第23話 陽動
——第2支部
「現状はどうなっている!!」
指揮官である男が叫ぶ
現場は切迫している。
「侵入者は1名!正面玄関で全員を圧殺。
そのまま司令室まで一直線に向かってきています!」
「なぜインヴィクほどの大物がうちに…」
「本部!鷹見司令!インヴィクによる急襲。至急応援を!」
平穏な日々に突然の襲撃。
いつもの日常、風景が一瞬にして地獄と化す。
男は高価なスーツにオールバック、仮面をつけて顔はわからない。
「ゼロ」
支部の職員達が宙に浮かぶ。
「な、なんだ!」「たすけて!」「や、やめてー!」
恐怖で叫び、暴れる。
だが宙で足をパタパタするだけだ。
男は全員をさらに高く持ち上げると、
「フィフス」
——ビタンッ!
全員が一斉に地面に叩きつけられる。
叩き付けられた地面は凹み、ひび割れる。
メキメキと音を立てて全員の身体が潰れていく。
目に見える者たちを処理し、男はゆっくりと前へ進む。
仮面の下で男は笑っている。
「早く…早く来い。真」
男は一歩また一歩とゆっくり進む。
——第3支部
「破壊!ハカイ!」
第3支部は急襲を受けすぐさま本部に連絡。
2課による素早い情報収集によりデモンである事を確認。
上位者を集結させ一斉攻撃を立案。
攻撃ポイントにて標的を待つ。
——男が通った場所には何も残らない。
男は全てを破壊しながら進む。
ただ破壊が好きなのだ。
「早く!早く来い!鬼塚ぁ!!」
周囲のものを薙ぎ倒しながら進む。
机から物、扉にガラス、柱までも破壊している。
柱を壊し頭上から瓦礫が落ちてくる。
瓦礫はデモンに当たりそして地面に落ちていく。
「かゆい…」
背中をぽりぽりと掻く。
デモンの周りには黒いモヤが広がっている。
「今だ!放て!!」
第3支部の一斉攻撃がデモンに向かう。
火、風、土礫、そして銃火器が襲う。
土煙により標的を失う。
支部のあった位置は建物が半壊している。
「や、やったか」
「ちょっと痛いな」
土煙の中から先ほどよりも大きく濃い黒いモヤが見える。
デモンは何事もなかったかのように立っている。
「ば、ばけもの」
「さて、少し返すか」
右腕を振りかぶる
黒いモヤが右腕に集約される。
——ドガンッ!!
振り抜いた拳が黒いモヤを纏い飛ばし
前方にある物全てを破壊する。
とてつもない轟音が響いた。
隊員達の居た場所には何もない。
「つまらないなー」
男は再び建物を破壊する。
半壊の建物を更地にし男は座る。
待ち人が来るのを。
——宙に雷が疾る。
屋根を蹴り飛ぶ。
屋根が軋まないほど軽く蹴る。
(あいつがきたってことは誰も助からないだろうが…)
助けに行く支部が無事ではないと分かっている。
おそらく全員殺される
だが鳴神は足を止めない。
「今日こそ、あいつを…」
呟き、雷は更に速度を上げる。
——宙を獣が駆ける。
地面を蹴り駆ける。
傷つけないように最小限の力で蹴る。
(無事でいてくれ)
希望が薄い事は鬼塚自身も分かっている。
しかし、希望はあると信じる。
白銀の髪はさらに風に靡く。
——本部では
真さんと鬼塚さんが飛び出した後、2課3課が慌ただしくしている。
俺たち1課の居残り組は鷹見さんに集められた。
「まさか支部が狙われるなんてね〜」
風間さんは頭の後ろで手を組み言う
「正直、目的は見当がついていない。支部が狙いかもしくは真と豪さんが狙いか…」
鷹見さんの顔には少し焦りが見られる。
レクトルの動きが謎で読みきれない。
「でも真さんとボスが行ったなら支部は大丈夫ですよね?」
本気で思っていたので呑気に問いかける
「正直分からん…真の方は何回も戦ってるがいつも決着がついていない。豪さんの方は、デモンの情報が少なくて心配だ」
「まぁ、俺らがあの2人のこと心配してもしゃーないっすよ!やれることやらんと」
風間さんはそう言うと立ち上がり部屋を出ていく。
「霧島、神城、俺は支部はフェイクだと考えている」
「フェイク?」
「あぁ。支部にわざわざ強者を配置したのは真と豪さんをここから離すためだと思っている。」
「え?てことは本命は…」
少し間を空く。
「おそらくここだ」
「なるほど」
霧島も軽く頷く。
「でも、本部って上位者も結構いるし流石に…」
「いや、おそらく奴らにとって面倒なのはあの2人だ他の者はなんとかなると思われたか。」
——ビーッビーッ
再び警報が鳴る。
(侵入者、侵入者、本部に侵入者を確認)
(戦闘員はただちに侵入者を処理してください)
「来たか」
「霧島、神城お前達は2人で動け!敵の狙いは分からんが探して処理しろ!」
「「了解!」」
俺たち2人は部屋を後にし、侵入者を捜索する。
「目的は…なんだ。」
鷹見は1人レクトルの目的を探す。
支部への急襲。
そして、本部への侵入。
——レクトルの計画が動き出す。




