アヤメちゃんの気持ち
フルーツを食べ、その後もアヤメちゃんの買い物に付き合った後、
「あ…その、二人で今日の記念になるもの買うっていうのはどうですの?」
アヤメちゃんがモジモジしながら言う。
「おそろの物?いいよ?」
「お、お揃い……」
(こんなの初めてですわ!嬉しすぎますT^T)
「?それで、何買う?」
「こほん……うーん、では、お揃いの服…
「うん、それは止めよう!」
桁が違うんだから!
「な、なぜですの⁉︎」
「あれにしよう!」
私が指指したのは、ショーケースの外に出されている他の物より安そうなネックレス。
「?これですの??」
そのシンプルで小さなハートの形のゴールドのネックレスはアヤメちゃんに良く似合っていた。
「なかなか良いんですの」
最初はためらいがちだったが、気に入ったようだ。
「あなたも付けてみて、ひ、ひ、ひ…なた、さん」
ひなたさん?
「ひなで良いよ?」
「ひ…な……私耐えられませんわーーー」
と言ってどこかに行ってしまった。
「えっちょっと!」
私がそのネックレスを試着して、ちょっと経ってからアヤメちゃんは帰ってきた。
「ぜぇ、はぁ……ひぃひぃひぃ……」
「??どうしたの?」
「ひぃ……ひ、、な!」
あ……もしかしてこの練習してたの…かな?
「やっと、呼べましたわ!」
「そ、そうだね……?」
呼べたのか?と思ったけれど、そこはあえて口にしなかった。
その後、結局私たちはそのネックレスを買って、ショッピングモールを後にした。
ーーーーーーー
私はふかふかの車の革張りのシートでウトウトしつつある。
思いの外ショッピングで時間が経っていたようで窓の外を見ると、空が赤くなりはじめていた。
コテン
ふと右肩に重みを感じる。
「寝ちゃってる……」
アヤメちゃんはスースーと寝息を立てながら寝ていた。
「こう見ると凄い睫毛長いし、肌も綺麗だな……羨ましいな……」
きっと、毎日きちんとお手入れをしているんだろう。
「ッ…くすぐったい」
アヤメちゃんのサラサラストレートな茶髪が向きを変える度に、私の首に当たってくすぐったい。
「うーん…」
そんなことお構い無しにアヤメちゃんは寝ている。
「西川様、ありがとうございます」
「え?」
車の運転主さんが信号が赤の時に話しかけてきた。
「いえ、この様にお友達をお送りした事も、お友達と遊びに行かれた事もないものですから…」
「えっ?そうなんですか……」
聞いてはいたけど、本当に一回もなかったんだ……。
「てすので、これからもお嬢様の事をよろしくお願いいたしますね」
そう言って、少しダンディーな雰囲気を醸し出しながら、運転主さんは微笑んだ。
「きっと色々、家の事で大変だったんだろうね……まぁ、こんなにお金持ちの家だったらやっぱり、親に縛られるよね……その気持ち分かるなぁ…」
私はしみじみとそう感じた。




