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第43話 罪

——ざい

15代続く霧島家その中でも3人しか辿り着けなかった奥義。

始は自信。鏡で驕り。罪では…


——10日目

一心が全てを告白した翌日。

当主の間へ入り閉関修行を行う霧島カナ。


「ここは…どこだ…」

目を開けるのすら眩しい、そんな天気。

ジリジリと日差しが地面を焼いている。

目の前には大きな大きな道場がある。


そこでは小さい頃の一輝と若かりし父一心が稽古をしている。


私の小さな手に握るのは小さな木刀。


「こ…これは…昔の私?」


ふと前を見ると場面が切り替わる。


「大丈夫?ねえね。」

小さな頃、一輝は私のことをそう呼んでいた。


「大丈夫だ!ねえねは強いんだ!私が一輝を守ってやるからな!」


「ほんと!?ずっと一緒だよ!」


無邪気な笑顔。こんな時もあったんだな…


またしても場面は変わる


「なぜあの女の娘に剣術を教える!一心!貴様当主として禁止されていることをしている自覚はあるのか!それよりも一輝に力をそそげ!しばらくあの小娘には会わせん!」


「そんな…父さん。それはあんまりだ…カナには刀を握らせないから会わせてくれ」


必死に懇願する父。


「ならん!先に規則を破ったのはお前だ!一輝が奥義を覚える18歳になるまでは一輝にしっかり稽古するように!」


「…分かりました…」


このような会話があったのか。だから父は…


場面が切り替わる。


「一輝。ねえねはもうお前と一緒には居られないんだ。すまないな」


これは12歳頃だったか。今でも覚えている。


「なんで?僕やだよ!」

涙を流し駄々をこねる。


「すまないな。一輝。」

私は一輝の頭を撫でその場を去る。


その後私は18を過ぎ公安に入るまで家ではほぼ軟禁のような形。1人で修行をし、たまに父が来て隠れて見本を見せてくれる。これが私の記憶だった。


場面は変わり

「なぜ!なぜねえねに会えないのですか!父上!」

先ほどのすぐ後のようだ。


「すまない。一輝。私が弱いから…カナを守れなかった。お前は強い子になれ。一輝」


「僕が…強い子になってカナを守る。」

幼い一輝にどす黒いモヤのようなものが立ち込める。


(なんだ…あれは…)


場面が次々変わる


「僕がねえねを」「俺がカナを」「僕が守る」「俺が守る」

どのシーンでも一輝は泣いていた。


「私が…私のせいだったのか…私が背負わせたのだな一輝に。」


場面はまたしても切り替わる

「カナにはとてつもない才能がある。私以上だ。見つかれば父に殺されるかもしれない。カナを守るために私も鬼になる。」


一心がカナとも仲のいい使用人と話していた。

部屋のすぐ外に一輝が。


「僕には才能が…ねえねよりない。」


またドス黒いモヤが先ほどより大きくなる。


場面が変わる。


路地裏…公安の服を着た私と、それについてくる男。

(神城…これはあの時の)


「お前を連行する!」


場面が切り替わる。


「なんで…牧さん…」


(あの時…神城を連行しなければ。私がもっと強ければ…)


黒いモヤが神城の後ろに立ち込める。


「霧島カナ。お前の罪から目を離すな。」

神城と幼い一輝から冷たく機械のような声が発せられる。


「お前が生まれてこなければ…」

目の前の一心が語りかけてくる。


(私か…私がいなければ…)


思いたくない感情が溢れる。


追い打ちをかけるように場面は切り替わる


道場を駆ける一輝。笑いながら追いかける父、義母、祖父。


(私のいない世界ではこんなにもみんなが笑って…)


仕事に奮闘し、家に帰り幸せそうな家庭を築いている神城。


(私のしてきたこと。存在そのものが、いけないのか…)


黒いモヤが私を包み込む


(重い…身体が鉛のようだ。このまま…このまま沈む…)


カナは黒いモヤに包まれ堕ちていく。

浮き上がるにはあまりにも深い闇へ…


闇の中でも声が聞こえる…

(霧島…早く出てこい)

これは…私を…呼ぶ声?


——キンッ!キンッ!

何度も鋼同士がぶつかる音がこの部屋にこだまする。


白刃と赤刃が何度も舞う。


「そんなもんかよぉ!親父ぃー!」


徐々に赤刃が速く…白刃が遅れていく。


「一輝。それがお前が隠していた本性か」


一心は何ヶ所か斬られているがそこから出血をしていない。


赤い刀が全てを吸収している。

その度に速く、鋭くなっていく。


数分が経った今

一心の身体には、血がない刀傷が無数にある。

一輝にも刀傷はあるが浅いものばかりだ。


鍔迫り合いをしながらも一心は必死に語りかける


「一輝、カナと三人で暮らさないか。まだ、私たちはやり直せる」


「うるせぇ。お前がカナを語るな。お前の言葉には何も感じねえ」


「もはやここまでか」


一歩引き間合いを取る。


「私がお前を討とう一輝」

白い刃を鞘に収め居合の構えを取る一心。


「居合ならどうにかなる、そう思ってんのか?」

赤い刃を収める一輝。


静寂が訪れる。

少し離れた場所で静観している

神城もごくりと唾を呑む。


またしても先に一輝が動く


赤い刃は先ほどの居合よりも速く、鋭い。

同じようにそれを見てから一心の刃が一輝の赤刀に迫る。


ガキンッ!

金属に弾かれたような音。


一心の刀身がない。

刀の腹に打ち込んだ側の刀が折れた。


「グハッ」

一心の腹に傷がつく。そこから血は出ていない。

しかし一心が吐血しポタポタと床に血が落ちる。


「言っただろ?お前じゃ相手にならないってよ!」

一心へ赤い凶刃が迫る


——心影崩流"波"

刃が目標から逸れる。


「これ以上は見過ごせない。霧島一輝。レクトルとの関与の疑いでお前を拘束させてもらう」


「…弱い奴が…どいつもこいつも邪魔しやがって!!」


(霧島すまない。お前が来るまで待てなかった。ここで一輝を捕らえる——)


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