千里 side story 〜わからない……
来ない……。
1日待っても、メールは来なかった。
そんな時、
「ったくもう……。」
弟の唯がケータイを見ながら、呟いている。
そのつぶやきとは裏腹に、唯の顔は嬉しそうだった。
「唯、言ってる事と顔が噛み合ってないぞ。
どうしたんだ?」
「千兄がそんなこと言うの珍しいね。」
そう言えば最近、話したことなかったな。
基本的に用事がある時以外は、僕は弟には話しかけない。
まぁ、そんなことはどうでもいい。
「今日は面白い女の子に会ったんだよ!」
また女か……
と呆れ顔で唯を見ると、
「今度の子は違うんだよ!……何ていうかこう……ズレてるって言うか…まぁ、そこがまた面白いんだけど……。」
珍しい。
いつもだったら、千兄には関係無いじゃん。
と言って終わりなのに……
「何ていう名前なんだ?」
ふと興味がわいて聞いてみた。
すると、
「千兄と同じ学年だよ。名前は、ーーー」
一瞬耳を疑った。
「しかもボクら明日デートするんだよ。まぁそう思ってるのはボクだけかもしれないけどね…」
デート……
流石唯と言えば唯をだが…
「どうしたの?千兄?」
「いや……じゃあメアドも知ってるのか?」
「うん、L○NEのついでに教えて貰ったんだよ?それがどうかしたの?」
「そうか……」
ここで教えて欲しいと言うのもな…
「なになに?知りたいの??」
「いや……そういうことではないかが…どんなひとか少し興味があって…。」
「ふーーん?」
何故か嘘をついてしまう…
「いいよ?教えてあげる!こんなこと言うなんで珍しいしね。」
「あぁ……」
何故だろう……
こんな事した事なかったのに…
「どんな人か気になるならメールしてみれば?」
違う、そんなんじゃない……
ただ、メアドを僕は知りたかっただけだ。
でも僕は、
「あぁ、そうするよ」
と興味がなさそうに返事をする。
そして、モヤモヤとした気持ちが胸に溜まっている。
この気持ちは何なのだろう……
わからない……
それはさておき、
「どういう風にメール送ればいいんだ?」
僕は女子にメールを送った事がない。
何故か勝手にメールがきていた事はあったがそれに返信した事もない。
「取り敢えず、無難に送るか……」
[初めてメールします、柊 千里だ。登録をお願いしたい。]
堅苦し過ぎるか……
[柊千里だ。登録してくれ。]
これも短すぎる……
うーん……
文字を打っては消す、打っては消すの繰り返しだった。
「うーん……」
結局わからず、メールの確認だけしておくか……
[ちゃんとメールが届いているか、とりあえず確認したい。気がついたら、メールして欲しい]
と送った。
送るまでにどれ位時間がかかっただろう…
すると少しして、
ブーブー
着信を知らせるバイブ音が鳴る。
メールを見ると、
[ちゃんと届いてます。隣の席の方ですよね?メールが来ていたのでビックリしました。どうして私のメアド知ってたんですか?]
驚かせてしまったようだ。
君がメールをくれないから送ったと、書けるはずもなく、
[驚かせたならすまなかった。メールアドレスは唯に聞いたんだ]
と、無難に返す。
すると、
[そうだったんですか。分かりました。それではまた明日]
と返信が来る。
メールだからかわからないが、彼女の表情が読み取れない。
「顔文字を使ったほうがいいのか?」
そう考えて、少し送るのに勇気がいったが、
[あぁ。また明日。あと、おやすみ(^^)]
と、最後に入れてみた。
自分で会話を終了したのはいいが、返信が来ないと何故か少し不安になった。
この気持ちは何なのだろう……
やはり何もわからないが、ただ一つ言える事は、返信が来た時の嬉しさは計り知れないのは確かだった。




