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64 あの悪夢 中盤

インフィが叫ぶ。「ヨパラさん、雨合羽の後ろに隠れて!」


巨大化した骸骨(がいこつ)がすでにヨパラをがばうように立ちはだかっていた。


ボス部屋の隅から、気だるさを纏った女の声が、まるで霧のように忍び込んだ。


「……ほほう、よき匂いがすると思うたら、なんじゃ、ただの雑魚かい。まったく無駄足じゃったのう。」


「まあ、来てしもうたもんは仕方あるまい。いただいてやるとするかのう。」


薄暗い空間に現れたのは、よぼよぼの老婆だった。


ヨパラの顔に、怒りと恐怖が入り混じった表情が浮かんだ。


「ばばあ……俺の仲間を返せ!」


「インフィ、あのばばあが──俺たちの仲間を殺ったやつだ。気をつけろ!」


インフィも、その老婆を見た瞬間、全身に寒気が走っていた。──勝てない。直感が警鐘を鳴らしていた。


「ばばあと申すか、随分と口の悪い者じゃのう。まあ、すぐに楽にしてやるわい。」


老婆が手をひと振りすると、淡い紫の毒の霧が部屋を包むように広がった。


インフィは一瞬の躊躇もなく霧の中に飛び込み、低くしゃがみ込むと、老婆に向けて中剣を突き出す。


──が、そこに老婆の姿はなかった。


骸骨が殴りかかったが、虚空を打ち、老婆の姿もまたかき消えていた。


「ほほぅ……封命毒を吸ってなお立つかえ? わしの毒で動く者など初めてじゃ……まこと、愉快な小僧よのう!」


老婆の声が、少し離れた場所から響いた。


「ふむ……こやつが呼ばれた因果かの。おもしろい、ちと遊んでやろうかい」


骸骨は執拗に殴り続けるも、一向に当たらない。


「まずは、じゃまな骸骨から片づけてやろうかの」と呟くと──次の瞬間、雷光が骸骨を直撃する。


「ほう……それでも動くか、試してみるかのう? ならば、炎に氷はどうじゃ」


次々と繰り出される強力な魔法。骸骨はそれに耐えて殴り続けていたが、白金のように輝いていた美しい骨にはひびが入り、次第に煤け始めていた。


インフィは、その戦いを注視していた。


そして──骸骨の拳が振り下ろされた直後。


 「ッ……!」


インフィの中剣が、老婆の腹に突き刺さったように見えた。


だが──剣は、貫かない。

ただ、ぴたりとそこで止まっただけだった。


「ほう……レベル十四の小僧がここまでやるとはのう。おもしろいのう、毒の素材にでもしてくれてやろうかの」


インフィはすぐさま骸骨の腹の影に飛び込む。


老婆が再び雷を放った──しかし、骸骨がその身をていしてかばった。


「のろまな骸骨め……このわしの邪魔をするでないわい!」


咆哮のごとき怒声と共に、強烈な稲妻が骸骨に直撃する。


白金の骨が、雷鳴に砕かれ、鈍い音とともに床に崩れ落ちる。もう──立ち上がることはなかった。


インフィを守る盾は、失われた。


──骸骨は砕かれ、ヨパラも動けない。残ったのは、自分だけ。

なのに、この魔物には、勝ち筋が見えない。どこにも……。


ヨパラはその戦いを見つめ、自分が動けば足手まといになると悟り、ただ身を潜めていた。


「僕が狙いなら、ついていく……。でも他の人は、傷つけるな」


インフィの声は静かだったが、その奥には揺るぎない意志が込められていた。


「ふむ、ものわかりのええ小僧じゃのう。ならば連れて帰って──……ぐ、ぐぅ……!?」


老婆が言い終える前に、突然喉を押さえて苦しみだす。


「インフィちゃんを、いじめてるのは──誰?」


その声は、若々しくも凍てつくような静けさを纏い、空間の隅々にまで滲み込んでいく。──それだけで、空気が変わった。


「な、なにゆえ……そなたが、こんなところにおるのじゃ……?」


「わ、わしは……なにもしておらぬ……ま、まちがいじゃ……た、助けてくれ……こ、ころさないでおくれ……!」


まるで挨拶でもするように、フィディアは静かにそう言った。


「ふふ……そんなの、無理に決まってるじゃない。──あなたは、死、ぬ、 の、 よ」


紫煙の渦に包まれ、気配ごと世界から吸い取られるように──老婆は、跡形もなく消えた。

おもしろいと感じた方は、「亀の甲より年の功」をクリックして、他の作品もぜひご覧ください。まったく異なるジャンルの物語を、生成AIを駆使して書いています。

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