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第8話 公安の一員

---古い記憶。


「お母さーーん。」


グスグス泣いている。これは俺か?


いや、違う気がする。


どこかの研究所の様だ。

たくさんの薬品や器具がある


「ごめんなさい。また透が。」


「だから連れてくるのはやめろと言ったんだ!」


「そんな事言わないで。透に聞こえちゃうでしょ。」


「全く。」


2人は…俺の両親なのか?顔が一切わからない。

母に抱かれた時の暖かさだけを感じる。


俺の記憶..なのか?---


「はっ!」


勢いよくベットから起き上がる。

つけられたはずの傷は全てが治っていた、ひよりさんに治療されたらしい。


「起きたか。」


横にはいつもに増して凛とした姿勢の霧島がいた


「??--なぜ泣いている?」


俺は涙を流していたらしい。

さっき夢のせいか?

霧島の前で泣いているのが恥ずかしくなり、すぐに拭った。


「そんな事よな、さ、最初試験は??」


「その事だが鷹見さんから直接と言われている。動けるか?」


俺はぎこちなくベットから降りて立ち上がる。

どうやら俺は倒れてからかなりの時間眠っていたらしい。外は暗くなりひよりさんはいなかった。


本部は地下に訓練場と治療室、1階は受付、会議室(俺が尋問を受けた場所)などがあり2階が食堂、3階より上は事務や鷹見さんやボスの部屋があるらしい3階以上は行った事がなかった。


霧島に連れられ3階のかなり奥に進む。

一番奥の大きい扉の前で霧島が止まる。


「失礼します。神城透をお連れしました。」


「入れ」


扉を開ける。


正面のデスクには見覚えのある人物が座っている。

その横に鷹見さんが立っていた


「え?」

最終試験の時に俺をボコボコにした大男が正面の椅子に腰掛けていた。


「神城くん。最終試験お疲れ様。何個か聞きたい事があります。いいですか?」


鷹見さんが問いかけてくる。


「は、はい。」



「まず君の身体能力はこの2ヶ月で飛躍的に上昇しました。それでも君より強い者はたくさんいます。まさに試験でのこの人の様に。なぜ諦めなかったのですか?」


「俺は、今まで散々な人生を送ってきました。でも公安に入って霧島や風間さんそして牧原さんに鍛えてもらって、こんな自分でも出来る事があるんじゃないかって思いました。たった2ヶ月だけど俺にとっては大きな2ヶ月だったんです。みんなの期待に応えたい一心で最後までやりました。」


「なるほど。では、もう一点。最後の攻撃を躱し反撃できたのはなぜですか?」


「あの時は咄嗟で、急にゆっくりに見えて。無我夢中でした。」


「なるほど。」


「俺全然攻撃もできなくて、倒れて。試験はダメですよね...?」


「?何を言っているですか?神城くん。あなたはシングルに1発入れたんですよ?上位者ではないあなたが。手加減していたとはいえ本来あり得ないことです。合格に決まっているでしょう。」


鷹見さんに褒められている

ようやく喜びが込み上げてくる


「え、あ、ありがとうございます!」


「さて、そろそろ自己紹介といこうか」


大男が立ち上がる。


「まずは最終試験合格おめでとう。俺は鬼塚豪だ。ここ公安のトップだ。試験で見た通り順位はシングル。まさか俺に1発入れてくるとは思わんかったぞ!」


ガハハハハと大笑いしている。


このアロハシャツに短パンサンダルのこのおっさんが——公安のトップ!?


「実際のところ俺はいるだけだがな!基本は鷹見が指揮している!俺は強いからここにいる見たなもんだ!」


「それより驚いたぞ!最後の俺の拳を受け流したあれはどうやったんだ?かなりの早さでいったつもりだったんだか。」


「それが、ほんと自分でも分からなくて。一瞬ゆっくりに見えて気付いたら反撃してました。」


「思考加速などの類ですかね。」

「全く分からん!だがいい目を持っているって事だけはわかる!」


俺にも分からないが今あの感覚は全くない

一瞬、声みたいなのにが聞こえた気がしたが思い出せない


「とにかく分からんものを考えも仕方ない!神城の加入を祝して今日はとことん行くぞ?鷹見準備は?」


「万全ですよ」


そう言うと鬼塚さんは俺を引っ張りながら部屋を出てそのまま下の階に連行される。


食堂に着いた。そこには風間さん、牧原さん、ひよりさん、そして何度か見たことある事務の人や見たことない人までいた。

着いてすぐにグラスを渡された。


「よーし!それでは新たな仲間、神城透にー!乾杯!」


「かんぱーーい!」


鬼塚さんの音頭で宴会が始まる。


「今回の試験の目玉はやっぱボスの名演技すねー!」


「そうだろ?我ながら上手かったよな!どうだったよ神城!」


背中を叩かれ全身が揺れる


「はい、怖かったです。」


ガハハと笑いながら全員で朝まで飲み明かした。


あの夢は何だったんだろう。

眠る前にふと思い出したが、すぐに意識の奥へと沈んでいく。


ただの冴えないコンビニバイトだった俺が公安の一員になったそんな夜だった。


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