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無限の影  作者: Nick Occam


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第十章 若い魂の合唱

転移のあと、リックは巨大な建物の屋上に立っていた。


足元の奥深くから、無数の若い魂の合唱が立ち上ってくる。


「なるほど。学校か」


下から届く声に耳を澄ませ、彼はすぐに自分がどこへ来たのかを理解した。


だが、彼の注意を引いたのは建物そのものではなかった。


中に、乱れがあった。


休み時間の騒がしさではない。


子どもたちの普通のざわめきでもない。


もっと別のものだ。


張り詰め、押し固められたような気配。


まるで、多くの心臓が同時に一撃を待っているかのようだった。


リックは熊の背から降り、力が集まっている場所へ向かった。


学校のあちこちから、人間の目には見えない流れが伸びている。


それらは壁を抜け、階段を抜け、教室を抜け、廊下を抜け、一点へと集まっていた。


屋上の端で、リックは足を止めて下を見た。


すべての力は、一人の人間へ流れ込んでいた。


赤毛の少年が、校舎の玄関前の、いちばん上の段に座っている。


そして彼は、その力を少しずつ、そばに立つ者たちへ分け与えていた。


周囲には友人たちが集まっていた。


高学年の生徒たちだ。


見ただけでも分かった。


その中で少年は、年齢だけなら最も若い。


だが、地位は違う。


周囲の立ち方。


視線。


短い会話。


それだけで、リックには彼がこの集団の中心なのだと分かった。


屋上を、熊がゆっくりと近づいてくる。


その足取りは軽く、ほとんど滑るようだった。


「友よ、見てくれ」


リックは学校の柵のほうを指差した。


木々の下に、二人の男が立っていた。


彼をここへ来させた者たちだ。


友の静かな唸りは、彼も気づいていることを示していた。


「ああ。僕の兄弟たちだ」


彼らがまとう偽りの姿は、リックやその相棒のような存在には通じなかった。


リックは再び、玄関前の生徒たちへ視線を戻した。


「これだけ集まっているということは、誰かを待っているんだろうね」


振る舞いと会話の断片から、それはほとんど明らかだった。


それでも、一つだけ引っかかるものがある。


リックは自分の手に視線を落とし、続いて身体を見下ろせる範囲で確かめた。


年月を経て、身体は確かに強くなっていた。


父の体格にはまだ遠く及ばない。


それでも、以前よりはずっと馴染んでいる。


「この身体には、かなり慣れてきた。でも、力にはもっと時間が必要だ」


声には、かすかな悔しさが混じった。


適応は遅い。


最近、彼はそのことを何度も考えていた。


だが、そうでなければおかしい。


リックは重く息を吐き、軽く両手を広げた。


「父さんが、誇張抜きで最強だということを思い出せば、全部納得できる」


彼は屋上の縁に腰を下ろした。


熊はその背後に、自然な様子で身を伏せる。


二人はそのまま見守った。


リックの顔には、次第に疑問が濃くなっていく。


「誰に備えているのか分からないな」


背後から、低い唸りが返ってきた。


リックは眉をひそめる。


「つまり、現れるのは違う相手。ここで待たれている者ではない……あるいは、本来ここに来るべき者ではない、ということか」


友の言葉は、彼をさらに迷わせた。


熊自身も、それ以上はうまく説明できないらしい。


リックの問いに、ただ重く息を吐いただけだった。


下では、生徒たちが立ち上がり、校門へ向かい始めた。


見た目には落ち着いている。


だがリックには、彼らの心音が聞こえていた。


一つ、また一つと、整っていた鼓動が乱れていく。


平静はひび割れ、その下で恐怖が急速に膨らんでいた。


本当に自分を保っているのは、赤毛の少年だけだった。


鋭い緑の瞳には、理解しがたいほどの確信が宿っている。


「落ち着け。僕たちで学校を守る」


力の流れは、止まることなく彼へ注がれ続けていた。


少年のこめかみに、脈打つ血管が浮かぶ。


瞳は、不健康な赤みを帯び始めていた。


「僕の力は、君たちと共にある」


ほんの少し前まで恐怖の縁に立っていた生徒たちが、背筋を伸ばした。


恐怖が引いていく。


それこそが、リックには最も気に入らなかった。


「危険な力を、子どもが使っている」


彼は木々のほうを見た。


その目が暗くなる。


「長くは身体がもたない。どうして、あれを許している?」


その問いは熊へ向けたものではなかった。


自分自身へ向けたものでもない。


リックは、木陰に立つ兄弟たちを見ていた。


だが、すぐに注意は校門へ戻る。


並木の奥、木々の影の中に、小さな砂塵の渦が現れた。


その中心に、若い男たちの集団が形を取る。


先頭に立っていたのは、背の高い、がっしりした体格の男だった。


脂っぽい髪を後ろで束ねている。


着ているのはパーカーにジーンズ、古びたスニーカー。


その全身が、過剰な自信を示していた。


「面白い……」


リックは目を細める。


少しずつ、全体の形が見え始めていた。


「兄弟。あの脂ぎった髪の男が何もしないうちは、僕たちも動かない」


隣の熊が警戒し、すぐ動けるように身構えた。


木陰の二人もまた、動く準備をしている。


侵入者たちは、足早に学校へ近づいていった。


鳥の声が消えた。


風も弱まる。


木々の葉擦れさえ、どこか重く、低く、彼らを通すことを拒んでいるようだった。


校門の前には、すでに高学年の生徒たちが立っていた。


二人が前へ出る。


「お前たちは誰だ?」


やって来た男たちは互いに顔を見合わせ、短く言葉を交わした。


やがて、一行の中から、禿げた男が一歩前に出る。


「校長を呼べ。聞きたいことがあるなら、そいつに聞け」


背後の連中が、いやらしく笑った。


「それまでは、お前らを殴って待つ」


その言葉は、校庭に重い波のように広がった。


校舎の中から窓越しに見ていた者たちまで、震え上がる。


前へ出ていた二人の生徒は、ほとんど同時に腹を殴られた。


乱戦が始まった。


仲間を助けようと、生徒たちが駆け出す。


見知らぬ男たちも、当然のように加わった。


年齢の差。


経験の差。


子どもたちに対する数の優位。


そのすべてが、リチャードの怒りを煽った。


彼は、彼らが何を相手にしているのかを見ていた。


そして、普通の喧嘩がどれほど早く一方的な暴力へ変わるかも見ていた。


「一応、これは禁じられている範囲ではない」


リックは拳を握った。


指の皮膚が張る。


ゆっくりと呼吸を整え始める。


「落ち着け」


そうするのは難しかった。


目の前では、子どもたちが子どもたちを守ろうとしている。


ぎこちなく。


必死に。


できる限りの方法で。


それに対し、大人の侵入者たちは、ためらいもなく殴っていた。


リックは片手を前へ伸ばし、指で弾く形を作る。


「少しだけ、影から手を貸す」


彼は生徒たちの動きに合わせて、自分の動作を重ね始めた。


空気を飛ばすわけではない。


遠くから敵の頭へ指先を合わせ、まるで目の前にいる相手を弾くように、軽く指を打つだけだった。


一人が、生徒の拳が腹に入る瞬間、不自然に身体を跳ねさせた。


別の男は、相手の踏み込みに合わせて均衡を崩した。


三人目は、ほんの一瞬だけ動きを止める。


それだけで、顎に拳を受けるには十分だった。


次の一人は、何もない場所で足を取られた。


さらに別の男は、届くはずだった拳を横へ逸らす。


最後の一人は急に頭を振り、自分から少年の拳へ顔を差し出した。


リックは慎重に動いていた。


気づかれないように。


勝利が、彼ら自身のものに見えるように。


一人、また一人と、侵入者たちは倒れていく。


高学年の生徒たちは、自分たちがどうやって耐え切ったのかも分からないまま、相手を押し返し始めた。


やがて、立っている者は一人だけになった。


あの大柄な男だけだった。


「ここからだ。行くぞ、兄弟」


「ウウウ……」


熊が答えるように吠えた。


二人は誰にも気づかれないまま、屋上から降りる。


生徒たちは後ろへ下がった。


前へ出たのは、赤毛の少年だった。


リックと熊は、彼が仲間へ分け与えていた力が戻っていくのを見ていた。


速すぎる。


あまりにも貪欲だった。


「僕たちに手を出したのは、間違いだったね」


少年は、遠目にも自分よりはるかに大きい男へ向けて言った。


その顔は怒りで暗く沈んでいる。


「褒めてやるよ、小僧」


大柄な相手は、これ見よがしに指の関節を鳴らし、少年へ近づいていく。


赤毛の少年は待たなかった。


小さな拳を握り、全身に力を込める。


まばたきもせず、わずかに頭を傾けた。


次の瞬間、敵の上に巨大な見えない板が落ちたかのようだった。


その身体は地面へ叩き込まれ、かなりの深さまで沈む。


少年は両手を合わせた。


穴の上に、輪郭をそのまま写し取ったような石が形を成していく。


「今度は、押し潰す」


彼は叫び、石を落とした。


だがすぐに、凄まじい抵抗にぶつかる。


岩は十数センチほどしか下がらなかった。


敵は、あまりにも頑丈だった。


「当然の結果だ」


リックは乾いた声で言った。


赤毛の少年は、相手が極めて強いのだと理解し、力の流れをさらに増やした。


鼻と目から、血の粒が滲む。


リックの身体に緊張が走った。


もう、ただ危険なだけではなかった。


子どもの身体が、耐えられるはずのない力の代償を払い始めていた。


それでも足りない。


石はほとんど動かなかった。


その時だった。


石が、突然一メートルほど落ちた。


リックと熊の視線が、すぐに木陰に立つ二人の男へ向く。


「行くぞ、友よ。これは止めなければならない」


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


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次回もよろしくお願いいたします。

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