映画館?
集合時間に今度は遅れずに準備した。
髪も乱れてないし、歯に海苔とかも付いてないし!
「まぁ、これでいいでしょ!」
鏡の前で身だしなみチェックをして、唯君を待つ。
今日は五分前行動ができてたので、もう準備万端だ。
待ち合わせの時間ぴったりに玄関のベルが鳴る。
ピンポーンー
扉を開けると、唯君が立っていた。
「先輩?今度はちゃんと準備した?」
「うん!今度は遅れてないよ!忘れてもないしね!」
「そういう意味じゃなくて……まぁいいや」
どういう意味??
「じゃあ行こっか」
そう言って、フッカフカの黒塗り高級車に乗せていただいた。
「どこの映画館に行く?それと、何見る?」
とりあえず聞いてみる。
「ヒミツだよ。先輩は見ちゃダメ」
腕が頭の後ろに回されたかと思ったら、目の前が突然真っ暗になった。
「ちょっと!何コレ?唯君、何するの!」
多分、アイマスクか何かで目を覆われたのだと思う。
取ろうとしても、手首を掴まれて頭の方へ手を持っていく事ができない。
「動かないでよ先輩。今日、前に僕があげた服着てないでしょ?」
「え?うん…なんか勿体なくて……」
「着ない方が勿体ないし…って事で大人しくしといてね?もうすぐ着くから」
謎の理由をつけられて、でも、抵抗してもきっと意味がないからジッとしておく。
でも、真っ暗なのは少し恐い……
「先輩?もしかしてちょっと恐い?」
「えっ?いや……ただ、何が起きてるのかわからないから、不安で…」
「そっか、不安か……」
何故か嬉しそうな唯君。声が上ずっている。
「何でそんなに嬉しそうなの?」
「別に…先輩、怖かったら手、握ってても良いよ?」
いや、無理でしょ……
恥ずかしいし、恋愛経験がほぼない私にはレベルが高すぎる。
「無理…だよ」
「そっか……そろそろヤバイ事が起こるかもね?」
何⁉︎ヤバイ事って⁉︎
キキッ
急ブレーキを踏んで、いきなり車が止まる。
「えっ何⁉︎」
「先輩には教えない」
「え?ちょっと!何⁉︎ヤバイ事って?」
だんだん怖くなってきた……
ガガガガガガッ
もう、今度は何⁉︎
「先輩?だいぶ怖くなった?」
「え……。いや……」
本当はだいぶ怖い……。
「手、握る?」
「う……。」
手は恥ずかしいので、唯君の服、多分お腹の辺りの服をちょっとだけ掴む。
「……もう、普通の道に戻って良いよ」
え……えっと?
「どういう事?」
「んー?まぁ、ちょっとだけ急ブレーキかけてもらったり、工事現場の近くを通って貰っただけだよ?」
こ、工事現場⁉︎
っていう事は、私工事現場にビビってたって事⁉︎
目隠しされてたら、分からないもんだな…
恥ずかしっ!
「もう、これ外してよ……」
「まだダメ。あ……着いたよ」
ゴゴゴッ
今度は工事とかではなく、何か重いものが動く音がする。
「ちょっと段差あるよ、気をつけて」
?ここ本当に映画館?と思うくらい人の声がしない。
「何食べる?ポップコーン?」
「うん。塩バターで」
「バター重要なんだね」
何ていう会話をして、
「席はここだよ」
と言って、目隠しを外してもらう。
「え……?」




