第35話 新たな師
「真ちゃん!」
とんでもない変態を見てしまった。
[46]《SS》
外見とは裏腹に相当の強さである。
最初に目に入ってくるのが強烈すぎて、次に入ってきた人に誰も気づいていなかった。
落ち着いて、ようやく目を向けると
——順位が何も見えない。
「え?」
俺が驚くと同時に横で大きな音が鳴る。
——ガタッ!!
「なぜ」
霧島が取り乱している
「カナ。お前を最後まで育て上げにきた。理由はまた2人の時に話そう。」
男は和装で、霧島に少しだけ似た柔らかな表情をしていた。
「かしこまりました」
椅子に落ちるように座る。
部屋に入ってきたのは2人。
(3人それぞれにって言ってたよな?)
俺の後ろに、ヌルリと気配を感じ、咄嗟に席を立ち背後を警戒する。
「いい感知です、お弟子様。」
立っていたのは朧であった。
真さんの方に目をやり、
「朧さんが俺の師匠ですか?」
「ああ。俺は遠征やらで忙しい。ひよりもセットだ。傷も治してもらえ」
もう一度、朧さんに向き、
「よろしくお願いします!」
と一礼する。
「こちらこそよろしくお願いします。」
以前に見せてくれたお辞儀と同じ魅入ってしまうほどの綺麗さだ。
「え、てことは俺この人ですか?」
風間さんは、口をぱくぱくさせながら真さんに絡む男を見る。
「あなた。顔だけは良いわね。でも、ウチは顔だけの男に興味ないのだけれど兼人ちゃんに頼まれたからやったげるわ。」
鷹見さんへウインクを飛ばす。
「ありがとうございます。遅くなりましたが、みんなに紹介しましょう。全支部NO1の北見蓮司さんです。風間の師匠についてもらいます。」
ウインクを淡々とした説明で返す
「もう!兼人ちゃんったらレンちゃんって呼んでって言ってるじゃない」
両手を顔の前で合わせて、可愛くポーズをしている。
「それでは3人はこれからしばらくはマンツーマンでの修行をしてもらいます。鬼塚さんと真は残ってください。他の方は解散でお願いします。」
まるで北見さんをいないもののように話す鷹見さん。
その横で、風間さんは頭を抱えて下を向いている。
「さぁ、いくわよ凌ちゃん」
大きな体に首根っこを掴まれ、猫のように連れて行かれる風間さん。
「我々も行こうか」
「はい」
霧島たちの間には、重い空気が流れている。
「お弟子様。行きましょう」
「はい!」
朧さんについていく。
それぞれが部屋を出た後、残った3人は神妙な面持ちで話をする。
「で、実際の所どうなんだ鷹見」
「おそらく博士はシステムの強化、登録人数の無制限化をやろうとしています。」
「具体的には何がどうなんだ」
「これはあくまで予想ですが、システムのアップデートに全ての[Spes]を集める、もしくはもう一個体、別の[Spes]を作り、登録の限界を突破するものだと思っています。」
「もう1個体ってのは?」
「あれには人間の脳がAIとして組み込まれています。そして私が戦った白髪の子……おそらくあの子がもう一個体です。最悪の場合、神城くんを狙うでしょう」
「いつ話すんだ。あいつに」
悩んだ末に、
「彼にはまだ全てを伝えるには早すぎる。もう少し成長を待ってからでも…」
——ドンッ!
真が机を叩く。
「あいつはそんなやわじゃない。問題ないと思うが?」
「落ち着け。真。鷹見も分かってる」
鬼塚が間に入る。
「とにかく彼に伝える時期は私が考えます。真には遠征に行きレクトルのアジトを突きとめてほしいんです」
鷹見は真に頭を下げる。
「分かってる。北見が来たってことはここは大丈夫だろう。片っ端から調べる」
「ええ。お願いします。」
「あいつが狙われるってのは全員に伝えるのか」
「神城くん以外には伝えます。全容ではなく、次のターゲットが神城くんであることを」
「そうか。こっちは任せるぞ」
「はい。そちらも任せます」
こうして3人も部屋を後にする。
——とある日。
俺たち3人が修行を始めて1週間ほどが経った日のことだ。
訓練場にて朧さんと特訓をしていると
「神城。」
重々しい顔の霧島が入ってくる。
朧さんも見かねて修行を中断する。
「どしたんだ?」
顔つきといいかなり落ち込んでいるようだった。
「頼みがある」
「頼み?珍しいな。なんでも言えよ」
「私と…一緒に実家に来てくれないか」
「あぁ。実家ねいいぜ………って実家!?」
コクリ。とうなずいた霧島。
——え、おれ霧島の実家に行くの?




