第46話 再興
霧島家は死者1名。
14代当主霧島一彦。
一彦の息のかかった者や、霧島家に紛れていたレクトルの工作員など多数を検挙。
不当に解雇された使用人などを戻し霧島家は一心を中心に再興を進めることとなった。
最初に訪れた茶室に再び神城と一心が座る。
「神城くん、朧さん、今回は本当にありがとう。霧島家は君たちに救われたと言っても過言ではない。」
一心は深々とお辞儀をし礼を尽くす。
「俺たちは仲間の、カナさんの手助けをしただけです。本当に救ったのはカナさんと一心さんですよ」
「これで一安心なので、俺たちは本部に戻って本格的に修行に入ります!カナさんにも伝えておいてください!」
カナは修行後に無理をしたせいで体調を崩している。そのため自室で療養中である。
「ああ。伝えておこう。そちらに行くこともあるだろうし鬼塚さんにもよろしく伝えておいてくれ」
「はい!それじゃあ、俺たちはこれで!」
「神城くん!」
「はい?」
「カナのことなんだが…本当に婚約してしまってはどうかな?」
「!?な、なに言ってるんですか!あくまでフリであって…」
「カナの父として神城くんのような人ならカナを任せられる。まぁ本人の気持ちあってだがな」
「俺は…」
「カナは多分神城くんのことか…」
ガンッ!!
目の前の剣聖がぶっ飛ぶ。
「ちーちーうえ?何の話をしているのですかね?」
カナの頭に悪魔の角が生えていると錯覚するほどの勢いだ。
「カ…カナ…これは違う…その」
「その?なんでしょうか?父上?」
笑っているが目は完全に殺す気だ。
神城は心の中で、カナには一生逆らうことはできないな。と再確認した。
——「がみじろぐん。ずまなかったね。またの機会に」
正座をし、顔面を腫らした一心さんに別れを告げ、
カナと玄関まで歩く
「もう大丈夫なのか?身体」
「ああ。いつ襲撃があるかわからないしいつまでも寝てられない。それに…」
カナの顔が一瞬曇る
「一輝か」
「ああ。最後、刀に呑まれる前。私に助けを求めてたんだ。救ってあげたい…」
あれから一輝の行方は分かっていない。
最後視界を妨げられ、足元に光る何かが見えた時には一輝の姿はなかった。
「とりあえずは強くなろう!強くなってまた一輝を探して止めればいいさ!」
「そうだな。ありがとう透。また本部に行く時は連絡する。」
カナは両手を広げ何かを待っている
「えぇっと…カナさん?」
「黙ってハグしろ」
言われるがまま別れの抱擁をかわす。
「またね透」
「じゃあまた」
家の前で手を振るカナ。
「神城くん…お熱いですね」
影から朧さんに茶化される
「やめてください!みんなには内緒にしてくださいよ!」
「………」
「なんですか?その間は!朧さん?まさか?」
影からの返答はない。
——公安本部
帰ってきてすぐに2階の部長室へ。
中には鬼塚さんと鷹見さん。
「ご苦労でした。神城くん。報告は受けています。霧島家での一件、にわかに信じがたいこともあったようですね」
「そうなんです。まずは能力に支配され暴走した霧島一輝。そして逃走用の足元の光。レクトルとの繋がり。これらは会議案件だと思います」
「そうですね。能力の支配については能力研究家であるあの人に聞くのが1番ですね。それと逃走用の光。おそらく転送の類と思われますが詳細はわかりませんね」
「なにはともあれ無事でよかった!この件は全員共有する前に俺と鷹見で精査する!戻っていいぞ神城」
「はい!ありがとうございます」
「あ…それと聞いたぞ〜」
ニヤニヤとしている鬼塚さん
まさか…
「カナ君といい感じらしいじゃないか〜」
(朧さん…やってくれましたね)
「そういうのじゃないです」
「本当ですか?報告によると抱擁もかわしたとか」
「何の報告ですか!やめてくださいよ!」
その後10分ほど根掘り葉掘り尋問された。
部長室を後にし食堂へ向かうと
ボロ雑巾のような顔をした風間さんが。
「ど、どうしたんですか?風間さん」
思わず声を掛ける。
「…お、神城か。お疲れ。」
あの風間さんが元気がない。一体何が…
「あーら!透くんじゃない!」
背後から独特の話し声が聞こえる。
「き、北見さん!お疲れ様です!」
「お疲れ〜」
「凌ちゃん早く食べなさい!午後からもしっかりやるわよ!」
「はい。師匠」
「な、何があったんですか…?」
「何にもないわよ〜修行してるだ・け!」
笑顔がとても怖い
「それにしても透くんカナちゃんと付き合ったの?」
「ブハッ!ゲホゲホ…何の話ですか!」
飲んでいた飲み物が口からこぼれる
「あれぇ?なんか仲睦まじいって話聞いたんだけど違うの?」
「違いますよ!家の助けをしただけです!」
「あら、そうなの。つまんないわねぇ」
「かみっちゃんほんまに付き合うてないんか?ほんまやな?」
ボロ雑巾だった風間さんが真剣な面持ちで聞いてくる。
「本当ですよ。今はまだ」
「今は?どゆことや!それ!自分一人で修行サボってんちゃうやろな!俺なんか毎日地獄見てんねん——」
言葉が物理的に遮られる。
風間の口に北見さんの手が当てられていた。
「地獄??」
目をぱちぱちしながら風間さんは必死に首を横に振る。
「ど、どんな修行なんですか…気になってきました」
「あら!透くん見学したいの?いいわよ!朧ちゃんも良いわよね?」
「是非」
影から朧さんが最小限で応える。
「それじゃあ、食べ終わったら訓練場に行きましょ!」
風間さんが俺を見ながら訴えていた。
(やめてくれたのむから!)
俺はその訴えに気付かず訓練場を楽しみにしていた。




