二重人格⁉︎
「えっ?唯君??なんで…」
「先輩、僕が送った荷物開けたから、時間なくなって遅刻しそうでしょ?」
!!!
なんで……唯君はそんなに私の事が分かるんだろう……
「そ、そうだよ……」
「だから、迎えに来たよ?車で行けるからちょっとゆっくり準備していいよ」
「えっ!だ、ダメだよそんな……迷惑でしょ」
「だってもう来ちゃったんだから、早く早く!」
「あ、うん。」
私は急いで家を出る準備をした。
「先輩、乗って?」
高級車にドアを開けてもらってから乗る。
「先輩、つけてくれた?腕時計」
「あっ⁉︎忘れてた……」
「はぁ……僕のプレゼント忘れられてたんだね……」
「いや、急いでたから……ご、ごめん…」
チラッと唯君の顔を伺う。
表情が読めない。
何だか申し訳なくなって、下を向いてしまう
「あっ……」
下を向いた時に、唯君の腕に付いている腕時計が見えた。
「着けてたんだね、その腕時計」
「……俺、ダサい……」
ん?俺??
「え?何で??ダサくなんて……」
「だって俺、先輩とお揃いだって1人で舞い上がってたんだよ?」
ウソ……
そうだったんだ。
唯君は恥ずかしいのか、こっちを向いてくれない。
「唯君、ありがとう。そんなこと言ってくれて、嬉しい。明日は絶対着けてくるね?」
「ほんと?」
唯君はまだこっちを見てくれない。
「ほんとだよ、唯君。」
どうしよう……。
唯君の顔を覗き込む。
「クスッ、ウソだよ、先輩」
「え???」
ちょっと本気に見えたのは気のせい?
そして、顔が近い。
「唯君、近いよ……顔…」
凄く整った顔が近くにある。流石に、これは照れる。
「顔赤いよ?先輩」
ちょっと!からかわないでよ!
そう言いたいところだけど、何も言えない。
「……」
「着きました。唯様」
ナイスなタイミングで助け船が出された。
ありがとう、運転手さん。
「チッ…」
唯君??やっぱり、二重人格なのかな?
「まぁいいや。じゃあ先輩、またね?」
「う、うん。ありがとう唯君」
まだちょっと顔が赤いけど、それを隠して教室へ向かう。
キーンコーンカーンコーン
ガラッ
危ない危ない……
間に合った。明日は余裕を持って早くこよう
「ホームルーム始めるぞ」
担任の先生…誰だったかな?
田中…だったかな、まぁいいや。田中先生が入ってきた。
やっと朝の話が終わって、授業の準備をしている時、
「お、おはよう」
「あ!おはよ。昨日はメールありがとう」
「いや、それと僕のことは名前で呼んでくれないか?昨日のメールで、隣の席の方って来てたから…」
「あ、ごめんなさい。えっと…柊さん」
「あぁ。それと、敬語も止めにしてくれないか?色々と面倒だろう」
「うん。分かったよ、黒髪…じゃなかった柊さん」
「柊さんじゃなくて、千里でいい」
「いきなり呼び捨てはちょっと…」
「そ、そうか……」
「で、でも、千里君なら……」
「それがいいな。これからはそれで頼む」
またフワッと笑う。
「ッ……」
本当にこの人は不意打ちが多い。
キーンコーンカーンコーン
そうこうしていると、授業が始まる前の予鈴が鳴る。
「それじゃあ」
「うん、またね千里君」
千里君は、なぜだか顔を少し赤くして自分の席に戻って行った。
それから、午前中の面倒くさい授業が終わった。
お昼か…どこで食べようかな……
食堂かな…でも、高いし……
なんてことを考えていると、
「「キャーーーーー!王子よーー」」
甲高い声で鼓膜が破れそうになる。
「ひなのちゃん。ご飯もう食べた?」
「いや、まだですけど…」
「じゃあ、一緒に食べよう。いいかな?」
「あ、はい。」
どうせ一人で食べる予定だった私は、素直に頷く。
「じゃあ、行こっか」
「「嫌ぁぁぁぁぁぁ!」」
女の子達の悲鳴で私の耳の鼓膜が破れる、一歩手前まで行った。
あぁ、私なんかが自分達の王子の隣にいるのが耐えられないのだろうと納得する。
「ごめんね、ひなのちゃん」
謝る聖夜さん。
「いや、聖夜さんのが悪いわけじゃないですから」
そう言いながらも、周りの視線が痛い。
なんとか食堂にたどり着いたものの、私はお金も弁当もない。
「どうしたの?」
聖夜さんが不思議そうに私の顔を覗き込できた。




