第61話 望まぬ再戦
——至る所に武器が落ち、刺さっている。
刺さっている武器は全て本物だ。
「北見さん大丈夫なんやろか……豪さんはあんな調子やったし。いや、あの人は大丈夫か」
風間は先ほどまで一緒にいた2人の身を案じるが自分より強いことを思い出して止める。
「貴様…風間凌だな」
背後からの声に咄嗟に振り向く。
そこには、声からは想像できないほど普通の学生のような男が1人立っていた。
黒髪の短髪。黒の細いパンツに白いTシャツ。
ポケットに手を突っ込みながらまっすぐとこちらを見ている。
「なんや、自分」
「俺はアルマ。つい最近レクトルへ加入した者だ」
「アルマ?確かに聞いたことないな」
「デウスより貴様ら公安の相手をしろと言われているのでな、やらせてもらう」
部屋にあった武器が宙を舞う。
数十個の武器が一気に風間へ矛先を向ける。
「お前は、いくつ耐えれるかな」
宙を舞う武器は一直線に風間へ向かう。
風間はニヤリと笑う。
「やっと戦える!」
アルマの武器は風間の作った風の武器に弾かれる。
「いくつ耐えれるか言うてたな!俺の風は止まらへん!」
暴風雨がレクトルに吹き荒れる。
——薄暗い部屋にいくつもの水槽が並ぶ。
水槽には培養液が満ちている。
その中には人が入っているようだった。
「なんなんだ…これは」
鬼塚はその水槽を見て驚きを隠せない。
「全員が…生きているのか…?」
一つ水槽を覗き込む。中には夥しいほどの管に繋がれた人らしきものが呼吸をしている。
ざっと部屋を見渡して三十個以上の水槽がある。
「この全部が生きているのか…」
見渡しながら歩く鬼塚の目に信じられないものが映る。
「な…なぜ」
水槽の中にはかつて自分と戦った者の姿があった。
「デモン…」
デモンは一本の管を口に通され、眠っているようだった。
「なぜデモンがここに。死んだはず」
デモンの入る水槽へ手を触れる。
ピピピピー。
水槽から音が鳴り、すぐに離れる。
徐々に培養液が減っていく。
液が全てなくなると、ガラスのみが上に浮き上がる。
床に崩れ落ちたデモンに近づく。
「だ…大丈夫か」
「お前は。誰だ。」
話し方がぎこちない。
「鬼塚だ。忘れたのか?」
「鬼塚…うっ…」
頭を抑える。
「が……お……につ……か」
「お、に……づか」
「大丈夫か!デモン!」
ガシッ!
伸ばした腕を掴まれる。
「コロス。」
鬼塚の身体を簡単に持ち上げる。
「なに!?」
すぐさま白銀の獣へと変身する。
掴まれた腕をするりと抜き距離を取る。
「コロス。コロス。」
デモンは暴れ、近くの水槽を片っ端から割っていく。
「どうなってる…」
水槽から出てくるのは全員同じようなデモンの姿をしていた。
「クローン…なのか?」
「「コロス」」
クローンデモンは一斉に鬼塚に襲いかかる。
白銀の鬣を靡かせ後方へ跳躍し距離を取る。
鬼塚の拳が震える。
怒りか、悲しみか。
それとも救えなかった後悔か。
鬼塚自身にも分からなかった。
「デウス…黒瀬宗一郎。お前だけは許さんぞ…」
——鬼塚対デモン。望んでいない再戦が行われる。




