もう一度確認だ…。俺らスキャヴを解放し…、そして手を出さない。同意するか?"って…
『俺らスキャヴを解放し…』
あっ……
「思い出したか?解放しなきゃ俺は約束を破ったことになる」
「はい…」
すると氷室が笑い出した
「ククク……。惜しい…惜しかったなぁ!!あと少しで柊陽介が死ぬところが見れたのによぉ!!こんだけ煽ってもお前意外と冷静なんだな」
たしかに…柊先輩がいつも言ってたことだ
"冷静になれ"って
それなのにあたしは…
「ああ!クソ!ならわざわざバラさないで半日だけだと思わせてた方が良かったかもなぁ。まぁいい、とにかく柊陽介は封じた。お前はもう俺らに手を出すことはできねぇ」
すると柊先輩はあたしの方を向いて、優しい顔で言った
「白守。もういいぞ、お前は普通に仕事行け」
「そ、そんな…、だって柊先輩は?」
「俺が残りのスキャヴを解放しておく」
「あたしも居ますよ!柊先輩を1人にしておけないですって!」
「大丈夫だ。手はださねぇよ」
「でも…」
そのとき氷室も会話に入ってきた
「おい女!お前察しが悪いな。お前がいると邪魔だって言ってるんだよ。このあと数十人の男を解放するんだ。そこに女のお前が居てみろ、興奮してお前を襲うやつがでてくるかもしれない」
そうか…。そうなったら柊先輩が黙ってないもんね…
「理解したか?まぁ俺にとっちゃそっちの方が好都合なんだがな。気分がいいからアドバイスしてやったぜ」
足手まとい…
完全にあたしが柊先輩の足を引っ張ってる
すると柊先輩があたしの頭にポンと手を置き笑顔で
「俺は大丈夫だから。さぁ行け」
と言った
あたしは悔しさを噛み締めてその場をあとにした…




