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第41話 鏡

——10日目

始を会得してから3日後

無の空間で相見えるのは、私自身。


始では自身が生み出す虚像、恐怖だった。

鏡では全く同じ自分の姿。


3日前の最初は何の躊躇もなく斬った。

間違いなく斬れたはずなのに。目の前の私が歪みまた戻っていく。


そうして3日が経った今

私自身は何を斬るべきなのか考えていた。


目の前にいる私。

自信を取り戻し私は強くなっているはず…


……そうか。

始で大きくなりすぎた自信を持つといけないんだ。

自信の中の謙遜。驕ってはいけないのだ。


ここで斬るのは自分につきまとう自信と驕り。


落ち着かせ。心を鎮める。

驕らず、謙遜しすぎず、自身の刃をしっかりと見極める。


明鏡止水の心なり。


——スッ

音の無い刀が空中を舞う


無の空間の私は消え蝋燭が1本消える。


「やったな。カナそれが鏡である」

父は誇らしげな笑顔を見せる

「ありがとうございます。父上」

満身創痍の中笑顔で返す。


「鏡は始で自分を大きくしすぎた者には絶対に習得はできない。よく自分を律したな。さすが我が娘だ」


10日での鏡までの取得。

一心は口にしないが歴代最速での習得。

18歳の一心は14日だった。一輝は15日。

カナは自身が知らぬ間に刀に愛されていた。


「明日から始まる罪だが…閉関修行になる。」

「閉関修行?」


「あぁ。兵糧と水のみの部屋で習得するまで出られない。助けられるのは罪を使える私だけになる。万が一私に何かあった場合。習得するしか出る方法はない」


「父上は何日かかったのですか。」


「当時18だった私は2週間かかったよ」


「そんなに…私は間に合いますかね」


「安心しろ。カナが出てくる頃には全てを終わらせて待っておく」


「……今日みんなに挨拶に行って参ります」

少し下を見る


「そうしたほうがいい…大丈夫だ。心配するなカナはカナの修行をしっかりやれば。カナなら私なんか超えてすぐ出てくるさ!」

頭を撫で笑ってくれる父


その夜神城、朧さん、そして仲の良い使用人に挨拶をし11日目の早朝、私は閉関修行に入った。


——14日目

ガラガラ玄関の戸が開く。

使用人が玄関へ急ぐ


「おかえりなさいませ。一輝様」

「ただいま戻りました。お祖父様は」

「自室におられますよ」

「ありがとう」


一輝は荷物を使用人に任せ一彦の部屋に向かう。


「お祖父様戻りました」

襖の前で止まり言う


「入れ」

襖を開ける


目の前には木刀を構える一彦が

「何をしているのですか、お祖父様」


「見て分からぬか。勘を取り戻しておるんじゃ」


「は、はぁ。状況は?」

一輝はそんなことよりカナのことが知りたいのである。


「ああ、ちょうど連絡を入れた日に始を習得したと周りに言ってあったのを私の手の者が耳にした」


「父上…なぜカナに…守るべきカナに奥義など…」

フルフルと全身に力が籠り震える


「しかも10日と言うなかなか速い記録だ一輝よりは遅いが歴代でもかなり速いほうだ。今はおそらく鏡の習得を行っておるはずじゃ」


「今すぐ当主の間に突撃しましょう」

立ち上がろうとする一輝を一彦は止める


「まぁ、まて。作戦は明日じゃ。レクトルに少し応援を要請しておる。」


「な、なぜ応援など…私達だけで十分です」


「念には念をじゃ。カナとあの神城とか言うガキも登録者。油断は禁物じゃ」


「それでレクトルはなんと?」


「幹部は送れないが上位者10名ほどを送るとの事、明日着く予定じゃ。これで明日一心を殺す」

ニタニタとほくそ笑む一彦。


「わかりました。しかし父上は私に任せていただきたい。そしてカナも」


「当然じゃ。2人共同時に来る場合は一心の足止めはわしがやろう」


「それでは明日、応援到着後。」

「あぁ。期待してるぞ一輝」


一輝は自室に戻る。

一輝の心はかつて無いほど燃えている。


(カナ。父上から僕が守るからね。)


「これで…明日。ワシの時代じゃ。ふふふふ。ふははは」


——15日目

俺はここ2週間で"心影崩流"の技をいくつか覚えた。

襲撃のタイミングも分かっていたのでそれに合わせて実戦訓練も行えた。


準備は万端である。

一心さんにも今日襲撃が来ることは伝えてある。

朧さんは実戦では私はいないと思って戦ってくださいと言われている。


夕方になり

屋敷内が少し騒がしい。


空間が歪み。

フィールドが形成される。


「来たか」

俺は瞑想をやめ当主の間に向かおうとする


当主の間の前には少し広い道場がありそこから3本の廊下が伸びている


それぞれが各道場につながる。


当主の間の前には一心さんが座している。


俺の第三道場へと人が入ってくる。


10人はいるだろう。


「なんだ。お前達」


クックックとそれぞれが笑っている。

「俺たちはレクトルだ。死ね神城透!」


「お前ら如き、何人いようが変わらない」


すでに順位は見えている。

最高位が「109」そこから全員が200、300番代

全員上位者ではあるが、俺に焦りはない。

ただし、時間はかけられない。霧島が待っている。

(前にもこんなことあったな)


風と水、土の弾が俺に迫る。

他の6人は剣や、斧、刀などで一斉に俺に攻撃してくる。

全員が足並みが揃っている。


俺はまず弾を最低限の動きで躱す。

心眼により6人の攻撃のズレを読み

向かってくる6つの刃それぞれの流れを逸らす。


「心影崩流"波"」


向かってくる全ての攻撃の流れを逸らす。

逸らして体勢が崩れた前の2人の顎を掌底で突く


「心影崩流"崩拳"」


2人はその場で気を失い倒れる。


後の4人は後退りをし

「なに!?こいつ…できる。」


後ろで見ていた[109]が一歩出る

「俺の援護をしろ」


他のやつらは下がり後方で攻撃のタイミングを伺う


「神城透…フローマをやったらしいが、今の俺の方が強い」


ナイフを構え間合い外から振りかぶる。


——目の前から消える

[109]は俺の真横で現れナイフが迫る


能力を発動しナイフを躱す。


「瞬間移動…か?」

俺は確認するように呟く


「ご名答!俺は近くのどこにでも移動できる。こういうことも可能ってことだ!」


俺の前に移動しナイフを振る。


目の前の[109]が消え視界には弾が広がる

俺は土と水の弾を拳で壊し、土の弾を寸前で躱す。

ツーッと頬に血が流れる。


「厄介な能力だ」

(能力の使用回数も残り少ない。やるしかない)


一瞬の静寂の後


「どんどんいくぜー!」

[109]が瞬間移動を繰り返す。

何度か移動をしほとんどがフェイクだ。


「死ね!」

5回目の移動

俺の前からは弾が、後ろには[109]が。


俺は[109]のナイフを波で逸らし手首を掴み身体を入れ変える


「ぐわぁぁぁ」

いくつかの弾が[109]に直撃する。


そのまま[109]を盾にし近づく。

1人1人とかかってくる敵を波、崩拳にて制圧していく。


元素系と身体能力系しか居なかったのが幸いだった。


最後の1人を制圧し、


「霧島のところへ行きましょう、朧さん」

と一言呟くと影から朧さんがヌルリと出てくる。


「75点と言うところですね。」


「き、厳しいです師匠」


朧さんはヌルリと影に戻る。


「一心さん。どうかご無事で」


俺は当主の間に向かう。


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