あたしのヒーローなの
目の前の部屋の扉の横にある差し込み口に、自分の社員証を差し込む
"ピー"と音が鳴り、ガチャっと鍵が開く音がした
あたしは扉を開ける
「如月美里です。失礼します」
と言い、部屋の中に入ると、またガチャっと鍵がロックされた音がした
広い部屋だが、相変わらずテーブルとソファ以外なにもない
殺風景な部屋っていうのが、余計に緊張感を煽ってくる
そのとき総司令の声が聞こえてきた
「あぁ、来てくれたか、白守…、いや今は如月くんだったな」
相変わらず姿は見せないが、久しぶりに聞いた声はもう、かなりの年配に思える
「さて、今日はなんで呼ばれたかわかってるね?」
「はい。スキャヴを全員解放した件ですね?」
「そうだ…。なぜそんなことをした?一応君の言い分を聞いてみよう」
「一人の少年が死にかけてたからです。彼を助けるにはもうそれしか…」
「君はスキャヴの連中のことを甘くみているな。恐喝、詐欺、強盗、殺人と色々な犯罪を犯してきている。そんなヤツらをまた野放しにしたんだぞ?」
「はい…」
「たしかに未来ある少年かもしれない。これから先その少年一人を助けたことにより、多くの人が危険なことに巻き込まれる。君のしたことはテロとなんら変わりはないんだ」
気分がさらに沈んでくる
わかってる…
あたしのしたことの重大さは…
「君はこの組織にきてよくやってくれた。期待以上の働きをしてくれた。だから色々な権限を持たせたんだ。でもそれをこのような形で使われるとはな…。残念だよ」
「申し訳ございませんでした」
あたしは深々と頭を下げた
「君のような人材を失うのは組織にとっては痛手だ。だが今回の件については見逃すことはできない」
「はい…」
「如月美里。現時刻をもって除名処分とする!」
「はい。今までお世話になりました」
あたしはまた深くお辞儀をした
クビか…
まあわかってたことだけど…
結構この仕事好きだったのにな…これからどうしよう…
もうこれで終わりなんだ…
悲しみが急に押し寄せてきて涙が込み上げてきた
その時だ
ドゴオォン!とものすごい音がなり、あたしはビックリして、込み上げた涙も引っ込む
音のした後ろを振り返ると、扉が壊され、逆光でハッキリ見えないが、人が立っているのがわかった
あの分厚い扉を壊せるのはあの人しかいない…
憧れて…好きだったあの人…
あたしのピンチにはいつも駆けつけてくれるヒーローみたいなあの人…
その人はいつも通り、余裕そうなふざけた態度で
「よおクソジジィ!まだ生きてたのか!?」
と言った




