心臓への悪影響
唯君と私は、うどんを美味しく食べ終わって、いろいろなお店を回っていた。(もちろん高いのでウインドウショッピングだけど…)
「先輩!これ、先輩に似合いそうだよ」
「はい??なんで……」
ガイコツ柄のゴツいアクセなんてつけないし
「あっ!これ、唯君に絶対似合う」
「ちょっと先輩……ウサ耳はないでしょ」
仕返しだし!
「あっ…これ良い!」
「えー?また変なの見つけたの?」
「ちゃんと見てよ、唯君!」
「あっ……本当だ……綺麗」
私が見つけたのは、ピンクゴールドとシルバーのペアウォッチ。
秒針に一つのダイアと、ブランド名が入っている。そして、その周りには、ピンクゴールドの方は薄ピンクの石、シルバーの方はマゼンタ色の石が埋め込まれている。
こんなのが買えたらな……
キラキラと輝く腕時計。まぁ、私なんかが買えるわけないんだけどね……
「行こっか唯君!」
「え?……うん」
何か考え込む様子で唯君は頷いた。
それからもたくさんのウインドウショッピングを楽しんで、気がついたらもう夕方になっていた。
「もう夕方だね。早いね」
「え?もう?びっくりだよ、先輩」
「そろそろ帰らないと……あ!帰る前にデパートに置いてきた服とか色々取りに行かないと!」
「大丈夫だよ。もう送ったから」
送った?
「え?どういう事??」
「明日には、先輩の家に届くと思うよ」
えぇぇぇ……
「そんな……いいのに……あと、お金返すから領主書もらえるかな?」
「え?だからダメだよ。しかも、先輩に払える額じゃないと思うから、返さなくていいよ」
「……」
今、地味にバカにされてる気がする。
「そう…じゃあ、どうしたら返すのと同じくらいのことを出来る?」
「そうだねー……」
ニヤリと笑う唯君。
やばっ……マズイこと言ったかな……
「そんなに焦らなくても……。次は、買った服を着て来てくれたら僕はそれでいいよ」
「え?そんな事でいいの?」
「うん。先輩とどこか行けるならね。」
「唯君……」
「まあ、次は覚悟しておいてね?先輩!」
やっぱり、唯君は優しいだけではないのでした。
「うん……」
何を?とは怖くて聞けない。
「それじゃあね、先輩」
「うん、またね唯君」
そう言って家に帰ろうとした時……
「ちょっと、一人で帰ったらダメでしょ…もう遅いし」
「大丈夫だよ。ここから近いし」
「それでもダメ。ちょっと待ってて。今、車呼ぶから」
「唯君って、意外と心配性なんだね」
「ボソッ……先輩だからだよ……」
「ん?なんか言った?」
「え?なんでもないよ」
そうこうしてるうちに、黒塗りの高級車が来た。
「先輩どうぞ」
そう言って車のドアを、運転手さんが降りてくる前に開けてくれた。
「あ、ありがとう……」
なんだか照れくさい。
意外と唯君って優しいんだな……意外な一面を、またもや知ったのだった。
わーー!高級車の革張りのシート!
クッションが効いててフカフカだ!なんて思っていると、すぐに私の家に着いた。
「今日はありがとう唯君。送ってまでくれて……何だか唯君にお詫びをするって言うより、ほとんど私の買い物だったし……なんだか申し訳ないよ」
「そんな事ないよ、先輩。僕は先輩と出かけられて嬉しかったし、何より先輩特製のうどんも食べられたし。本当に楽しかったよ?
先輩はどうだった?」
「私も楽しかったよ。今日は何回言っても足りないけど、本当にありがとう。じゃあ、また明日学校でね」
「うん。」
手を振ろうとすると、いきなりその手を握られる。
「え……⁉︎」
手の甲にそっとキスをされる。
「じゃあね、先輩」
私の頬が真っ赤になるのを満足そうに見た唯君は、不敵な笑いを浮かべながら帰って行った。
「ふぅ……心臓に悪い……」
胸がドキドキしてるのを必死に抑えて、家の中に入ったのであった。




